6:35 立岩ダム 曇り 気温11度
6:55 大休ミの丘
7:35 境谷
8:10 ワサビ田石垣
9:10 市間山南の尾根
9:55 立岩山
10:25 坂原分岐
10:35 日の平山
11:00 作業道終点
11:45 下山広瀬三角点
12:05 ハグリ谷水源
12:25 作業道
12:45 林道
13:05 大井原山三角点
13:40 県道296号
14:00 立野キャンプ場入口
14:15 十方山登山口
15:15 立岩ダム
明るくなったところで出発。曇り空のためか、渋い紅葉が山肌を覆う。断層上の押ヶ垰集落を見て、ダムへ下る。日当たりにアキノキリンソウが咲いている。ダムの壁を見ると、水平にクリーム色の線が走る。修理した跡なのだろうか、老朽化したダムの顔色を見ているようだった。
湖面は風も無く対岸の峯が鏡のように映っている。ダム下流の谷は両岸が紅葉の終わりを告げる色に染まっている。右岸に渡り山道に入るとすぐ鉄塔へ上がる道に標柱があり、ダム東側の山腹へ山道が上がっている。落葉が覆う山道を登る。イノシシの掘り返した跡が多い。
15分ほどで大休ミの丘入口の尾根に出る。そこから東へ山道が通じている。鉄塔道を示す標柱が倒れている。南へ少し入った所にも標柱が倒れていた。さらに東へ進んでいると、イノシシが南側の山中へ走り去った。イノシシが居た湿地には多数の足跡があった。
アキノキリンソウ |
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タユウ谷水源の湿地を渡り、尾根に出る山道に入るとすぐ大きいクマ糞があった。表面は黒いが枝で突くとクリーム色だった。ドングリやクリを食べた糞のようだった。進んで行くとクマ糞があちこちにあった。コナラの枝が散乱し、クマ棚もあった。
タユウ谷へ向かう分岐道がある。小尾根を越えて谷へ下りる山道を進む。だんだんと境谷の水音が大きく聞こえるようになり、眼下に泡立つ水流が見えた。ちょうど10m滝付近だった。山道が谷側へ入る所で足許が悪くなる。山道が薮で覆われ寸断された所で谷へ下りる。
数分谷を進むと、5mほどの小滝がある。その先で谷の分岐に出る。左側にはワサビ田跡がある。右岸に上がると踏み跡がある。おそらくワサビ田へ入る山道だろう。左谷にもイノシシの踏み跡があった。
マムシグサ |
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分岐から数十メートル進むと両岸に石垣が残っている。ワサビ田跡である。ワサビはもう見られない。おそらく大雨のたびに流されたのだろう。石垣は両岸に50mほど続いている。ノイバラに実が付いていた。谷の水源の末端に石垣が組まれていた。そこから上流は伏流水になったいた。ここから出る湧き水をワサビ田に利用したのだろうか。
伏流水の谷を登る。モミジガサが実を付ける。ササの谷を進むと大きな窪みがあった。石積が残る炭焼跡だった。サラシナショウマが実を付ける。境谷左谷の水源を登り、小尾根に上がる。オトコヨウゾメの実が残る。そこからほどなく尾根の登山道に出た。ちょうど境界柱が3本立っている所だった。ダムから2時間半ほどで、気温は12度、北風が吹き空は雲が覆う。
落ち葉が埋まる登山道を南へ進む。1071ピーク手前にクマ棚があった。ブナの黄葉を見上げる。倒れたブナは以前計測したことのある2,9mブナだろうか。実を付けたマムシグサがあった。登山道はウリハダカエデの落ち葉で真っ赤な絨毯になっている。
アキノタムラソウ |
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尾根に出てから45分ほどで立岩山。向かいの十方山は雲が掛かっていた。眼下に押ヶ垰集落と立岩貯水池を望む。市間山の先も霞んでいるが、手前の山は全体が紅葉していた。岩尾根を進む。前方に日の平山が見える。立岩観音に下る。岩下に椀があった。
立岩山から30分ほどで坂原分岐。国道186号線への道標がある。そこから10分ほどで日の平山。周辺は薮で覆われていた。ササ薮の西尾根を下る。20分ほど下ると作業道終点に出た。作業道は南へ下りている。作業道から尾根に入ると、ササが刈られ切り開かれていた。
切開き道を下る。林間から小室井山が見える。途中、切開き道と分かれ、西側のヒノキ林を下る。黄葉したクロモジ群落の尾根を下る。途中、南へ下り平岩で一休み。そこからほどなく882m三角点。薮の中に新しく見える三角点があった。各面に「基本」「062 715」「国地院」「四等三角点」の書かれていた。
ノササゲ |
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三角点から南へ下り、ハグリ谷水源に下りる。谷を少し下って山腹を回り作業道に出た。作業道を進む。所々、草薮になっている。20分ほどで林道に出る。林道は東側は駄荷へ出る。林道を西へ進み、途中、分岐を南へ進み大井原山三角点に出る。林道傍に三角点があった。
林道をジグザグに下り、三角点から30分ほどで296号線に出た。林道は鎖止めがしてあった。時折雨粒が落ちてきたが、雨にはならなかった。20分ほどで立野キャンプ場入口。小松原橋に出ると、橋の上流が湖水面になったいた。ダムに相当水が溜まっている。貯水池左岸を進むと、湖岸の木々が水没していた。右岸の紅葉を眺めながら1時間ほどでダムに帰着。
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リンドウ |
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チャノキ |
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キクバヤマボクチ |
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ヤクシソウ |
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モミジガサ |
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ノイバラ |
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サラシナショウマ |
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イヌタデ |
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ハイイヌガヤ |
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フシグロセンノウ |
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ニノ原谷のスズメバチの巣 |
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カワラナデシコ |
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■地名考
立岩山
「立岩山の名は、『国郡志御用に付下調べ書出帳・上筒賀村』(1819年)に見えるし、、『芸藩通志』上筒賀村絵図(1825年)にも記されている」
「『芸藩通志』(1825年)の山県郡内古蹟名勝の項を見ると
石窟 上筒賀村、立岩山上にあり、中に実乗観音あり
と記されている。…『実乗』は読み方はわからないが地名ではないかと思われる。…吉和村側の村人にもこの峯に観音のあることはよく知られており、『ミノジの観音』と呼ばれている。『ミヨウジ』とか『ミヨジ』と言う人もある。『ミノジ』とは何であろう。…『吉和村絵図』(江戸末期)には、この峯付近の山に『三の氏山』という山名が付されている。『ミノジ』は『ミノウジ』が転訛したものと思われる。
ミノウジ観音 ミノジ観音 実乗観音と変化してきたもので実乗は当て字ではなかろうか」(「西中国山地」桑原良敏)。
タテは『険しい』という意
「立岩山の山頂付近の岩塊には呼称が付いていないようだ。そうなると立岩山は『立岩という岩塊のある山』という意ではないと考えざるを得ない。タテは『険しい』という意で、タテ岩は『岩が立っているように険しい』という意味となり、立岩山は、単に『険しい山』という意味となる。恐羅漢山の立山尾根も、これと同じように『険しい尾根』という意と解してよかろう」(「西中国山地」)。
桑原氏は、立岩山は「立岩のある山」の意でなく、「険しい山」の意としている。
「tate タテ」は、島根県隠岐島では共有の林の意。
奈良県十津川のタテカベは絶壁の意。
アイヌ語 tap
は肩の意で、山や崖などの上がった上の部分のこと。
tap-te タプテ は「(山の)肩の所」の意。
アイヌ語 tapkop タプコプは、「孤山」の意で、
tapkop=tap-ka-o-p
タプカオプ 「肩・の上・にある・もの」の意。
アイヌ語 ta
は、「打つ」「断つ」「切る」などの意がある。
ta-te タテ は、「断つ・所」の意となる。
アイヌ語 iwa
イワ は、「岩山、山 この語は今はただの山の意に用いるが、もとは祖先の祭場のある神聖な山をさしたらしい。語源は kamuy-iwaki-i
(神・住む・所)の省略形か」(『アイヌ語小辞典』)。
「ミノジ観音」がある立岩山は神聖な山の意であったのかもしれない。
「芸藩通志」上筒賀村絵図の立岩山
「芸藩通志」上筒賀村絵図では、市間山のとなりに立岩山が描かれ、大歳神社の奥に立岩山があるように見える。
立岩山と市間山
「芸藩通志」上筒賀村絵図 |
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「芸藩通志」吉和村絵図の立岩
十方山の南、吉和川の右岸に立岩の地名、左岸に大畠、一ノ原、二ノ原の地名が見える
立岩山と市間山
「芸藩通志」吉和村絵図 |
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「芸藩通志」戸河内村絵図の清水
立岩ダム下流右岸の清水は「セイズイ」と呼ぶが、絵図では「シミヅ」となっている。シミヅの西側に押ヶ垰の地名が見える。
清水(セイズイ)の地名
「芸藩通志」戸河内村絵図 |
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カシミール3Dデータ
総沿面距離18.7km
標高差636m
区間沿面距離
立岩ダム
↓ 3.4km
市間山南尾根
↓ 3.1km
日の平山
↓ 5.4km
県道
↓ 6.8km
立岩ダム
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