6:35 中津谷 気温13度 晴れ
7:30 出合橋
8:15 奥出合橋
8:50 ウマダテ橋
9:25 小川林道終点
10:10 ホン谷の水源碑
10:20 冠山登山道
10:40 冠山
11:20 クルソン分岐
11:45 魚切林道
12:10 林道から尾根へ
12:25 ササゲ峠
12:50 877ピーク
13:10 41番鉄塔
13:35 488号線
13:55 中津谷
488号線の中津谷を出発しようとすると、車道の側溝からアナグマが出てきた。道路に上がったり、側溝に降りたり、忙しくしている。苔むした法面を登ろうとするが、まだ側溝にもどり、草むらに頭を突っ込む。側溝のゲートを越えて下流の方へ行ってしまった。
国道を進む。ミツバウツギにハート形の実が付いている。41番鉄塔へ上がる道は草が刈られていた。不栗付橋から見る中津谷川は穏やか。トロン谷落口の渡場があった地点の車道に瓦が積み重ねてあった。その付近の山側は平たん地になっている。
実を付けたミツバウツギが点々とある。ベニバナボロギク、シシウド、アキノキリンソウが咲く。吉和村漁協の定札看板がある。岩のサカサデノ谷を過ぎる。9月1日から2月末まで禁漁の標識がある。大きい淵を見る。小川入口の曲流部に進む。
車道に出てきたアナグマ |
|
側溝のアナグマ |
|
ミツバウツギ |
|
1時間ほどで出合橋。エゴノキがたくさんの実を下げる。橋を渡ると吉和村漁協の小川川の告知掲示板がある。2号橋手前から左岸に作業道が入っている。小川林道入口はゲートが閉じられ通行止めになっていた。アシガ谷右岸に作業道が入っている。
3号橋を渡る。オトコヨウゾメ、ミツバウツギが実を付ける。ミズノミ谷手前でショベルカーが林道を塞いでいた。アキチョウジが咲く。支谷のワサビ田は手入れがされている。コマユミが真っ赤な実を下げる。キャッチアンドリリースの標識があり、持ち帰りできませんと書かれている。
林道上にイノシシの掘り返した跡が続く。棘の無いサンショウが実を付ける。出合橋から45分で奥出合橋、一休みしてシラグチ谷へ進む。林道沿いの谷は滝が連続する。ニシノヤマタイミンガサ、シシウド、モミジガサがある。コブドチ谷を過ぎる。冠山公益保全林の標識がある。
ベニバナボロギク |
|
シシウド |
|
馬立橋を渡る。ヤマブドウが実を付けていた。黒くて大きい実を一つ食べてみたが酸っぱい。毛部田橋を渡る。上流に小滝が見える。林道はケブタの谷をUターンする。アケボノソウが咲き、キブシが実を下げる。イヌタデ、オオネバリタデが咲く。
林道が南向きに変わるとウシロカムリ山が見えてくる。展望地に出ると冠山が見える。冠山公益保全林の看板が埋もれていた。ヌルデが葉を伸ばす。ブドウゴヤ谷を過ぎると林道終点。クマ注意の木柱、冠山登山道の道標がある。ホン谷左岸の山道を進む。
急な登りの木の階段を進むと、冠山・広高山の分岐に出る。山道はホン谷へ下り、右岸へ渡る。キバナアキギリが咲き、フウリンウメモドキが赤い実を下げる。水源の道を進み、朽ちた木製の源流碑に出た。林道終点から45分ほどだった。テープが続く道を進む。コマユミが実を下げる。93回山の会の紙の標識が落ちていた。
アキノキリンソウ |
|
エゴノキ |
|
冠山登山道に出る。小川林道への小さい道標がある。登山道を北へ進む。ウリハダカエデの落ち葉が多い。20分ほどで冠山。北の展望地に出る。広高山、大神ヶ岳、雲が掛かる恐羅漢山、十方山、吉和の里を見渡す。山頂へ戻り一休み。
ブナ林を下る。40分ほどでクルソン分岐、山頂から1時間ほどで魚切林道に出た。東側には立入禁止の看板があった。林道を北へ進む。ヌルデが実を付け、実のような虫えい(ヌルデミミフシ)が付いているものもあった。植林地の幹が林立する林道を進む。
コマユミ |
|
アサクラザンショウ |
|
ノウサギの糞 |
|
美和町地籍調査 |
|
林道がカーブするところで、東の尾根に入る。ミヤマシキミの赤い実が多い。ノウサギの糞が塊ってあった。台風の風によるものか、ヤドリギの実が落ちていた。オトコヨウゾメの赤い実。ササゲ峠に下る。太いアカマツが一本立っていた。877ピークを過ぎる。
整備された鉄塔道に出る。42、41、40を示す標柱がある。41番鉄塔へ進む。植林地に囲まれ展望はない。引き返すと「平成五年度美和町地籍調査」の標柱が立っていた。南側から鉄塔道が上がっている。北側の急な山道を下る。200mの高度差を一気に下り、国道に出た。
ジンジソウ |
|
ジンジソウ |
|
ジンジソウ |
|
ニシノヤマタイミンガサ |
|
モミジガサ |
|
ヤマブドウ |
|
アキチョウジ |
|
アケボノソウ |
|
キブシ |
|
キバナアキギリ |
|
フウリンウメモドキ |
|
ヌルデ |
|
ヤドリギ |
|
オトコヨウゾメ |
|
オクモミジハグマ |
|
|
|
■地名考
冠山(1339m)の呼称は、はじめ「カムリヤマ」と呼ばれ、後に「冠山」の字が当てられ、「かんむりやま」と呼ぶようになった。冠山の西の峯は「ウシロカムリ」と呼ばれている。
「冠山の山名の初見は『吉和村御建野山腰林帳』(1725年)と思われる。『高そん加むり山、この山の内。来留尊佛と申石御座候』と記されている」(「西中国山地」桑原良敏)。
「高そん加むり山」は、「コウソンカムリヤマ」と呼ぶのだろう。「コウソンカムリ」は「クルソンカムリ」が訛ったものと思われる
才乙の「冠山」(1002m)は、元の呼び名は「かむり」と呼ばれ、地元では「かぶりやま」と呼ばれている。
才乙の冠山の北東の島根県瑞穂町の「冠山」(859m)は、コウブリ山、コーブリ山、カウムリ山などの名があり、元の呼び名は「カフリ山」であった(『西中国山地』)。
出雲風土記に冠山がある。出雲風土記、神門郡の山野にある冠山は「かがふりやま」と読む。
「郡家の東南五里二百五十六歩の所にある。〔大神の御冠(みかがふり)である〕」(出雲風土記)。
出雲風土記の冠山の由来は、大神の「みかがふり」ということから、山の形が大神の冠に似ているので冠山と呼んでいる。
冠は古くは「かがふり」といった。頭にかぶるもの、かぶる、位階、頂く・受けるなどの意がある。
古事記、万葉集に冠(かがふり)がある。
古事記の冠(カガフリ)
「次、於投棄御冠飽咋之宇斯神」(原文)
「次に投げ棄つる御冠(みかがふり)に成りませる神の名は、飽咋の大人(あきぐひのうし)の神」
ここにいう冠(かがふり)とは帽子のことで、頭にかぶるもの。
万葉集の冠(かがふり)
万葉集に「かがふり」を含む歌が3首ある。
歌番号892
麻被 引可賀布利(原文)
あさぶすま ひきかがふり(かな)
麻ぶすまをかぶる(かける・ひっかぶる)(訳)
「かがふり」はかぶる、掛けるの意。
歌番号3858
五位乃冠(原文)
ごゐのかがふり(かな)
五位の位階(冠は位を示す文書に代わった)
「かがふり」は位を示す。
古くは位階によって冠の色が違った。
歌番号4321
美許等加我布理(原文)
みことかがふり(かな)
天皇の命令を受け(訳)
「かがふり」は受けるの意。
「かがふり」は古代には、「かんむり」「かぶる」「うける」の意があったことがわかる。
カガフリ カウブリ カウブル カウムル カブリ カムリ カンムリ などと変化したと考えられる。
万葉集(4238)に「かづらかむ」がある。
「縵可牟」(かづらかむ=原文)で、「かづらを被る」の意である。「かぶる」「かむる」の用例は古くからあったと思われる。
次のようなアイヌ語がある
kamure (kamu-re)カムレ ?
〜にかぶさる・させる
〜に〜をかぶせる
sikakamure (si-ka-kamure)シカカムレ?
自分・の上・〜に〜をかぶせる
〜を頭の上にかぶる
(以上『沙流方言辞典』)。
kamu-re カムレ?
かぶせる・おおう
(『萱野茂アイヌ語辞典』)
kamure カムレ?
かぶせる・おおう・布をかぶせる
(『アイヌ語』方言辞典)
korkoni ham kamure コルコニ・ハム・カムレ?
フキの葉をかぶせる
si-ka-kamure シカカムレ?
自分の上にかぶせる
tek-u-kamure テクカムレ?
手を互いに合わせる
kamu カム
かぶさる
(以上『アイヌ語電子辞書』)
上記の例から次のようにあらわすことができる。
ka-kamure-i
カ・カムレ・イ=カカムリ
上・にかぶせる・もの
「カカムリ」は古代語「かがふり」に近い。
「カカムリ」が「カガフリ」に転訛したとも考えられる。
「カガフリ」は「上にかぶせるもの」の意であり、「かんむり」「かぶる」の意となった。
カシミール3Dデータ
総沿面距離20.0km 標高差727m
区間沿面距離
中津谷
↓ 3.7km
出合橋
↓ 6.1km
小川林道終点
↓ 2.3km
冠山
↓ 2.7km
魚切林道
↓ 5.2km
中津谷
|