山歩き

二軒小屋…水越峠…山の神…押ヶ峠
2019/8/22

二軒小屋…水越峠…十方山林道…山の神…押ヶ峠…オシガ谷…十方山林道…二軒小屋

サバノ頭
死人谷の南まで法面工事が進んでいる
水越峠から鎖止め
崩壊地点は剥き出し
ケンノジ谷入口のヤマブドウ
崩壊地点から崩れた土砂
十方山林道
下山橋
草が蔽う林道
オバコ谷のワサビ田
オオハンゴンソウの林道
山の神の祠
オシガ谷
黒ダキ山の尾根を望む
鎖止めの押ヶ峠
展望地に増えたマムシ
タキワケ谷の滝
ノブスマ谷右岸のワサビ田
五月谷下流
キンカネリから水越峠へ
サバノ頭
6:50 二軒小屋 曇り 気温25度
 

7:45 十方山登山口
7:55 水越峠
9:00 下山橋
9:35 ワサビ田(左岸)
10:10 トリゴエ谷
10:40 山の神(祠)
11:15 スキヤドウ
11:45 押ヶ峠
12:10 カーブミラー
12:20 オシガ谷
12:30 山の神
13:00 ワサビ田(右岸)
13:20 ワサビ田(左岸)
14:40 水越峠
15:30 二軒小屋


 二軒小屋駐車場を出発、サバノ頭は低い雲が垂れ込めている。林道沿いにキンミズヒキ、ヌスビトハギが咲き、青いアジサイが咲く。アゲハが濡れた砂地に留まる。死人谷の日陰にピンクのクサアジサイが多い。シビト谷の集落跡の先まで法面工事と側面工事が終わっている。後は舗装を待つだけだ。舗装路が少しづつ南進している。

 八百ノ谷のシナノキの葉が茂る。白いクサアジサイがある。キブシにたくさん実が下がる。湿地にオオハンゴンソウが咲く。1時間ほどで十方山登山口。旧羅漢山登山口の先でイタヤカエデの葉がたくさん落ちていた。水越峠へ進むと、細見谷から涼しい風が吹いていた。気温は22度に下がっていた。

 細見谷へ下りる道には一般車両進入禁止の看板があり、鎖止めがしてある。ウドの球状の花が咲く。林道の崩壊地点は丸太が埋められ、通れるようになっていた。林道側面は剥き出しの崖で、大雨が降ればまた崩れるような状態だった。元々、上手の谷の水が溢れ林道に流れ出して崩れたものだが、谷は以前の状態のママだった。

オオハンゴンソウ
オタカラコウ

 林道が通行不能になっても、その場しのぎに直すだけの扱いの林道なのかもしれない。ケンノジ谷の橋へ進む。木に巻き付いたヤマブドウの蔓が垂れ下がっていた。ブドウが見当たらない、クマのお腹に入ったようだ。ケンノジ谷上流に堰堤があり、その上流に大きなゴギが生息している。

 林道を進むと、先ほどの崩壊地点から土砂が下の林道まであふれ出していた。右岸にあった廃屋は樹林の中に完全に埋没してしまった。ケンノジ谷を渡り林道を緩やかに下る。湿地に大きい葉のオタカラコウが咲く。エゴノキ科の実が付いたハクウンボクが多い。ヤブデマリの赤い実。オオハンゴンソウ、ヤグルマソウ、オオカメノキの青い実。

 林道沿いにオヒョウニレが多い。出発から2時間ほどで下山橋。気温23度。下山林道へ上がるゲートが閉じられている。橋のたもとにシナノキがある。マゴクロウ谷の入口にはオオハンゴンソウが咲いている。ボーギのキビレへの入口は茂っているが、谷沿いに進むと峠のブナの手前まで薮漕ぎは無い。

オヒョウニレ
ヒキガエル

 石が多い林道を進む。長者原上ノ谷に滝が落ちる。林道は草が茂り、山道のようになっていた。シシウドが咲く。ケヤキ原上ノ谷とオバコ谷の間のワサビ田の対岸で一休み。左岸に沿って鉄柵がある。大雨のたびに林道は寸断されるが、細見谷上流のど真ん中にあるワサビ田はどうやって管理されているのだろうか。私が知る限りでは、ノブスマ谷、カネヤン原中ノ谷、スキヤドウの水源にワサビ田跡が残っている。

 オオハンゴンソウが茂る林道を進む。林道に居た大きいヒキガエルが草むらに逃げる。イノシシの足跡が残る。水音に振り返るとタキワケ谷の滝が見える。カネヤン原中ノ谷の堰堤を過ぎる。林道の水溜まりにオタマジャクシが群れていた。山の神の祠に進む。かつてはここから細見谷を見下ろせたのだが、茂って山しか見えない。

 カーブミラー―は倒れ、祠は林の中に隠れていた。祠から林道を進む。スキヤドウを渡り、オシガ谷を渡って道はUターンする。ウドが咲く。祠の上部の展望地に出る。林道はスキヤドウの谷を大きく回り込み、スキヤドウを渡って西へ進む。南側が開け細見谷右岸の山が見える。

シシウド
林道を這う大ミミズ

 オシガ谷右谷を渡って展望地に出ると、足元にマムシが構えて威嚇する。展望地から黒ダキ山の尾根が見える。押ヶ峠で一休み、入口は鎖止めされている。クサアジサイが咲く林道を引き返す。30cmほどの大きいミミズがいた。展望地まで引き返すとマムシが増えていた。

 オシガ谷右谷を渡り、カーブミラーからスギ林を下り、ショートカットしてオシガ谷の橋へ出た。押ヶ峠から山の神まで40分ほど。エゴノキにたくさんの実が生る。タキワケ谷を過ぎて少し進むと山側へ道が入っていた。登ってみるとワサビ田のような石垣が段々に組まれていた。おそらくノブスマ谷から水を引いてワサビ田に流すようにしたが、現在、使用されている形跡は無かった。ノブスマ谷んの水源にはワサビ田跡が残っている。

 ワサビ田があるオバコ谷の対岸で休憩し、下山橋で一休み。橋の上に這うサルナシの蔓に青い実が付いていた。林道を進み、キンカネリの谷に入り、水越峠へショートカット。相変わらず細見谷から風が通り、気温は23度だった。そこから50分ほどで二軒小屋へ帰着、曇り空の気温25度だった。 

サルナシ
クサアジサイ
ヒヨドリバナ
キブシ
ウド
エゴノキ
ハクウンボク
コバノフユイチゴ


地名考

 山麓地名と山名

 地名の成立過程では、山名よりも山麓地名が先行する例は各地に散見される。谷の奥の頂にあるのが「〜谷の頭」地名である。谷の地名が先にあって、後に山名がその谷の名を冠して呼ばれるようになる。

 「西中国山地」の目次にある山名の内、三分の一が谷名と同じ地名である。山名や峠名は、その山の谷名や山麓地名から決まることが多い。以下に恐羅漢山周辺の地名を挙げてみる。

 大亀谷 大亀谷山
 (亀谷 亀谷山)
 広見川 広見山
 砥石川 砥石郷山
 中ノ川川 中ノ川山
 アマスギ谷 天杉山
 のたの原 野田原の頭
 シジリ谷 聖山(比尻山)
 彦八谷 彦八の頭
 クロダキ谷 黒ダキ山

 亀谷 カマのキビレ
 ジョシ谷 ジョシのキビレ
 ケンノジ谷 ケンノジキビレ

 以上のように周辺では山麓地名が山名になっている場合が多い。恐羅漢山と十方山は山麓地名が見当たらないが、恐羅漢山は次のように考えられる。

 恐羅漢山は匹見側では匹見羅漢と呼ばれる。恐羅漢山は『芸藩通志』戸河内村絵図では、旧羅漢山の位置に「ヲソラカン山」とあることから、細見谷の水源にある山である。

 「細見羅漢」→「ホソラカン」→「オソラカン」のように転訛したと考えられる。 

 恐羅漢山は「ソカヒ山」「ソカイ山」とも呼ばれる。広見川の古名は「カエの川」と呼ぶ。「カエ」は「サカエ」であったのではないか。

 ソカヒ山は「石見界に高山そかひ山としるす」とあるように、石見国、安芸国の国境の山である。周辺の地名に五里山の御境(オサカエ)、大神ヶ岳のミサカ谷がある。広見川の古名「カエ」は「サカエ」「サカイ」だったのではないか。

 サカエ山→サカイ山→ソカイ山→ソカヒ山のように転訛したのではないか。

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

カシミール3Dデータ

総沿面距離26.2km
標高差274m

区間沿面距離
二軒小屋
↓ 5.2km
下山橋
↓ 8.8km
押ヶ峠
↓ 5.8km
ワサビ田(オバコ谷)
↓ 6.4km
二軒小屋
 

 
石見・安藝境にある「ソカイ山」の位置

日本輿地路程全図(ニホンヨチロテイゼンズ)長玄珠 [図]
長久保 赤水(1717-1801 ナガクボ セキスイ)
安永4年=1775年
(早稲田大学図書館)
 
オオハンゴンソウが茂る十方山林道
黒ダキ山の尾根を望む
ノブスマ谷右岸のワサビ田
細見谷
 
登路(「カシミール3D」+「地理院地図」より)