山歩き

三段峡…モリガ谷…内黒山…ジャノクラキビレ
2017/5/21

柴木…横川出合…モリガ谷…内黒山…札場…ジャノクラキビレ…恐羅漢公園線…柴木林道…柴木

■内黒山(ウチグロヤマ)1082m:広島縣山縣郡戸河内町字柴木(三角点なし) (安芸太田町)

西善寺横の田んぼ
発電所の上にサバノ頭が見える
長淵橋
姉妹滝
龍の口
遊歩道の手摺が壊れている
兜岩
皆実高校遭難碑
女夫淵
石樋と天狗岩
向山を望む
土砂が溜まる黒渕
黒淵荘へ下る階段
黒淵荘への遊歩道からの入口は通行止め
蛇杉橋
大淵
葭ヶ原のトイレ
横川出合
横川川左岸車道の西側の石垣
モリガ谷左岸に入ると神社
鳥居と拝殿
神殿
神殿と拝殿
モリガ谷のカツラ
トチノキの横から右岸に上がる
左岸の橋跡の石垣
左岸の石垣の横を通る
141電柱
谷の上流に小滝が見える
滝上の谷を登る
アオダイショウが向かってくる
下の林道
内黒山道標
内黒山
下に作業道が見える
防災無線の内黒山中継所
市間山、立岩山を望む
作業道で休憩
オオカメ谷水源堰堤から見た大平山
タキガ谷の伐採地へ下る
柴木林道に入る
タキガ谷上の集落から見た大平山
6:05 柴木 気温14度 晴れ
 

7:10 黒渕
8:20 葭ヶ原
9:20 横川出合
9:55 モリガ谷
11:15 小滝上
12:20 下の林道
12:40 上の林道
13:05 内黒山
13:55 遭難碑
14:35 ジャノクラキビレ
15:25 柴木林道
16:45 柴木

 駐車場から柴木川左岸の道に入る。西善寺横の田んぼは、田植えを終えたばかりだった。田んぼの横の柿木の花芽が出始めている。スギ林端のコガクウツギが咲いている。東側に鉄塔へ上がる道がある。三段峡の奥にサバノ頭が見える。

 カワガラスが下流から飛んで来て、下の石に留まった。柴木川発電所の横を通って山道に入る。発電所の裏に山から導水管が下りているのが見える。すぐ横に導水管に沿う山道に上がる、電気柵の入口がある。植林地を抜けて赤い長渕橋に出る。

 遊歩道を進む。龍ノ口、姉妹滝付近の水量が少なく思えた。谷岸にキシツツジが咲いている。遊歩道の手摺が壊れている所が多い。黄色の危険テープが張られている。兜岩、栂崎を見て、赤滝の前を通る。シライトソウが咲き始めている。

岸の岩に留まるカワガラス
コツクバネウツギ

 庄兵衛岩下のトンネルを潜って、皆実高校遭難碑に出る。女夫淵は深い水が溜まっている。石樋の上に天狗岩の懸崖が見える。関付を越えると天狗岩が目前。基盤岩の蓬莱岩を過ぎると、前方上に向山が見える。黒渕渡船場の上の坂を登る。

 上から覗くと、黒渕に土砂が溜まっているのが見える。黒渕の橋へ下りる手前に階段が取り付けられている。遊歩道からトイレに向かう斜面が崩壊したようだ。遊歩道を真っすぐ進む。雄滝の上に白い花が咲いているのが見える。滝近くまで進むと、エゴノキの花がたくさん落ちていた。金色のテンが谷から遊歩道を横切り、山へ入って行った。

 蛇杉橋に出ると、橋にベニヤ板が張ってあった。工事車両が入っているようだ。南峰橋も板が張ってある。大淵で休憩した。トンネルを通り、王城を回る。耶源の懸崖下を通り、少し進むと川が広くなる。ミズナシ川を渡ると、柴木川下流に向かって、トイレ、歩道の改修工事の看板が立ててある。

フタリシズカ
ホオノキ

 葭ヶ原を通り、柴木川を渡った所で休憩。サバノ頭からヌケ谷左岸の尾根を下りて、葭ヶ原に出たことがあるが、この付近は浅く、渡渉できる。三段滝分かれを過ぎ、楓林館跡付近から樹林が深くなる。猿飛渡船は営業中となっていた。二段滝上流に深い渕が見える。

 コアジサイが蕾を付けている。出発から3時間余りで横川出合。横川川左岸の車道を進む。車道の西側の植林地の中に石垣がある。幸橋を渡り、右岸を進む。ヤブデマリが咲き始めている。出合から30分ほどでモリガ谷入口。

 左岸の道を上がるとスギの古木の中に神社がある。神社正面右手にホオノキの大木がある。鳥居、拝殿、神殿に順に東西に並んでいる。奥の神殿には石垣が組まれている。鳥居の前で一休みした。神社の前の谷には株立ちしたカツラの大木がある。

神殿
鳥居
神社右のホオノキの大木
サルナシ
イワカガミ

 左岸の石垣のある植林地の中を進む。右岸にも石垣が見える。電線が左岸から右岸に延びている。取水用の黒いホースが谷に入っていた。石垣がなくなった所で谷へ下りる。谷を進むと、大きいトチノキがあった。そこから右岸へ上がり、電線の通る石積のある山道に出た。

 電線が左岸に渡る。少し先で山道は左岸に続く。左岸に橋跡の石垣が残っている。山道は石積の所でU字に曲がって、石垣のある山道を登る。オオ谷の所で山道は南へ上がっている。そこから電線が通る東にトラバースして、141番電柱の所に出た。電線の下に薄い踏み跡が残っている。

 131番電柱へ進む。電線はそこから南の尾根に上がっていた。131番電柱から谷へ下りようとすると、谷の先に小滝が見えた。左岸を巻いて滝上に出た。岩の谷を登る。岩の谷を20分ほど登って休んでいると、大きいアオダイショウが頭をもたげて威嚇してきた。ジリジリと迫ってくる。長い木枝でアオダイショウをぶら下げ、下方へ移動してもらった。

タニギキョウ
谷のトンボ

 谷の水源でトンボが羽を休めていた。小滝の所から1時間ほどで下の林道に出る。さらに20分ほどで上の林道。水源から尾根を登り、20分ほどで内黒山の道標。一休みして、ヒノキ林の内黒山を通り、南尾根を下る。

 尾根が細くなると、踏み跡が見えてくる。作業用の赤いテープが続く。大分下ると、下に作業道が見えてくる。防災無線の内黒山中継所がある。そこから先に開地があり、ハチガ谷の頭、市間山、立岩山、女鹿平山が見え、手前に那須の797P(鳥越キビレ東)が見える。ハチガ谷の頭の北側の山腹に、長く続く作業道が入っていて、市間山の下の方へ続いているのが見える。さらに下ると、NTTのアンテナがある。

カマツカ
ハナイカダ
ハナイカダ

 内黒山から50分ほどで遭難碑に出て、作業道の陰で一休みした。作業道はジグザグに中ノ谷水源の方へ下りている。遭難碑から県道を進むと、中国セルラーのアンテナ塔がある。県道を下り、ジャノクラキビレへ下りて見たが、道は無く薮だったので、早々に県道に戻る。

 ジョウダンの谷水源に作業道が入っている。オオカメ谷水源に堰堤がある。北東方向が開け、大箒山、大平山が見える。県道を下り、タキガ谷の伐採地に出る。ショートカットで斜面を下る。オオカメ谷沿いにオオバアサガラが咲いている。ホオノキの大きい花も咲いている。

 フナガ谷を過ぎて柴木林道に入る。ホオノキ、キリが咲いている。1時間ほどで、タキガ谷上の集落に出る。集落から大平山が見える。竹が背丈を越えるほど伸びていた。林道から柴木発電所が見えてくる。林道に入ってから1時間余りで駐車場に帰着。

シライトソウ
コケイラン
タツナミソウ
ベニドウダン
雄滝のエゴノキ
雄滝のエゴノキ
キシツツジ
コンロンソウ
クルマバソウ
オククルマムグラ
ナツトウダイ
アワブキ
ムラサキケマン
ヤブデマリ
ヤグルマソウ
コマユミ
ウリハダカエデ
ホウチャクソウ
ヤマボウシ
ヤマボウシ
オオバアサガラ

地名考

 西中国山地の「モリ」を含む谷地名の入口には、神社や社(ヤシロ)、祠などがある所が多い。

 匹見町紙祖 モリガ谷 天満宮
 匹見町紙祖 モリガエキ 社
 戸河内横川 モリガ谷 社
 戸河内坂原 モリ谷(藤源太谷) 大歳神社
 安蔵寺山 モリガ谷 地蔵


 「もり」を国語辞典で引くと、「森」「杜」と表され、次のような意がある。

 @樹木が多くこんもりと生おい茂っている所。

 A特に、神社をかこむ木立。 《杜》 「鎮守の杜」 

 万葉神事語辞典(国学院大学HP)に以下のようにある。

 もり・やしろ(杜・社) Mori / Yashiro

 @木の茂ったところ
 A神の居所としての樹木や岩
 B神祀りの場

 @の意味で、原文に「森」を使用した歌が万葉集に、1例ある。

 (原文)朝旦 吾見柳 鴬之 来居而應鳴 森尓早奈礼 

 (訓読)朝な朝な我が見る柳鴬の来居て鳴くべく森に早なれ

 万葉集では「神社」、「社」を「もり」と読んでいる。

 以下に万葉集の歌番号、原文、仮名の順。

 202 哭澤之神社 なきさはのもり
 1378 齋此神社 いはふこのもり
 1419 伊波瀬乃社 いはせのもり
 1466 磐瀬之<社> いはせのもり
 1470 石瀬之<社> いはせのもり
 2839 浮田之<社> いくたのもり
 2856 石田<社> いはたのもり


 出雲風土記に母理郷(モリゴウ)がある。

 島根県安来市伯太町母里(ハクタチョウモリ)の周辺に母理郷があった。母里の地には、町の中央を伯太川が流れ、西に西八幡宮、東に東八幡宮が鎮座している。

 母理郷の由来は出雲風土記に次のようにある。

 出雲風土記原文

 我静坐國。青垣山廻賜而、玉珍置賜而守。詔。故云文理。

 訳 私(大穴持命)が鎮座する国は、青々とした垣根のような山々を周囲に巡らせて、玉珍(貴重な玉)を置いて守っていこうとおっしゃった。だから、文理という(神亀三年=726年に字を母理と改めた)。


 「もり」は、大穴持命が鎮座する国として、国をしずめる、静める、鎮める意があった。そのための杜で、玉を置く社であった。


 西中国山地の「モリ」地名は、神社、社のモリの意であると考えられる。


 出雲風土記原文

 母理郷 郡家東南卅九里一百九十歩。所造天下大神大穴持命、越八口平賜而還坐時、来坐長江山而詔、我造坐而命國者、御皇孫命平世所知依奉。但、八雲立出雲國者、我静坐國。青垣山廻賜而、玉珍置賜而守。詔。故云文理。〔神亀三年、改字母理。〕


 アイヌ語 mo-re 「モレ」に、静める、鎮めるの意味がある。

 mo モ 静かである、静かになる

 mo-re モレ 静める

 hum-more フムモレ 音を静める

 i-ko-hum-more イコフムモレ 我の為、音鎮めて

 more-nispa モレニシパ 治めて居た首領

 more nishpa imoshiri kata モレニシパ イモシリカタ
 治めていた首領の国の中で

 ayaykomorep アヤイコモレプ 我が鎮めていた・静かに暮らしていた

 ayaikomore kamui moshiri アヤイコモレ カムイモシリ
 我が鎮めていた 神の国

 haw ko more ハウコモレ 声を静める

 ア・ヤイコタン カ モレプ ア・ネ ルウェ
 私自身の村の上を静かにする者が私である


 奄美方言

 ヨーリックヮ jooriQkwa 静かに

 モーリ シュリ moori sjuri 亡くなられる
 (simjuriの尊敬体)

 喜界島方言

 ヨーリ ゆっくり(ヨーイと同意)
 ヨーイ 静かに

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カシミール3Dデータ

総沿面距離22.4km
標高差758m

区間沿面距離
柴木
↓ 9.3km
横川出合
↓ 4.6km
内黒山
↓ 2.6km
ジャノクラキビレ
↓ 1.9km
柴木林道
↓ 4.0km
柴木
 

札場から
                   市間山                         立岩山                日の平山
札場から
ハチガ谷の頭の北側に作業道が入り、市間山へ延びている
 
登路(「カシミール3D」+「地理院地図」より)