山歩き

板ヶ谷…カナクラ峠…深入山…蔵座作業道
2018/6/3

板ヶ谷チェーン着脱場…イヌガ谷…カナクラ峠…登山口…深入山…蔵座作業道…ワル谷堰堤…板ヶ谷

■犬ヶ谷(イヌガダニ)915m:広島県山県郡戸河内町字板ヶ谷(点名 犬ヶ谷) (安芸太田町)
■深入山(シンニュウザン)1152.5m:広島県山県郡戸河内町大字松原字松原(点名 新入山=しんにゅうざん) (安芸太田町)

板ヶ谷
虫木峠
丈ヶ谷川の標柱 イヌガ谷
砂防堰堤
堰堤の看板
左岸の階段を下りる
砂防堰堤
左岸の階段を上がる
堰堤上部
谷の両岸に標柱
右岸の標柱
谷を進む
左岸の石積
両岸が迫る渕
右岸の小谷を登る
尾根に出る
カナクラ峠
915三角点
深入山入口
東登山口
階段を登る
カナクラ峠を望む
東側は岩が多い
大箒山と松原川の谷
深入山
深入山
南登山口分岐
横川谷の間に十方山と恐羅漢山
南登山口へ下りる道と向山
深入山
苅尾山と掛津山
割れた岩が多い
ホルンが響く
国道に沿う作業道に入る
周囲6.6mのトチノキ
分岐に出る 右はトチノキ道
ワル谷水源を通る道
ワル谷水源に組まれている石垣
広地に出る
作業道終点 赤い目印が林中に続く
目印が奥へ続いている
植林地下にユズリハが群生
草薮の堰堤上流に下りる
作業道に出る
堰堤
民家の横を通って駐車場に下りる
5:45 板ヶ谷チェーン着脱場 気温13度 晴れ
 

6:10 イヌガ谷
7:50 イヌガ谷西尾根
8:45 942P
9:15 カナクラ峠
9:30 915三角点
10:10 191号線
10:25 東登山口
11:35 深入山
12:05 南登山口
12:25 作業道入口
12:40 6.6mトチノキ
13:40 最早山北
14:25 作業道終点
16:00 ワル谷堰堤
16:40 板ヶ谷駐車場

 板ヶ谷チェーン着脱場から191号線を進む。左手に田植えを終えた水田が続く。赤い葉のモミジが翼を下げている。キバナコスモスが咲き、日陰の石垣にユキノシタが咲く。白い葉のマタタビ、ヤマグワが実を付ける。ササユリが咲く。

 国道の先に虫木峠が見える。犬ヶ谷川橋に出る。谷中に白い標柱が見え、「渓流名丈ヶ谷川」と書かれていた。左岸入口に丈ヶ谷川砂防えん堤の看板がある。左岸に入ると、堰堤が見え、岩止めの鉄柱が取り付けてある。道は堰堤で行き止まり。谷へ下りる階段が取り付けてある。

 階段を下りると、オオバアサガラがたくさん咲いていた。コンクリートで固めた川底は、藻が生えて滑る。石垣を掴みながら、堰堤を潜ると左岸に階段があった。階段を上ると、堰堤上部で行き止まり。

オオモミジ
ユキノシタ

 谷へ下りて進むと、左岸右岸に一本ずつ標柱が立っていた。右岸には「告示 平成11年9月24日 渓流名丈ヶ谷川」、左岸にも同様に書かれていた。しばらく谷を進むと、右岸に石積があった。少し先に炭焼跡があった。

 そこから先は両岸が深く狭まり、渕になったいた。登山靴では滑りやすい。渕の手前から右岸の尾根へ登った。ミズタビラコが咲く。水源の足元の岩陰に小さいマムシが居た。コアジサイが咲いている。谷から40分ほどで尾根に出た。アカマツが多く、タンナサワフタギが咲く。

 尾根を進み、1時間ほどで942ピーク。そこからカナクラ峠に続く尾根に出る。尾根の西に獣道が続いている。30分ほどでカナクラ峠。西側に踏み跡があるが、東側には無い。そこから10分ほどで915三角点に上がる。点名は犬ヶ谷。落ち葉に埋もれたのか三角点が見当たらなかった。

マタタビ
ササユリ

 三角点から西の小谷を下りる。途中、炭焼跡があった。松原川水源を渡り、191号線に上がる。深入山石碑から車道を上がる。途中、芝生の中の池の木陰で一休み。傍のシラカバが果穂を下げていた。草原に白いアヤメが咲いていた。

 車道を上がり、東登山口に出る。ツキノワグマ生息地の看板がある。階段道が続く。高度が上がり、展望が広がると、カナクラ峠が見える。ニガナが点々と咲いている。大箒山が頭一つ出ている。900m付近からヤマツツジが見られる。東側の小尾根には大きい岩が多い。

 松原川の谷が眼下に続いている。最早山に上がる作業道は見えない。1000mを越えた所まで樹林がある。南登山口分岐で一休み。南側から登る人が多い。横川の谷が真直ぐに延びる。左右に十方山と恐羅漢山、サバノ頭が正面に、右に砥石川山、左に向山の峯が続く。

シラカバの果穂
ミズタビラコ

 登山道は割れた岩が多い。登山口から1時間ほどで深入山。気温24度で涼しい風が吹く。山頂の展望図で山を確認できる。早々に南登山口へ下山。割れた岩で滑る。濃い色のヤマツツジがあった。地面から出たばかりのタンナサワフタギの幹に花が咲いている。30分ほどで南登山口。

 芝生の木陰で一休み。氷で首筋を冷やす。ホルンの音色が山にこだます。191号線に出て、作業道に入る。国道沿いの道を進む。蔵座谷の水を補給、顔を洗う。道横に伐採機が止まっている。分岐を進み、6.6mトチノキの所に出る。作業道は東へ延び、分岐に出る。作業道入口から真っすぐ進むと、この分岐に出るようだ。

 道端にサギゴケが群生する。イワニガナが生える。林縁にはヤブデマリ。最早山の北を回る。イノシシらしき足跡。導水トンネルを過ぎ、向山から続く南尾根の下に出ると、山の斜面が深く削られ、赤土が露出していていた。濡れた地面にイノシシの足跡。ホオノキの花が咲く。

コアジサイ
モミジガサ

 作業道はワル谷水源を越えて、尾根と接するように南へ延びている。ワル谷水源には、崩れないように大きい石垣が組まれていた。作業道は広地に出る。道はジグザグに下り、尾根上で終点。ヌタ場は先週より派手に泥だらけになっていた。

 終点から枝にテープを巻いた目印が東側に続いている。おそらく作業道は東に延びると思われる。終点から踏み跡を進み、大岩の地点から東へ下る。フタリシズカが咲く。導水トンネルを過ぎると、目印が立っていた。目印は東へ続き、ワル谷左岸の作業道に向かっているようにみえる。林下にタニギキョウ、コバノフユイチゴが咲く。

 目印から少し離れると、植林地に山道が通っていた。大岩を過ぎて山道を下る。山道は東へ続いていたが、予定していた南尾根へ下る。この辺り、植林地下にユズリハが群生している。大きいヤマザクラがあった。途中から堰堤に向かって急坂を下る。

ヤマツツジ
ヤマツツジ

 小尾根の獣道を下る。谷に下りると、猛烈な草薮の先に堰堤が見える。少し上流へ進み、左岸へ渡る。谷にはオオバアサガラの花びらが蔽うように落ちている。左岸の作業道に這い上がる。サルナシが咲いていた。堰堤横に「砂防指定地悪谷川」の看板がある。堰堤の右岸法面はコンクリートの壁で覆われていた。

 エゴノキの花が残っていた。林道を進み、駐車場の上まで来たが、崖になっている。引き返してワル谷左岸を下る。小屋を過ぎた所から、植林地の石垣下の水路に沿って進む。林道から下りる道は薮になっている。石垣から下の段に下りて民家の横に出た。水田跡の草薮からようやく駐車場に下りた。駐車場の周りはカキノキが植えられている。
 

オオバアサガラ
キバナコスモス
白いアヤメ
タンナサワフタギ
ニガナ
イワニガナ
サギゴケ
ヤブデマリ
ホオノキ
フタリシズカ
タニギキョウ
コバノフユイチゴ
コシアブラ
サルナシ
フランスギク



■地名考

 深入山の東にノボリタテの谷がある。西中国山地に以下のようなノボリ地名がある。

 ノボリタテ 深入山
 ノボリヨウ谷 寂地山
 ノボリヨウ谷 右谷山
 ノボリオ 安蔵寺山
 ホンノボリ 白旗山
 ノボリ 白旗山
 ノボリヨウ 大将陣山
 ノボリタテ 平家ヶ岳
 ノボリエキ 莇ヶ岳
 登り谷 大佐山
 登(ノボリ) 寒曳山


 北海道の登(ノボリ)

 歌登(ウタノボリ)=ウタ・ヌプリ=砂・山 573m
 登延頃川(ノボリエンコロ) ヌプリエンコロ=山の・鼻
 小登山(コノボリ) 514m
 大登山(オオノボリ) 564m
 登保 ヌプリポフ=子・山 樺太


 本州のノボリ

 登森(ノボリモリ) 147m 青森県 
 幟山(ノボリ) 211m 青森県
 大登山(オオノボリ) 350m 岩手県
 野登山(ノノボリ)852m 三重県
 登尾(ノボリオ) 1319m 和歌山県
 登り尾(ノボリオ)1057m 静岡県
 登尾(ノボリオ) 633m 鳥取県
 登尾山(ノボリオ) 887m 高知県
 中登岳(チュウノボリダケ) 949m 大分県


 東北、本州、九州の「森」「の森」「の森山」ほか

 青森県:乱岩の森、飯の森、ドコの森、大高森山、大森山、黒森山、小森山、笹森山、柴森山、高津森山、高頭森山、高森山、長者森山、塚森山、土筆森山、手白森山、伝次森山、都谷森山、七十森山、鍋森山、楢木森山、鉢森山、二ッ森山、馬糞森山、前高森山、森山、八森山、飯森山、参詣森

 山形県:中ノ森山、御城森山、大禿森山、大丸森山、大森山、グミヶ森山、黒森山、黒盛山、碁盤森山、笊森山、高森山、大豆森山、地蔵森山、地蔵盛山、天下森山、西黒森、八森山、鉢森山、離森山、半森山、東黒森山、二ッ森山、松森山、前森山、丸森山、御影森山、三ッ森山、葦草森山、飯森山、雨告山(アマモリ)、萱森岳、大滑山

 岩手県:鳥古の森、湯の森、参郷の森、三手の森、角森山、大鉢森山、大森山、笠森山、カモメ森山、傘森山、鞍掛森山、黒森山、毛無森山、笹森山、白森山、高森山、館ヶ森山、栃ヶ森山、鳶ヶ森山、砥森山、鉢森山、鉢屋森、枚根森山、前森山、丸森山、円森山、三ッ森山、三森山、八森山、湯森山、鷲ヶ森山、兎森山、江釣子森山、狼森、鉢屋森、孫守山、八森平山

 秋田県:湯の森、菰の森、駒頭の森、錫杖の森、大森山、頭無森、黒森山、笹森山、笊森山、獅子ヶ森山、大黒森山、土大森山、八森山、広森山、馬糞森山、前森山、丸森山、円森山、三ッ森山、三森山、靄森山、森山、湯森山、石森山、蝸牛山

 宮城県:長ノ森山、沼ノ森、中ノ森、尾鹿ノ森山、大森山、笹森山、高森山、鍋森山、八森山、鉢森山、番ヶ森山、半森山、二ッ森山、三森山、八森山、八森平山

 福島県:白猪森、懸の森山、中の森山、布森山、大高森山、笠ヶ森山、黒森山、小白森山、高津森山、高森山、、大沢高森山、鳥屋森山、八森山、三森山、貉ヶ森山、貉森山、出森山、飯森山、飯盛山、家森山、江森山、尖盛、雨降山、高つぶり山、信夫山

 新潟県:黒森山、鹿森山、高森山、貉ヶ森山、栃堀薬師山、杁差岳、頭山

 富山県:大坂森山、唐堀山、マルツンボリ山

 長野県:加加森山、金森山、高森山、鉢盛山、本高森山、飯盛山、小鉢盛山、佐武流山、大頭山、雀ヶ森、天ヶ森、三ツ森

 千葉県:津森山
 群馬県:雨降山
 東京・神奈川:一の森、景信山

 山梨県:中津森、水ヶ森、森山、美森山、飯盛山、身延山

 静岡県:加加森山、鳥森山、登り尾

 岐阜県:高森山、天狗森山、二ッ森山、三森山、夕森山、飯盛山、唐堀山、猪臥山

 福井県:飯盛山、飯降山

 石川県:高ツボり山

 愛知県:獅子ヶ森

 和歌山県:城ノ森山、善司ノ森山、鳥屋ノ森山、大森山、樫尾森山、城ヶ森山、百前森山、三日森山、麦粉森山、要害森山、赤土森山、飯盛山、甲森
 三重県:小森山、黒森、野登山
 京都府:天ヶ森、藤ヶ森、行者ヶ森
 奈良県:大森山、飯盛山、甲森
 大阪府:飯盛山
 兵庫県:伊勢ノ森

 岡山県:剣森山
 島根県:飯盛山、高堀山、比礼振山、盛太ヶ岳
 山口県:霜降岳、長者ヶ森

 福岡県:背振山
 宮崎県:大森岳、高森山、森山、飯盛山、楠森塚、夷守岳
 熊本県:天神森
 長崎県:石盛山、飯盛岳、飯盛山、三盛山
 鹿児島県:横堀の岡


 四国地方の「が森」「森」「の森」

 瓶ヶ森(愛媛・高知県境)
 八杉森(高知県)
 大の森(愛媛県)、茂の森(高知県)
 大森山(徳島県・愛媛県・高知県)
 黒森山(愛媛県・高知県)
 高森山(愛媛県・高知県)
 観音森、とやの森、東三方が森(愛媛県)
 東光森山(愛媛県・高知県)
 三ッ森山(愛媛県・高知県)
 一ノ森(徳島県)
 瀬戸黒森、大ノ森、四辻ノ森、妙見森、(愛媛県)


 「鏡味明克によると、「の森」「の森山」は、日本語地名の古い周圏分布を示している、モリ・モリヤマの分布とアイヌ語系のヌプリ(山)が接触した結果であると仮定できるという。

 東北地方では普通とらない助詞の「の」が多用されている。この多用されている助詞の「の」+「もり」を複合化した「のもり」と、アイヌ語系のヌプリが接触したとすると、ノモリとヌプリが混乱し、ヌプリがノモリに埋没したと考えられるのではないかという。

 つまり、nomori と nupuri の違いは2モーラ目の子音 n と p 、初めの2モーラの母音 o と u であり、母音は調音点は非常に近いのでよく変化するということと、アイヌ語の母音 u は非常に強い円心性があることを考慮すると、アイヌ語の u はよく日本語では o として円心性が捉えられるので、問題はあまりない。従って、問題になるのは子音であるが、これについては m も p も調音点は同じ両唇音であり、違いは単に口音と鼻音の調音法の違いだけであるから、上記のような混乱が生じるのは把握しやすいものである。

 従って、この混乱から後に「ヌプリ」が「ノモリ」へと変化したことが想定できるとしている(鏡味)

 「〜の森」の形式は東北地方におけるヌプリとの混交によるものである蓋然性が非常に高く、河川名の地名とする形式が最も多い中で、このような混交が形を変え、それが基層として存在していると見てよいだろう。

 北海道アイヌ語地名だけでも方言差がだいぶあるにもかかわらず、地名として残っているものはすべてその方言差がなく、それは樺太アイヌ語地名も東北地方のアイヌ語系言語(=蝦夷語)も同様であり、方言差がない。これは、各地に方言差が生じる前の古い時代に、これらの地域一帯でアイヌ語による地名がつけられ、その古い形態が保守的に維持されたと考えられる。7、8世紀の古文書に載っている時代においても、北海道や樺太に方言差がなく、同じ言語があったと解釈してよいと考えられる。

 このように、現代アイヌ語の地名が北海道のみならず東北地方、特に北部に多数存在し、ある地名は奈良時代初期に既に東北地方に存在していたことが明らかであり、北海道や東北地方のアイヌ語系地名は先史時代に遡れるということはほぼ明白である」
(以上『アイヌ語・日本語の形成過程の解明に向けての研究』板橋義三)。


 万葉集の「のぼり」(歌番号・原文・訓読・仮名)

0002 天乃香具山騰立 天の香具山登り立ち あめのかぐやまのぼりたち

0083 上立國見乎為<勢><婆> 登り立ち国見をせせば
 のぼりたちくにみをせせば

0167 神上 神上り かむのぼり
 
1753 嘯鳴登 うそぶき登り うそぶきのぼり

1757 筑波嶺尓登 筑波嶺に登 つくはねにのぼり

1760 雲立登 雲立ち上り くもたちのぼり

1783 中上 中上り なかのぼり

1828 山邊乎上 山辺を上り やまへをのぼり

4189 奈頭左比泝 なづさひ上り なづさひのぼり

4360 可治比伎能保理 楫引き上り かぢひきのぼり

 万葉集に「のぼり」を含む歌は10首ある。「のぼる」を含む歌は12首。「のぼり」「のぼる」の歌が、「山にのぼる」の意だけでなく、様々の場面で使用されている。


 山のアイヌ語

 nupuri ヌプリ 山

 ヌプリは北海道にあるが、西日本にそれが無いか。

 ヌプリ → ノモリ、ノボリ、ノホリ などへの転訛。

 西中国山地には次のような地名があり、ヌプリを連想させる。

 カブリ山(才乙)

 ノベリ(山名・才乙)

 カモリ山(佐伯町)

 カムリ山(吉和冠山)

 ウシロカムリ(後冠)

 ノボリ(大朝・鹿足河内など9ヶ所)

 クモリシタ(畳山南)

 登(ノボリ三角点 大朝)

 飯盛山(イイモリヤマ 広島県・鬼ヶ城山南)

 飯盛山(イイモリヤマ 島根県)


 日本列島南の山名

 沖縄では山は「岳」と表し、「タキ」と呼んでいる。
 沖縄本島の「岳」に以下がある。

 与那覇岳 498m
 八重岳 453m
 嘉津宇岳 451m
 伊湯岳 449m
 西銘岳 420m など。

 また「森」のつく山がある。「ムイ」「ムリ」と言う

 運玉森(ウンタマムイ)158m、中森102m
 波照間森(パティランムリ) 447m
 新川森130m、西森146m、ウーシーク森363m


 日本列島の南端では、古い言い回しや地名が残っているが、以下のような表現がある。

 奄美方言
 ヌブリ nuburi
 ヌブルリ nubururi
 のぼる(登る)

 首里・那覇方言
 ヌブイ nubui
 上り・登り・高いところへ上ること。

 キーヌブイ=木登り
 ヌブンジャー=登川(地名)

 今帰仁方言
 ヌブイ=登り・上り
 ヤマーナブイ=ヤマーヌブイ=山登り

 宮古方言
 ヌブイ nubuy 上る・首

 宮古諸島の大神島
 ヌプイ nupui 首

 大神島では濁音がなく「開けろ」「上げろ」は、両方とも「アキル」と言う。

 大神島では、奈良時代と同じく、ハ行がパ(pa)行になっており、花はパナ=pana と言う。夢は奈良時代には「イメ」と言うが、大神島では「イミ」と言い、最初の音は変わっていない。

 石垣島
 nuppui ヌップイ 
 nubui ヌブイ
 nubi ヌビ
 首・クビ

 沖永良部
 タカヌブイ=高登り

 徳之島
 ヌブイ=登り・上り・昇り

 茨木・岩手・八丈島
 ヌブル=のぼる

 八丈島
 ヌブロ nuburo 登る
 ヌブッテ nubutte(nuburite) 登って
 ヌブリブネ nuburi 上り船(江戸行きの船)

 首里・那覇方言
 ciburu チブル 頭、つぶり(久米島も)


 アイヌ語、ヌプリ nupuri は山の意であるが、奄美方言では登ることを、ヌブリ nuburi と言う。

 宮古諸島の大神島では、ヌプイ nupui 首 の意味があり、ヌプイ nupui は高い所を意味する。

 ヌプリ nupuri は、高い所=山、登る、の両方の意味があったのではないか。

 日本列島の北と南で、山、のぼるの意味に、ヌプリ(nupuri)、ヌブリ(nuburi)があるのは、偶然ではないと思われる。列島の中間に、様々な音韻変化の後に、nupuri に由来する地名が残っているのではないか。

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カシミール3Dデータ

総沿面距離17.6km
標高差715m

区間沿面距離
板ヶ谷
↓ 5.1km
カナクラ峠
↓ 3.0km
深入山
↓ 1.6km
作業道
↓ 7.9km
板ヶ谷
 

松原川と大箒山
深入山
横川川の左右に十方山と恐羅漢山 
向山と南登山道
苅尾山と掛津山 手前はトンガリ山
聖山と高岳と聖湖
周囲6.6mトチノキ
登路(「カシミール3D」+「地理院地図」より)