山歩き

伴蔵…冠山南登山道…寂地山…ヒヨリ谷
2016/8/27

伴蔵…松ノ木峠…寺床…冠山分岐…大沼田ノ丘…寂地山…寂地林道…犬戻遊歩道…ヒヨリ谷古道…伴蔵

■寂地山(ジャクジサン)1337m:山口県錦町大字宇佐(1233P・三角点右谷山の所在地) (岩国市)

伴蔵のオオマツヨイグサ
434号線ら登山道に入る
登山道の東側の伐採地を歩く
54番鉄塔から登山道に戻る
登山道にクリのイガが多い
995三角点=平家のアンテナ塔
1164Pからカラマツ林を通る
寺床
展望地から見える高速道
土滝山のスギ
冠山分岐
オオヤマレンゲ群生地
樹林を進む
ミゾソバが繁る
ガクガク尾根分岐
寂地山
分岐の道標
木の階段を下る
ヒガシ谷を渡る
寂地林道に出る
林道終点のルート図 拡大
遊歩道終点の谷
犬戻の滝
犬戻の滝下流 滝の上に遊歩道が見える
寂地峡入口の駐車場から見た竜ケタキ
中ほどの遠くに見える大将陣山 左は高鉢山
三和から望む竜ケタキ
高速道下のガード
ガードを抜けるとすぐ古道の入口だが薮になっている
古道は植林地をジグザグに上がっている
ようたあ林道から鉄塔道に入る
75番鉄塔
6:00 伴蔵 気温18度 曇後晴れ
 

7:40 1166P
7:50 寺床
8:25 冠山分岐
9:10 大沼田ノ丘
9:30 寂地山
10:45 寂地林道終点
11:15 犬戻遊歩道入口
12:00 寂地林道
12:35 寂地峡入口
13:10 高速道ガード
14:10 ようたあ林道
14:55 松ノ木峠
15:00 伴蔵

 冠高原に6時時報の鐘が響く。オオマツヨイグサの黄色の花がたくさん咲いている。車道を進み、松ノ木峠から登山道に入る。山道の横に黒土を掘ったイノシシのヌタ場がある。登山道の東側が伐採されている。

 伐採地に出ると涼しい風が抜ける。そのまま伐採地を進む。ヨウシュヤマゴボウがいち早く侵入している。東側に雲の掛かる山なみが続く。霧が覆う54番鉄塔に進んだところで登山道に戻った。高速道トンネルの上を越えると、東側から涼しい風が吹き抜ける。

 レイホウカタケを下り、ジャノウツ谷、ジャノツ谷鞍部に下りる。ジャノウツ谷はマンシュウボダイジュの残る谷である。植林地の中にカラマツがある。山道に実をつけていない青いクリのイガが点々と落ちている。ブナのあるジャノウツ山を通り過ぎると、東側に二本のアンテナ塔が見える。995三角点=点名平家のアンテナのようだ。

ジャコウソウ
ジャコウソウ

 1164ピークを越えるとカラマツ林になる。カラマツ林を進むと平坦地の寺床。さらに少し進むと岩のある展望地に出る。眼下の霧の中に高速道が見える。その上に送電線が延びる。雲の切れ間から羅漢山が見えた。

 展望地からブナ、スギの樹林帯に入る。ガスと小雨で下草は濡れているが、樹林下の雨は気にならない。土滝山に大きいスギが二本立っていた。伴蔵から2時間半ほどで冠山分岐。山道はオオヤマレンゲ群生地を過ぎて、ウシロカムリの西を通る。周辺はテンニンソウが多い。ユキザサが実を付ける。

 樹林を進む。フウリンウメモドキの赤い実が多い。広高山分岐を過ぎて、山道を西へ進む。霧の中、ブナ、スギの樹林を進む。大沼田ノ丘周辺はミゾソバが繁茂している。ガクガク尾根分岐を過ぎ、出発から3時間半ほどで寂地山。

トチバニンジン

 小雨の寂地山を下る。寂地林道まで1.8kmとある。登山道はニシオク谷水源を下っている。長い階段の道が続く。山道は途中からヒガシ谷水源に回る。白い花を付けたシシウドの茎が伸びている。

 ヒガシ谷に掛かる木橋を渡り、木の階段を下って、寂地林道終点に出る。寂地山から1時間15分ほどであった。メウゼン川に掛かる橋を渡り、林道を進む。オオガエキの谷を過ぎ、しばらく進むと、犬戻峡に下りる遊歩道入口。階段の遊歩道を下り、遊歩道終点で一休みした。

 寂地川上流の遊歩道終点は岩盤の谷になっている。一休みして遊歩道を引き返し、犬戻の滝に出る。岩崖の間から水路になって滝が滑り落ちている。遊歩道は崖に突き出て作られている。遊歩道を下り、寂地林道に出た。

犬戻遊歩道
タカサゴユリ

 寂地川左岸の車道を進む。30分ほどで寂地峡入口。駐車場から竜ケタキの懸崖を見て国道434号線に出る。国道から町道に入る。三和を通り、北へ進んで振り返ると、大将陣山が見える。町道を高速道に向かって登ると、竜ケタキの懸崖全体が見えてくる。

 寂地峡入口から30分ほどで、高速道下のガードに出た。ガードを抜けるとすぐ、ヒヨリ谷右岸に入る山道があったのだが、薮で覆われていた。4年前は明瞭な山道が見えていた。薮を分けて植林地に入る。植林地の中は段々畑の石垣が残っている。ヒヨリ谷には石積みのワサビ田跡があった。西よりへ進むと古道に出た。

 古道は植林地の中をジグザグに登っている。1時間ほどでヨウタア林道に出た。ヨウタア林道から鉄塔道に入る。伐採された送電線下の道は、77番鉄塔の先は薮と化していた。東側の林を通って薮を迂回し、75番鉄塔に出る。そこからほどなく松ノ木峠に出た。

アキチョウジ
ガンクビソウ
ユキザサ
ツリフネソウ
フウリンウメモドキ
ミゾソバ
オオマルバノテンニンソウ
オオナルコユリ
ツルリンドウ
モミジガサ
ウスゲタマブキ
クサアジサイ
シラネセンキュウ
ダンコウバイ
ヤマグルマ
ボタンズル
伐採地に侵入したヨウシュヤマゴボウ
ヤマジノホトトギス
マムシグサ
シシウド
ママコナ
クズ


地名考

 「寂地山は『防長地下上申』『防長風土注進案』いずれにも『じゃくじ山』と平仮名で書かれているが、寂地山の字が当てられたのはいつの頃からであろうか。明治の有名な地理書、吉田東伍著『大日本知名辞典』には寂地嶽となっているが、おそらく明治になってからであろう。『寂地山』の字を当てたため『ジャクチ山』と読む人が多くなりこれが通用するようになった」

 「寂地山の入口にあたる宇佐の村里のすぐ横に竜ヶ懸崖(リュウガタキ)の尖峯があり山頂に祠がある。この祠はもともと、石神(ジャクジ)を祭ったものであり、それが山名になったものではなかろうか」(「西中国山地」桑原良敏)。

 寂地山のジャクジの由来は、寂地嶽、石神(ジャクジ)と呼ばれることから、「竜ヶタキ」の懸崖にあると思われる。

 西中国山地地形方言に「ヒラ」があり、「尾根の側面」、「山の傾斜面」の意がある。「ヒラ」は日本列島に共通の意味がある。

 ピラ pira(崖) アイヌ語
 フィラ fira(坂・急斜面) 東北方言
 ヒラ hira(坂) 日本語古語 
 ヒラ hira(崖) 鹿児島方言
 ピラ pira(坂・急斜面) 宮古・八重山方言

 首里・那覇方言に「サクフィラ」があり、「急な坂」「けわしい坂」の意がある。

 サク (狭処)谷間 首里・那覇方言
 サク 谷間 奄美方言

 西中国山地地形方言「エキ」「エゴ」「サク」「サコ」は、いずれも凹状地形を表わす語で、広い意味で「谷」に包括される地形方言である。

 石見の「サコダ」は谷間の田、出雲・柳井のサコは谷・谷間、関西・九州のサク・サコは谷の行きつまり、十津川(奈良県)のサコ・サク=くぼみ、茨木県サク=谷の奥・谷、神奈川県ザク=深く削られた川底・狭いくぼ地、などの意があり、サク・サコも全国的に共通性がある。

 アイヌ語 kut クッ kuci クチ は「崖」の意である。

 西中国山地のツエ・クエは山崩れ、長野県・茨城県のクエ=崖、三重県グエ=崖、沖縄フチ=崖、出雲クジケル=崩れる、奈良県クエル=崩れる、和歌山・九州クユル=崩れるなどがあり、アイヌ語クツ・クチと関連あると思われる。

 西中国山地クチ・クツ地名に以下がある。
 シシガクチ 赤谷山西の崖地名
 クチナシ 弟見山東の崖谷
 スズガグツ 平家ヶ岳東の崖谷

 西中国山地地形方言にジャヌケ=山抜け・崖崩れ、クラ=断崖・岩場・座・鞍がある。

 西中国山地地名に以下がある。

 ジャノクラキビレ 那須集落の崖の上の地名
 ジャノ谷 深谷川の崖谷・宇佐川の崖谷
 ジャレ 河津谷の崖谷・ヒグチ谷の崖谷

 「ジャ」地名は崖に関連する地名と思われる。

 群馬県にジャグエ(蛇崩)・ジャバミ(蛇喰)・ジャヌケと呼ぶ地名があり、崩壊地名である。「ジャ」は崖に関連している。

●寂地(ジャクチ・ジャクジ)
 jya-kuchi
 ジャ・クチ
 崩れ・崖

 saku-kuchi
 サク・クチ(サクチ)
 急な・崖

 ジャクジ・ジャクチは崖に関連した地名であろう。
 寂地は竜ヶタキの懸崖を意味すると思われる。

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

カシミール3Dデータ

総沿面距離17.6km
標高差872m

区間沿面距離

伴蔵
↓ 4.2km
冠山分岐
↓ 2.1km
寂地山
↓ 6.9km
寂地峡入口
↓ 4.4km
伴蔵
 

 
 
 
 
寺床北の展望地から羅漢山を望む
大沼田ノ丘東の樹林を歩く
犬戻の滝
高鉢山と大将陣山
三和から竜ケタキを望む
 
登路(「カシミール3D」+「地理院地図」より)