山歩き

日の平山…立岩山…市間山…立岩ダム
2017/2/19

駄荷…論田の頭…日の平山…立岩山…市間山…大休ミの丘…立岩ダム…駄荷

■日の平山(ヒノヒラヤマ)1091.4m:広島県佐伯郡吉和村字吉和東(点の記) 廿日市市
■立岩山(タテイワヤマ)1135.0m:広島県山県郡筒賀村大字上筒賀字立岩山(点の記) 安芸太田町
■市間山(イチマヤマ)1108.8m:広島県山県郡筒賀村大字上筒賀字市間山(点の記) 安芸太田町

駄荷集会所を出発
駄荷バス停から集落に入る
集落から植林地の林道を進む
檻ワナがある五本桂林道分岐
林道から尾根に上がる
論田の頭
クリの木のクマ棚
ブナの爪痕
日の平山
坂原分岐
立岩山
岩尾根を進む
立岩観音=ミノジ観音(実乗)
立岩貯水池と十方山
女鹿平山と冠山
立岩山と市間山
瀬戸内海を望む
キハダ群生地から急な尾根を下る
尾根上の雪の吹溜り
市間山
主尾根から小尾根へ下る
境谷右岸から上がる山道に出る
大休ミの丘の小谷を渡る
立岩ダムに下りる
押ヶ垰集落を望む
崖崩れが県道を塞ぐ
県道を覆う雪
大谷川川口
ニノワラのリュウズ右岸の崖の崩れた雪
十方山登山口
除雪されている立野キャンプ場入口
6:45 駄荷集会所 気温-1度 晴れ
 

8:15 五本桂分岐
9:50 論田の頭
10:25 日の平山
10:40 坂原分岐
11:30 立岩山
13:00 市間山
13:20 下降地点
14:40 山道
14:50 大休ミの丘
15:35 立岩ダム
16:55 十方山登山口
18:00 駄荷集会所


 天候の回復を待つ。霙が止んだところで駄荷集会所を出発。「通行止 冬季閉鎖 戸河内線」の標識が赤く点滅している。雪の吉和川が静かに流れる。駄荷バス停から駄荷集落に入る道を進む。車道にウサギの足跡が続く。

 集落端の車道から雪の林道に入る。ここでカンジキを履く。雪道は湿って重たい。ダニノ谷左岸の林道を進む。ウサギの足跡が雪に深く沈んでいる。林道五本桂線の分岐に出る。分岐にイノシシワナの檻が設置してあった。

雪の吉和川
雪に沈むノウサギの足跡
ダニノ谷
ダニノ谷上流
ヤマドリの足跡

 植林地の林道を進む。ヤマドリの足跡が林道を横切る。林道から日の射す植林地に上がる。雪は粗目状でサラサラしていた。尾根に出ると雪は締まっていた。東側に小室井山の峯が続くのが見える。ほどなく論田の頭に出る。座り込んでコーヒータイム。東側尾根の切ふさぎ尾にピンクのテープが下りていた。

 境界尾根を進む。日の平山南面に出ると、クリ、ブナにクマ棚がある。ブナに爪痕が残っていた。林間から吉和の里と女鹿平スキー場が見える。論田の頭から30分ほどで日の平山。林の間に白い十方山が見える。

 尾根を北へ進む。15分ほどで坂原分岐。尾根を下ると、立岩山が見えてくる。ミズメに雄花が下がっている。広い尾根から細い尾根に変わり、雪が競り上がっている。岩の尾根は雪で覆われている。立岩観音に近づくと岩が露出してくる。

日の平山南面のブナ
ブナのクマ棚
ミズメの雄花

 立岩観音を過ぎて岩を登ると視界が開ける。眼下に立岩貯水池を見て、十方山を望む。日の平山の先に女鹿平山、冠山の峯々が続くのが見える。岩尾根を進み立岩山に出る。頭が出た道標の向こうに市間山が見える。深入山方向は雪雲が煙っている。南側に瀬戸内海の島がぼんやりと見える。

 立岩山から急な雪の斜面を下る。尾根を進むと、ミズナラにクマ棚がある。キハダ群生地を過ぎ、急な雪の斜面を下る。この辺りのミズナラにもクマ棚が見られる。倒れたブナを過ぎると、周囲3mほどの大きいブナがある。ノウサギの足跡が続く。

 尾根が狭くなり、雪が競り上がる。右手に鍋山、天上山が見える。立岩山から1時間半ほどで市間山。林間から白い深入山が見える。立岩ダムへ降下する地点まで引き返す。15分ほどで降下地点。十方山を正面に見ながら急な小尾根を下る。

ヤマグルマ
ミズナラのクマ棚
倒れたブナ
3mブナ

 大分下った所にヤドリギが落ちていた。橙色の実をつけている。持ち上げてみると、けっこう重たい。植林地の平坦な尾根を進む。1時間余りで境谷の右岸を通る山道に出た。山道を大休ミの丘へ下る。小谷を渡る時、雪を踏み抜き、沼に足を突っ込んでしまった。

 植林地を横切り、立岩ダムに下りる山道に出る。急斜面を下る山道は、崩れた雪に覆われて見えない。一歩一歩踏みしめながら、雪の斜面を下る。20分ほどでダムへ降りた。ダムの上に雪が残っていた。湖に強い風が吹き抜ける。押ヶ垰集落の見える掲示板に出る。

 ダムから除雪された県道を進むと、全面通行止の看板がある。その先の崖が崩れ、大岩が県道を塞いでいた。岩を乗り越えて反対側に出ると、雪の車道が続いていた。湖岸はまだ深い雪が覆っていた。

ヤドリギ
落下したヤドリギ
 
雪の残る立岩ダム
立岩ダムから見た貯水池
県道は全面通行止
崖崩れが県道を塞ぐ

 大谷川を渡り、立岩山を見ながら雪の県道を進む。貯水池の先に女鹿平山が見える。ニノワラのリュウズ右岸の先の崖の雪が崩れ、県道を覆っていた。雪道を進み、十方山登山口に出る。県道の雪はさらに多くなったが、登山口から続く足跡を辿った。

 小松原橋から雪はさらに深くなる。吉和川の水量は雪解け水で増している。立野キャンプ場入口まで来ると、ようやく除雪道となった。立岩ダムから2時間半ほどで駄荷集会所に帰着。

県道から見た立岩山
立岩貯水池の奥に見える女鹿平山
ニノワラのリュウズ右岸の崖の崩れた雪
小松原橋から見た吉和川
県道から見た駄荷集落


 
地名考

 「西中国山地」に、「ツエ」「ズエ」を含む地名は15ヶ所ほどある。

 
西中国山地地形方言「ツエ」「クエ」は「山崩れ」「崩れることをツエル」(「西中国山地」桑原良敏)という。

 「オオゼイ谷(柏原山)はかなり急な谷なので大崩壊したことがあるという。崩壊することをガレルとかツエルとか表現することはよく知られている」(「西中国山地」)。

 「ツバクラ 崩岩。ツバキ(崖)。ツバケル(崩れる)。クラ(崖)。即ちツバケタクラ→ツバクラ。燕(ツバクラ)は当て字(「西中国山地」)。


 市間山にツエ谷とオオズエ谷がある。立岩山の西にオオズエ谷がある。

 市間山の西、大休ミの丘に「清水」(セイズイ)の地名があるが、これはツエ谷の入口付近の地名である。「ズイ」は、ツエ、ズエの変化形と考えられる。

 浜田 ツエ、ツエル 山が崩れる事

 奈良・十津川 ツエ、ツエル、クエ 崩れる

 岡山 ツエ、ツエル 山崩れ

 茨木・奈良・京都・和歌山・九州 クエル・ズエル・クユル 

 石見 クエル 崩れる・崩落する

 柳井・浜田・広島 ズエル・ツエル 崩れる

 ツエ地名は西日本(中部地方以西)に多い地名のようだ。


 アイヌ語に tuy がある。

 tuy トィ・ツィ きれる・くずれる
 tuye トィエ・ツィエ きる
 tuypa トィパ・ツィパ きる(複数形)
  
 これらは、西中国山地地形方言、ツエ=山崩れ、ツバクラ=崩・崖に対応している。

 アイヌ語では 「kina-tuye 草を・刈る」のように、「刈る」の意もある。

 次のような方言がある。

 トゥイパレン 取り払う 今帰仁
 ツィムィバラ 切腹 奄美
 ツム 切る 石見
 ツバエル はしゃいで騒ぐ 石見
 ツマエル 髪を切る 天草
 ツミィ 刈る 宮古
 トボス ともす・火をつける 各地


 西中国山地の「ツエ」「ズエ」地名

 ツエ谷(天狗石山)
 オオツエ谷(柏原山)
 ツエゲキ(春日山)
 ツエオクエキ(三段峡)
 ツエガ谷(半四郎山)
 大峯破=オオズエ(匹見川)
 オオズエ谷(高井山)
 
ツエ谷(市間山)
 オオズエ谷(市間山)
 オオズエ谷(立岩山)
 ツエゲキ(大峯山)
 オオズエ谷(燕岳)
 ツエガダニ(大将陣山)
 ツエガ谷(平家ヶ岳)
 ツエヌケ(平家ヶ岳)

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

カシミール3Dデータ

総沿面距離19.8km
標高差633m

区間沿面距離

駄荷集会所
↓ 4.5km
論田の頭
↓ 1.0km
日の平山
↓ 1.5km
立岩山
↓ 2.2km
市間山
↓ 3.3km
立岩ダム
↓ 7.3km
駄荷集会所
 

十方山と立岩貯水池
日の平山、女鹿平山、冠山
 
登路(「カシミール3D」+「地理院地図」より)