山歩き

一軒家…クルソン岩…冠山…冠山南登山道
2017/11/12

一軒家…頓原造林地…国体コース…クルソン岩…冠山…冠山分岐…寺床…54番鉄塔…一軒家

■冠山(カムリヤマ・コウソンカムリ)1339m:広島県佐伯郡吉和村字吉和西(点の記) (廿日市市)

林道入口
中の谷から落ちる滝
中の谷の滝と長平谷の合流点
中の谷を渡る
長平谷を渡って植林地へ
破線道上に古い頓原造林地の標識
破線道の山道から東側の植林地の山道を進む
タキガ谷右谷の水源を渡る
大きいケヤキの木
周辺の紅葉
大岩のゴーロ帯の岩上に生えるコナラ
国体コースの尾根を塞ぐ巨石
地籍図根三角点 1090m付近
クルソン岩を望む
クルソン岩
クルソン岩と冠山
冠山
恐羅漢、十方山を望む
源流碑
冠山分岐
ラジコン飛行場、鬼ヶ城山、羅漢山
平家三角点のアンテナ塔
登山道東側の紅葉
登山道を振り返る
54番鉄塔に出る
54番鉄塔から北東に延びる送電線
53番鉄塔に下りる
舗装道を下る
伴蔵川
フカ谷に架かる鉄橋
冠山トンネル喚起塔
6:40 一軒家 晴れ 気温5度

7:45 林道終点
8:10 古い頓原造林標識
8:25 山道
8:40 ケヤキ
9:00 大岩のゴーロ
10:00 1129P
10:15 クルソン岩
11:10 冠山
11:30 源流碑
12:00 冠山分岐
12:20 岩・展望地
12:25 寺床
13:40 54番鉄塔
14:55 一軒家


 一軒家から西へ進むと三叉路に出る。右のタキガ谷林道に入る。林道の際にツルリンドウが実を付けていた。日が射し始め、黄葉が光り輝く。マムシグサが赤い実を付け、実の上は黒い軸が見える。林道のU字カーブ付近から、眼下にタキガ谷の白濁した流れが見える。

 林道法面に石垣が組まれ、タキガ谷へ入る道にも石垣がある。赤い実を食われた、黒い軸が見えるマムシグサがある。9月には草薮だったところが、今は歩き易くなっていた。サラシナショウマに緑の実が付いていた。オオカニコウモリの花が残っていた。

 一軒家から1時間ほどで林道終点。終点から中の谷から落ちる滝が見える。林道から右岸の山道を登る。滝の下で長平谷が合流するのが見える。枯葉を踏み、中の谷右岸に下りる。中の谷左岸に渡り、谷沿いを進むと、「センター造林地 頓原事業地」の新しい方の標識がある。
 
頓原事業地
ツルリンドウ

 植林地の中の谷左岸の縁を進み、滝の落ち口の上部を通り、長平谷へ下りる。長平谷を渡り、左岸の植林地を進む。地形図にある破線道に沿って進み、小谷を渡ると、植林地の中に、「公社造林 頓原造林」の錆びた古い標識が残っている。

 破線道は消失しているが、破線に沿って植林地を進むと、古い標識の所から15分ほどで山道に出る。この破線道の山道は北側の尾根の国体コースに出て、クルソン分岐と繋がっているが、途中、所々消失している。植林地の中の山道を東へ進む。タキガ谷右谷の水源に出た所で山道が消失。

 谷を渡って小尾根に上がると、株立ちした大きいケヤキがあった。周辺は渋く紅葉していた。北東へ進み、植林地に入ると、大岩のゴーロ帯に出た。大岩の上で一休み、隣の大岩の上にコナラが根を張って立っていた。

マムシグサ

 植林地の大岩の間を通り、北へ進む。30分ほどで国体コースの尾根に出た。ポイントになる大岩があり、さらにその先に尾根を塞ぐ巨石がある。巨石の間を通って進むと、南側にも巨石がある。さらに進むと、尾根上に「地籍図根三角点」と書かれた標柱が立っていた。

 1129ピークに上がると、クルソン岩が目前に見える。冠山も見える。植林地の鞍部へ下り、クルソン分岐の登山道に出る。登山道にオオウラジノキの実がたくさん落ちていた。ローソク岩に上がり、周囲を展望する。引き返して登山道を進む。ナナカマドの実が落ちている。50分ほどで冠山。

 北側の展望地に出る。今日は見通しが良かった。旧羅漢山、十方山の前に、送電線鉄塔が御境から女鹿平山に向かって並んでいる。女鹿平山の右に吉和の里が見える。左には広高山、坊主山、後に大神ヶ岳の峯が見える。

サラシナショウマ
源流碑近くのブナ

 山頂から南へ下る。源流碑に入る道に道標があった。冠山から20分ほどで源流碑。碑の西側にスラっとした大きいブナがある。周辺にはユキザサの赤い実が多くあった。登山道を進む。道沿いにユキザサの赤い実が残っていた。15分ほどで松の木峠、寂地山への分岐に出る。

 登山道を進むと、西側に寂地山から右谷山への峯が見えてくる。分岐から20分ほどで岩のある展望地。鬼ヶ城山の手前の麓にラジコン飛行場が白く見える。後には羅漢山のレーダーサイトが見える。寺床を過ぎると、東に平家三角点のアンテナ塔が見えてくる。

 カラマツ林に入ると、見上げる黄葉が綺麗だった。下って行くと、東のアンテナ塔が上方に見えてくる。東側の谷の紅葉を眺めながら下る。レイホウカタケに上がる途中で振り返ると、下りてきた山腹の渋い紅葉が美しかった。ガマズミの赤い実があちこちに残っている。

オオウラジロノキの実

 防火用水の赤いドラム缶の所から、54番鉄塔に出る。鉄塔の左にゴルフ場の建物が見え、大峯山の頭が覗く。伐採された丸太に座り、一休み。傍にはカシワの幼木が葉を出していた。葉がすべて落ちたガマズミの実だけの木があった。カシワの大きい木がある。

 小室井山と日の平山の間に送電線が延びて、鉄塔が続いている。53番鉄塔に下りる山道を下る。ガマズミの赤い実が多い。カシワの木が点々とある。山全体が渋い紅葉に覆われていた。20分ほどで53番鉄塔に下りた。そこからコンクリート舗装の道を下る。

 舗装路の両側は草が茂る。ヤマノイモが果実をたくさんつけている。セイタカアワダチソウは背丈を越える。紅葉の林の向こうに伴蔵川が流れる。フカ谷の鉄橋を渡り、谷で顔を洗う。

 冠山トンネルの喚起塔の横を通る。ツルウメモドキの橙色の実が残る。クマシデが果穂を下げる。マムシグサの黒い軸があらわれていた。見上げるとカエデの紅葉が美しかった。

ユキザサ
カラマツの黄葉
カラマツ
登山道のカエデ
登山道のウリハダカエデ
ガマズミ
ガマズミ
カシワの幼木
伴蔵川左岸のカシワ
ヤマノイモ
ツルウメモドキ
クマシデ
マムシグサ
一軒家のカエデ



地名考

 冠山(かんむりやま)の呼称は、はじめ「カムリヤマ」と呼ばれ、後に「冠山」の字が当てられ、「かんむりやま」と呼ぶようになった。

 才乙の「冠山」も、元の呼び名は「かむり」と呼ばれ、地元では「かぶりやま」と呼ばれている。

 島根県瑞穂町の「冠山」は、元の呼び名は「カフリ山」であった。



 出雲風土記に冠山がある。出雲風土記、神門郡の山野にある冠山は「かがふりやま」と読む。

 「郡家の東南五里二百五十六歩の所にある。〔大神の御冠(みかがふり)である〕」(出雲風土記)。

 出雲風土記の冠山の由来は、大神の「みかがふり」ということから、山の形が大神の冠に似ているので冠山と呼んでいる。



 古事記に「みかがふり」がある。「次に投げ捨てた御冠(みかがふり)に生まれた神の名は、 飽咋(あきぐひ)のウシノの神」とあるように、冠(かんむり)の意として使われている。



 万葉集に「かがふり」を含む歌が3首ある。 

 歌番号892 
 麻被 引可賀布利(原文)
 あさぶすま ひきかがふり(かな) 
 麻ぶすまをかぶる(かける・ひっかぶる)(訳) 

 「かがふり」はかぶる、掛けるの意。

 歌番号3858 
 五位乃冠(原文)
 ごゐのかがふり(かな)
 五位の位階(冠は位を示す文書に代わった)

 「かがふり」は位を示す。
 古くは位階によって冠の色が違った。

 歌番号4321
 美許等加我布理(原文)
 みことかがふり(かな)
 天皇の命令を受け(訳) 

 「かがふり」は受けるの意。

 「かがふり」は古代には、「かんむり」「かぶる」「うける」の意があったことがわかる。



 次のような方言がある。

 首里・那覇方言
 カカイムン (名詞) 憑きもの。もののけが憑くこと。生霊または死霊が何か頼みごとなどあって人に憑くこと。

 今帰仁方言
 「カガーミー」「カンヂュイ」=鶏冠
 「カンビン」「ハンビン」は、被るの意。

 沖縄方言
 「カンムイ」は、頭にかぶるもの一般、帽子の意。
 「カンジュン」は、かぶるの意。

 奄美方言
 「カブルリ」は、かぶるの意。

 宮古方言
 「カヴ」は、生えるの意。
 「カムギ」は、鶏冠の意。



 次のようなアイヌ語がある。

 sikakamure シカカムレ 頭にかぶせる

 si-ka-kamure 自分・の上・にかぶせる

 上記の例から次のようにあらわすことができる。

 ka-kamure-i
 カ・カムレ・イ=カカムリ
 上・にかぶせる・もの

 「カカムリ」は古代語「かがふり」に近い。
 「カカムリ」が「カガフリ」に転訛したとも考えられる。

 「カガフリ」は「上にかぶせるもの」の意であり、「かんむり」「かぶる」の意となった。


 次のようなアイヌ語がある。

 kamu カム かぶさる・覆う

 kamu-re カムレ かぶせる・おおう

 kamuy カムイ 神 カム・イ=かぶさる・もの

 ka-mu-i カ・ム・イ 上面・ふさがる・もの
 (黒雲=カミナリ、雷雨 神=魔=おそろしいもの)



 国語辞書に次のようにある。

 被る(かがふる)=かぶる・受ける・賜る

 被る(かぶる) かがふるの音韻変化、かうぶるからさらに変化、覆う・浴びる・受ける・こうむる。

 こうぶる・かうぶる

 こうむる・かうむる こうぶるの音韻変化。

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カシミール3Dデータ

総沿面距離14.0km
標高差645m

区間沿面距離
一軒家
↓ 2.9km
林道終点
↓ 3.1km
クルソン岩
↓ 1.7km
冠山
↓ 1.4km
分岐
↓ 4.9km
一軒家
 

 
ローソク岩から
    クルソン岩                              冠山               広高山          立岩山・大神ヶ岳  千両山
ローソク岩から
クルソン岩と冠山
ローソク岩から
旧羅漢山・恐羅漢山         十方山                       女鹿平山                             小室井山
冠山から
                広見山                  恐羅漢山    苅尾山    十方山
カラマツ
冠山南登山道の山の紅葉
  
登路(「カシミール3D」+「地理院地図」より)