6:40 牛小屋 晴れ 気温3度
7:15 夏焼峠
7:30 早手のキビレ
8:15 中之甲林道
8:20 台所原
8:50 カメイ谷
9:45 ジョシ谷
11:10 ジョシのキビレ
11:30 ミチガ谷
11:55 トイシ谷
12:00 ハゲノ谷
12:10 ハゲノ谷林道終点
12:45 三本栃 13:35 カマのキビレ東
14:20 旧羅漢山
14:50 恐羅漢山
15:10 カヤバタのキビレ
15:45 牛小屋
気温3度で寒い風が吹く牛小屋を出発。朝日に輝く紅葉の恐羅漢山が美しい。夏焼峠に向かう登山道に入る。樹林は日に照らされ、真っ黄色に染まる。30分ほどで夏焼峠。峠から10分ほどで東側が開けた1131ピーク。北側に1166ピークが見える。
ピークから5分ほどで早手のキビレ。西側の登山道を下ると15分ほどで管理林道に出る。草が伸びる林道を進む。林道は1030m標高に平坦な道が西に続いている。マムシグサが赤い実を付けていた。北側が開け、天杉山、野田原の頭の植林地の山に紅葉が点在しているのが見える。
クロモジが黄色に染まる。水量多い小谷に滝が見える。林道が北側へ曲がる所で北側が開け、聖山が見える。さらに林道を進むと、日に照らされた中川山が迫ってくる。広場に出て、中ノ甲国有林の看板のある中之甲林道に出る。そこから5分ほどで台所原。
マムシグサ |
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台所原は以前はササ薮だったが、広島山稜会が台所原からカメイ谷までの登山道を整備され、歩きやすくなっている。台所原は四差路になっており、恐羅漢山、中ノ川山への山道が通っている。美しい紅葉のブナ林を進む。県境を越えて、カメイ谷側へ入ると、日に照らされた谷側の紅葉がさらに美しかった。
整備された山道をカメイ谷へ下る。所々、刈られたササが残っている。33曲りをジグザグに下る。北東から下りる小谷に出た所で一休み。そこからカメイ谷右岸の山道を進む。道沿いに石垣が残っている。カメイ谷の小滝の上流で山道は左岸に渡る。雨で水量が少し多かった。
左岸にも石垣がある。少し進み右岸に渡る。アマスギ谷左岸に石垣がある。アマスギ谷を渡り、少し進むと道が消失するが、再び右岸の道を進み、銅山跡付近から左岸に渡る。ジョシ谷へピンクのテープがある。少し下ると、幹に「広見入口」と書かれた古い掘痕が残っていた。
アケボノソウ |
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テープに沿ってジョシ谷に入る。この山道はジョシのキビレまで広島山稜会によって整備された。左岸に踏み跡がある。地形図に破線道があるが、途中から分岐を右谷に入る。しばらく登ると西側へのトラバース道がある。樹林の間をジグザグに登る。ホオノキの下に赤い実と黒い実が落ちていた。見上げると茶色のホオノキの葉が縮んでいた。
ジョシ谷側の樹林の紅葉が綺麗だった。イイギリの葉が落ちている。ミズナラの大木の横を通る。ジョシ谷から1時間半ほどでジョシのキビレ。東側の尾根のササが少し刈ってあった。キビレからスギ林を下る。20分ほどでミチガ谷。右岸の山道を進む。途中二か所で渡渉する。最後にトイシ谷を渡ると広見山登山口で、広見林道が東の山へ上がっている。
林道の真ん中にアケボノソウが咲いていた。広見山登山口から5分ほどでハゲノ谷入口。広見の三本栃の道標がある。ハゲノ谷林道にオオウラジノキの実がたくさん落ちていた。10分ほどでハゲノ谷林道終点。休憩してハゲノ谷を渡り、スギ林を進む。さらにハゲノ谷右谷を渡り、ハゲノ谷左岸の山道を進む。
オオウラジロノキの実 |
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三本栃
標柱は2004年の写真 |
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小谷を渡り、植林地を登る。ハゲノ谷林道終点から30分ほどで三本栃。栃の木の紅葉が綺麗だった。三本栃の後に回ると標柱が立て掛けてあった。見えにくくなっているが、2004年に立っていた匹見町教育委員会の標柱では周囲8.5m、樹高25m、推定年齢450年と書かれていた。
三本栃から植林地を登る。広見林道から通じている林道終点の鞍部を見ながらゴーロの山道を登る。三本栃から40分ほどでカマのキビレ東の尾根に出る。尾根の西側のササが少し刈ってあった。尾根沿いにジョシのキビレへ通じているかもしれない。ユキザサの赤い実が残っていた。
カマのキビレから東の尾根を登る。山道は巨石の横を通る。カマのキビレから40分ほどで旧羅漢山。展望岩に上がり、眼下の山並みを眺める。風も無く静かだった。恐羅漢山へ進む。ブナの葉が黄色に染まる。十方山への展望地に出る。30分ほどで恐羅漢山。眼下に紅葉の山々が広がっていた。北側の尾根上に風車群が続いている。
北尾根を下る。葉が落ちたサワフタギのブルーの実が残っていた。カヤバタのキビレから山道を東へ下る。ゲレンデに出ると紅葉の山並みが眼下に広がる。山道はゲレンデまでで、そこからは適当にゲレンデを下る。恐羅漢山から砥石川山に掛けての紅葉が見事だった。カヤバタのキビレから30分ほどでカヤバタリフト始点に下りた。
ブナ |
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ブナ |
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サワフタギ |
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ホオノキの実 |
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ホオノキ |
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ユキザサ |
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ミヤマシキミ |
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クサギ |
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クロモジ |
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イイギリ |
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三本栃 |
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三本栃 |
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三本栃 |
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半四郎山と広見山 |
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春日山 |
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深入山 |
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内黒峠 |
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■地名考
春日野満の『ひきみ川』の「広見川の章」に次のように記されている。
「広見川の流れは、中国山地を北流する谷川の中では、一番の急流で、広見の里を出外れた処から下流一里余に亘って、奇岩激流、川に沿って上り下りする事が出来ない難所である。広見の里に入ってからは、多少流れもゆるやかで、川をはさんで両岸に耕地が開けた里である…部落の下の方から数えて見ると、ゲジガ谷、八が平谷、わる谷、新山谷、霧が平谷、火の谷(オモ谷)、せいこ谷、地よし谷(ジョシ谷)、大赤谷等、相当の数にのぼるのである。その中の火の谷は、すこし登った所で二つに別れて、右の支流を子谷(ハタガ谷)と云っている。この子谷が火の谷に合流する地点の下の方は、中の原と云って、耕地も広く、従ってその周辺には人家も点在していた」
「西中国山地」(桑原良敏)の五里山の項で記されている地名とほぼ同じ地名が『ひきみ川』に記されている。京ツカ山から北へ下りるジョシ谷は、『ひきみ川』の「地よし谷」のことである。「地よし」は「ちよし」「じよし」とも読めるが、訛って「ジョシ」谷と呼ぶようになったと思われる。
ジョシ谷の落ち口には石垣が残っており、水田跡と思われる。それは「地良」であったのかもしれない。カメイ谷のジョシ谷落ち口には「寺床」「イヨキリ滝」「銅山跡」などがある。
カメイ谷はオオカメ谷とも呼ぶ。オオカミの方言以下がある。
オーガミ(茨木・千葉)、オイノ(青森・岩手・新潟)、オーイン(新潟、福井)、オーガメ(千葉)、オーカメ(静岡)、オーカメサマ(神奈川)などである。
大亀谷はオオカミの転訛であるかもしれない。
オオカメ谷の元の名がオオカメイであれば、オオカミのアイヌ語、オーセカムイに近い。オーカムイ、オオカメイ、オオカメのように転訛した。
「嘯き」(うそぶき)は、@口をすぼめて息を吹き、音を出す、口笛を吹くA咆哮する、ほえる、なく などの意がある。岩手では口笛をほそ笛(ホソベ)、山形ではホソと呼ぶ。
能楽では空吹(うそふき)と表わし、うそ(口笛)を吹いているような表情から名づけられたもので、狐、猿、狸などの写実的な動物面が使用される。
嘯む、嘯むくは嘯くに同じである。
狼は古語辞典では、「おほかみ」「大神」の意としている。「大神」は「立派なもの」の意で、狼は「立派な神」の意となる。
アイヌ語では狼は「wo-se-kamuy」「ウォー・セ・カムイ」で、「ウォー・と吠える・神」の意である。
狼=大神としたのは、後付られたものでないか。最初にアイヌ語=縄文語の「ウォーセカムイ」があり、「ウォーカム」「オオカミ」に転訛し、「大神」になった。あるいは「大亀」とも呼ぶようになった。
マタギ言葉にオソヲタテル、オソビキがある。どちらも口笛を吹くことを意味する。
出雲・石見地方の方言に以下がある。
「恐ろしい」の方言
出雲エリア北部一帯に、オゼ・オジェの分布が見られる。これらの語形の分布域をのぞく接境地帯全域には、オゾイが広く分布しているのが見られる。地図上ではオゼ・オジェとオゾイが対立している。
「恐ろしい」においては、『中国地方五県言語地図』と比較すると、オゼが海岸線沿いに、出雲側から石見側へと進出していることがわかる。オゼは『中国地方五県言語地図』を見ると、出雲市周辺のみに分布していた。その周囲には、広くオゾイが分布しているという状況であった。25年間に、オゼが周囲を取り囲んでいたオゾイの間に、割り込んだと見ることができる。
「恐ろしい」におけるオゼの分布が西へ伸びている。
オゼは、出雲市と松江市を含む、島根半島とその南部に分布していた。周囲には、オゾイの分布域が広がっており、オゼを取り囲んでいた。『中国地方五県言語地図』の調査時点から25年後の本調査時には、オゼは、出雲市からさらに西へと分布域を拡げ、接境地帯まで達している。
オゼに関しては、出雲市の中心付近では、オジェの音形で回答があり、接境地帯付近へ近づくに従って、オゼー、オゼへと形を変えている。そして、これらの語詞が勢力を広げた背景には、出雲市の力というものがあるのではないかと考えられるのである。
本稿で取り上げた語詞は、次のような質問を用いて収集したものである。
「恐ろしい」 大きな犬が何匹もほえかかって、今にもかみつきそうになる。そんなときの感じをどんなだと言いますか。
方言「オゼ」は、アイヌ語「ウォーセ」(狼)にもつながるように思われる。
(以上 『出雲・石見接境地帯方言の動態』
「中国地方五県言語地図」との比較を中心にして
野々村 憲・高永 茂 昭和61年調査)
「カマのキビレ」はカメイ谷のキビレ、オオカメ谷のキビレであると思われる。
カメイのキビレ → カメのキビレの転訛
オオカメのキビレ → カメのキビレの転訛
カシミール3Dデータ
総沿面距離18.0km
標高差704m
区間沿面距離
牛小屋
↓ 4.6km
台所原
↓ 5.0km
ジョシのキビレ
↓ 1.7km
ハゲノ谷
↓ 3.8km
旧羅漢山
↓ 2.9km
牛小屋
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