山歩き

焼山川…中ノ川…加森山…飯ノ山貯水池
2017/5/14

魅惑の里…焼山峠…中ノ川…加森山…鹿之打橋…峠…幹林道…飯山…飯ノ山貯水池…魅惑の里

■加森山 874m:広島県佐伯郡佐伯町大字虫所山字加森山(点名:蛇ノ谷:ジャノタニ)

(周辺の三角点)
(加森山の北) ▲中ノ河(ナカノコウ) 990m:広島県佐伯郡佐伯町大字虫所山字加森山(点名:中の河)
(加森山の南)▲下加森(シモカモリ) 610m:広島県佐伯郡佐伯町大字虫所山字加森山(点名:下加森)
(加森山の南)▲鹿の打(カノウツ) 700m:広島県佐伯郡佐伯町大字虫所山字加森山(点名:鹿の打)

(加森山の西)▲黒打(クロウツ) 806m:広島県佐伯郡佐伯町大字飯山(点名:黒打)
(加森山の西)▲飯山(イイヤマ) 890m:広島県佐伯郡佐伯町大字飯山(点名:飯山)
(加森山の西)▲東天徳(ヒガシテントク) 902m:広島県佐伯郡佐伯町大字飯山字天徳(点名:東天徳)

(加森山の南)▲大杖谷(オオヅエダニ) 787m:広島県佐伯郡佐伯町大字栗栖字北山(点名:大杖谷)
(加森山の南)▲上北山(カミキタヤマ) 818m:広島県佐伯郡佐伯町大字栗栖字北山(点名:上北山)
(加森山の南)▲中鍋谷(ナカナベダニ) 646m:広島県佐伯郡佐伯町大字虫所山字鍋谷山(点名:中鍋谷)

(加森山の北)▲柳ヶ谷(ヤナギガダニ) 828m:広島県佐伯郡佐伯町大字虫所山字青笹山(点名:柳ヶ谷)

(飯山貯水池の北)▲西天徳(ニシテントク) 833m:広島県佐伯郡佐伯町大字飯山(点名:西天徳)
(飯山貯水池の北)▲向井谷(ムカイダニ) 944m:広島県佐伯郡吉和村字吉和東(点名:向井谷)

(飯山貯水池の南)▲滝ノ口(タキノクチ) 763m:広島県佐伯郡佐伯町大字飯山字天徳甲(点名:滝ノ口)
(飯山貯水池の南)▲野田越(ノダコシ) 879m:広島県佐伯郡吉和村字吉和東(点名:野田越)
(飯山貯水池の南)▲平松峠(ヒラマツ) 935m:広島県佐伯郡佐伯町大字飯山字天徳(点名:平松峠)

太田川源流の森の碑
焼山峠
板敷山
加森山
植林地の中ノ川水源
日本製紙の看板
鉄塔が見える
カモリ谷への入口
板敷山への入口
左中ノ川 右が加森山へ上がる谷
植林地の谷を進む
小滝の下流右岸が上部から崩れている
板敷山
加森山
尾根上の巨石の上に出る
後方左に三倉岳 右に鬼石山、横山
西側の谷の右岸に作業道
尾根から作業道に下りる
作業道分岐
鹿之打橋(カノウチ)
橋が架かっていた右岸の石垣
林道終点の先の石垣 この上に山道
植林地下の山道
谷沿いの石積
水が溜まる峠
水流が刻んだ林道
幹林道右岸の伐採地
幹林道から橋を渡って右岸へ
伐採地の現場
橋を渡ると廃車
鉄塔への入口
鞍部の苔むした石柱
廃車 935P西
放置された農機具
木橋
鬼ヶ城山 飯山
飯ノ山貯水池
林間学校
湿地になっている飯ノ山貯水池東
太田川源流の森の林道
5:55 ツリーハウス入口 気温12度 晴れ
 

7:05 焼山峠
7:50 中ノ川右岸の谷入口
9:30 加森山
10:25 作業道
11:10 鹿之打橋(カノウチ)
12:45 峠
13:20 幹林道
13:25 鉄橋
14:55 飯山
15:15 飯ノ山貯水池堰堤
15:50 林間学校 
16:30 林道終点
16:55 源流の森入口 
17:10 出発点 

 
 魅惑の里の奥のツリーハウス入口付近を出発。県道所山潮原線を進む。オトコヨウゾメ、ミヤマガマズミが咲いている。ヨコウツ橋を渡ると、古い墓所がある。墓石の裏面の文字によれば女性の墓のようだ。墓所の横を間伐作業道冠支線が入っている。

 県道の西側はカラマツ林になっている。タタバ橋を渡る。車道カラマツの実が落ちている。ノタノグイメマガの谷とクロウツ谷の合流点に太田川源流の碑がある。少し進みユルギ橋を渡った先が、太田川源流の森の入口。周辺にマツカサの食痕が落ちていた。

 一の渡出橋を渡って少し進むと、太田川源流の森の看板があり、林道が南へ上がっている。地形図では破線道が南へ延びている。ここから坂の車道を東へ上がる。車道にホオノキの実が落ちていた。見上げると、ライトグリーンの大きい葉が高く広がっていた。

墓所
墓所
カラマツ
マツカサの食痕
ウスギヨウラク

 山全体にシロモジが多い。出発から1時間ほどで焼山峠。峠に太田川源流の森の標柱がある。サルトリイバラが花を付けている。県道の方角によっては、林間から板敷山、加森山が見える。県道は植林地の中ノ川水源を回り、左岸を下る。水源付近は日本製紙の社有林になっている。

 中ノ川左岸の県道をしばらく下ると、送電線鉄塔が見えてくる。堰堤を過ぎると、鉄塔への入口がある。この山道はカモリ谷へ上がっている。さらに県道を進むと、ハタ谷左岸に鉄塔への標柱がある。ハタ谷に上がる山道は、板敷山へ上がっている。

 さらに県道を下って、工事現場の手前から加森山へ上がる谷へ入る。加森山三角点の点の記情報では、この谷から加森山へ上がる破線道が記されている。中ノ川の右岸に渡り、小谷の左岸に入る。道らしきものは無く、谷沿いに進む。植林地の小谷を進む。

イワカガミ

 右岸に見える踏み跡に上がり、少し進むと山肌が崩れて道が消失。再び谷を進むと、小滝の手前で右岸の斜面が崩れていた。崩れた所の上の山腹に登る。薮を抜けてアカマツのある植林地の主稜に出ると、踏み跡がある。涼しい風が吹き、気温は20度だった。板敷山が見える。

 岩の所から一旦下って鞍部に出て、再び登ると加森山。林で展望は無い。西尾根を下り、岩の所から南へ下る。巨石が尾根を塞ぐ所に出る。アカマツの生える岩上に出ると、絶好の展望所になっている。中央に遠く三倉岳が見え、その右に鬼石山、横山の峯が大きく見える。西側の下の谷の右岸に作業道が通っているのが見える。

 尾根上の岩は50mほど続いている。谷の分岐に出る。倒木が多い右谷に作業道が上がっていた。左谷の水場で一休み。しばらく下り、重機の置いてある作業道の分岐に出る。作業道をさらに下り、鹿之打橋に出た。橋名は「カノウチ」となっているが、北尾根上の700m三角点は「カノウツ」になっている。

ベニドウダン

 一休みして、カノウチ橋を渡り、茂っている左岸の道を進む。橋を渡り、右岸の植林地の中の幅広の道を進む。S字カーブの所には古い石垣が残っている。左岸に渡る橋が落ちていた。橋を渡す古い石垣が両岸に残っている。そこから少し進むと、道の終点。終点先の左岸に石垣がある。その上に山道が通っていた。

 山道は所々、茂っているが、植林地に入ると明瞭になる。谷沿いに石積が残っている。鹿之打橋から1時間半ほどで鞍部に出た。鞍部には水溜まりがあり、オタマジャクシが泳いでいた。西から北方向へU字に林道が通っていた。西の植林地の林道を下る。前方に935ピーク(平松峠)が見える。林道は水が流れた跡が深い溝になっている。

 峠から30分ほどで幹林道に出た。谷の右岸が伐採され、幹の下部が伐採されたまま残っている。左岸の林道を少し進み、橋を渡って右岸に入る。さきほどの伐採された広場に出ると、林道工事の測量現場のようで、重機が置いてあった。

タカノツメ
アオダイショウ

 北西に向かう林道を進み、谷を渡ると廃車があった。そこから少し先に、鉄塔へ上がる標柱がある。ガサガサと音がする方を見ると、大きいアオダイショウが頭をもたげていた。この林道も所々、水流が侵食している。鞍部に苔むした古い石柱が倒れていた。少し進んで、谷を渡ると廃車があった。この辺り、車が通る林道だったようだ。

 少し進むと錆びた農具が放置してあった。進むとさらに廃棄された農具があった。そこから少し先に朽ちた木橋が架かっていた。植林地下の水場で一休みして、幹林道から1時間半ほどで飯山の186号線に出た。国道から鬼ヶ城山が見える。日が照りつける暑い国道を進み、小瀬川水源の貯水池に上がる林道に入る。

 15分ほどで飯ノ山堰堤に出た。貯水池の水は少ないが、堰堤下でカワウが休んでいた。岸沿いの林道を進む。30分ほどで林間学校。そこから少し進むと山道に入る。この辺りの貯水池は水が無く、湿地帯になっている。貯水池の東端から林道終点に出る。堰堤からここまで、1時間余りであった。整備された源流の森の林道を進む。25分ほど源流の森の入口。そこから15分ほどで出発点に帰着。
 

飯ノ山貯水池のカワウ
ハイノキ
キシツツジ
オオバヤシャブシ
ツボスミレ
サルトリイバラ
ギンリョウソウ
ウリカエデ
オトコヨウゾメ
オトコヨウゾメ
ウスノキ
ダイセンミツバツツジ
ダイセンミツバツツジ
ツリバナ
アカマツ
ミヤマガマズミ
ホオノキの実
コナラ


地名考


 万葉集(歌番号1600、1602)に、

 「鹿鳴く山辺」(かなくやまへ)とあり、「鹿」を「か」と読んでいる。

 加森山南の700m三角点に、点名「鹿の打」(カノウツ)があり、「加森山」は「鹿森山」とも考えられる。

 西中国山地地形方言「ウツ」は、「狭い谷、狭い崖、狭い峠道。獣の通路」(「西中国山地」桑原良敏)とある。

 「カノウツ」は、方言に従えば、「鹿の通路」と考えられる。「加森山」は「鹿の森」の意となるが、以下に述べるように、「加森山」は「鹿の山」の意と思われる。


 万葉集には鹿の山、鹿の野の表現が多い。以下に歌番号と訓読。「さを鹿」は牡鹿。

 84 鹿鳴かむ山
 953 さを鹿の鳴くなる山
 1600、1602 鹿鳴く山辺
 1580 さを鹿の来立つ野辺
 1598 さを鹿の朝立つ野辺
 2267 さを鹿の朝伏す小野
 2268 さを鹿の小野
 2277 さを鹿の入野
 3099 伏す鹿の野


 東北地方では山のことを「の森」「の森山」などと表す。

 青森県:乱岩の森、飯の森、ドコの森
 岩手県:鳥古の森、湯の森、参郷の森、三手の森
 秋田県:湯の森、菰の森、駒頭の森、錫杖の森
 宮城県:長ノ森山、沼ノ森、中ノ森
 福島県:白猪森、懸の森山、中の森


 四国地方では「が森」が多いが「森」「の森」もある。

 瓶ヶ森(愛媛・高知県境)
 八杉森(高知県)
 大の森(愛媛県)、茂の森(高知県)


 鏡味明克によると、「の森」「の森山」は、日本語地名の古い周圏分布を示している、モリ・モリヤマの分布とアイヌ語系のヌプリ(山)が接触した結果であると仮定できるという。

 北海道ではヌプリは「登」(ノボリ)の漢字を使っている。

 歌登(ウタノボリ)=ウタ・ヌプリ=砂・山

 「ノボリ」の山名は本州にもある。

 野登山(ノノボリ)852m 三重県
 登り尾(ノボリオ)1057m 静岡県


 山のアイヌ語

 nupuri ヌプリ 山

 ヌプリは北海道にあるが、西日本にそれが無いか。

 ヌプリ → ノモリ の転訛。

 西中国山地には次のような地名があり、ヌプリを連想させる。

 カブリ山(才乙)

 ノベリ(山名・才乙)

 カモリ山(佐伯町)

 カムリ山(吉和冠山)

 ウシロカムリ(後冠)

 ノボリ(大朝・鹿足河内など9ヶ所)


 沖縄では山は「岳」と表し、「タキ」と呼んでいる。
 沖縄本島の「岳」に以下がある。

 与那覇岳 498m
 八重岳 453m
 嘉津宇岳 451m
 伊湯岳 449m
 西銘岳 420m など。

 また「森」のつく山がある。「ムイ」と言う

 運玉森(ウンタマムイ) 158m
 波照間森(パティランムリ) 447m



 日本列島の南端では、古い言い回しや地名が残っているが、以下のような表現がある。

 奄美方言
 ヌブリ nuburi
 ヌブルリ nubururi
 のぼる(登る)

 首里・那覇方言
 ヌブイ nubui
 上り・登り・高いところへ上ること。

 キーヌブイ=木登り
 ヌブンジャー=登川(地名)

 今帰仁方言
 ヌブイ=登り・上り
 ヤマーナブイ=ヤマーヌブイ=山登り

 宮古方言
 ヌブイ nubuy 上る・首

 宮古諸島の大神島
 ヌプイ nupui 首

 大神島では濁音がなく「開けろ」「上げろ」は、両方とも「アキル」と言う。
 大神島では、奈良時代と同じく、ハ行がパ(pa)行になっており、花はパナ=pana と言う。夢は奈良時代には「イメ」と言うが、大神島では「イミ」と言い、最初の音は変わっていない。

 石垣島
 nuppui ヌップイ 
 nubui ヌブイ
 nubi ヌビ
 首・クビ

 沖永良部
 タカヌブイ=高登り

 徳之島
 ヌブイ=登り・上り・昇り

 茨木・岩手・八丈島
 ヌブル=のぼる

 八丈島
 ヌブロ nuburo 登る
 ヌブッテ nubutte(nuburite) 登って
 ヌブリブネ nuburi 上り船(江戸行きの船)

 首里・那覇方言
 ciburu チブル 頭、つぶり(久米島も)



 アイヌ語、ヌプリ nupuri は山の意であるが、奄美方言では登ることを、ヌブリ nuburi と言う。

 宮古諸島の大神島では、ヌプイ nupui 首 の意味があり、ヌプイ nupui は高い所を意味する。

 ヌプリ nupuri は、高い所=山、登る、の両方の意味があったのではないか。

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カシミール3Dデータ

総沿面距離24.1km
標高差392m

区間沿面距離
ツリーハウス
↓ 3.4km
焼山峠
↓ 4.0km
加森山
↓ 2.5km
鹿之打橋
↓ 6.8km
飯山
↓ 7.4km
ツリーハウス
 

展望岩から
                          三倉岳           冠岳     二代木山 鬼石山 横山      羅漢山
 
登路(「カシミール3D」+「地理院地図」より)