6:00 伴蔵 気温18度 曇後晴れ
7:40 1166P
7:50 寺床
8:25 冠山分岐
9:10 大沼田ノ丘
9:30 寂地山
10:45 寂地林道終点
11:15 犬戻遊歩道入口
12:00 寂地林道
12:35 寂地峡入口
13:10 高速道ガード
14:10 ようたあ林道
14:55 松ノ木峠
15:00 伴蔵
冠高原に6時時報の鐘が響く。オオマツヨイグサの黄色の花がたくさん咲いている。車道を進み、松ノ木峠から登山道に入る。山道の横に黒土を掘ったイノシシのヌタ場がある。登山道の東側が伐採されている。
伐採地に出ると涼しい風が抜ける。そのまま伐採地を進む。ヨウシュヤマゴボウがいち早く侵入している。東側に雲の掛かる山なみが続く。霧が覆う54番鉄塔に進んだところで登山道に戻った。高速道トンネルの上を越えると、東側から涼しい風が吹き抜ける。
レイホウカタケを下り、ジャノウツ谷、ジャノツ谷鞍部に下りる。ジャノウツ谷はマンシュウボダイジュの残る谷である。植林地の中にカラマツがある。山道に実をつけていない青いクリのイガが点々と落ちている。ブナのあるジャノウツ山を通り過ぎると、東側に二本のアンテナ塔が見える。995三角点=点名平家のアンテナのようだ。
ジャコウソウ |
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ジャコウソウ |
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1164ピークを越えるとカラマツ林になる。カラマツ林を進むと平坦地の寺床。さらに少し進むと岩のある展望地に出る。眼下の霧の中に高速道が見える。その上に送電線が延びる。雲の切れ間から羅漢山が見えた。
展望地からブナ、スギの樹林帯に入る。ガスと小雨で下草は濡れているが、樹林下の雨は気にならない。土滝山に大きいスギが二本立っていた。伴蔵から2時間半ほどで冠山分岐。山道はオオヤマレンゲ群生地を過ぎて、ウシロカムリの西を通る。周辺はテンニンソウが多い。ユキザサが実を付ける。
樹林を進む。フウリンウメモドキの赤い実が多い。広高山分岐を過ぎて、山道を西へ進む。霧の中、ブナ、スギの樹林を進む。大沼田ノ丘周辺はミゾソバが繁茂している。ガクガク尾根分岐を過ぎ、出発から3時間半ほどで寂地山。
トチバニンジン |
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小雨の寂地山を下る。寂地林道まで1.8kmとある。登山道はニシオク谷水源を下っている。長い階段の道が続く。山道は途中からヒガシ谷水源に回る。白い花を付けたシシウドの茎が伸びている。
ヒガシ谷に掛かる木橋を渡り、木の階段を下って、寂地林道終点に出る。寂地山から1時間15分ほどであった。メウゼン川に掛かる橋を渡り、林道を進む。オオガエキの谷を過ぎ、しばらく進むと、犬戻峡に下りる遊歩道入口。階段の遊歩道を下り、遊歩道終点で一休みした。
寂地川上流の遊歩道終点は岩盤の谷になっている。一休みして遊歩道を引き返し、犬戻の滝に出る。岩崖の間から水路になって滝が滑り落ちている。遊歩道は崖に突き出て作られている。遊歩道を下り、寂地林道に出た。
犬戻遊歩道 |
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タカサゴユリ |
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寂地川左岸の車道を進む。30分ほどで寂地峡入口。駐車場から竜ケタキの懸崖を見て国道434号線に出る。国道から町道に入る。三和を通り、北へ進んで振り返ると、大将陣山が見える。町道を高速道に向かって登ると、竜ケタキの懸崖全体が見えてくる。
寂地峡入口から30分ほどで、高速道下のガードに出た。ガードを抜けるとすぐ、ヒヨリ谷右岸に入る山道があったのだが、薮で覆われていた。4年前は明瞭な山道が見えていた。薮を分けて植林地に入る。植林地の中は段々畑の石垣が残っている。ヒヨリ谷には石積みのワサビ田跡があった。西よりへ進むと古道に出た。
古道は植林地の中をジグザグに登っている。1時間ほどでヨウタア林道に出た。ヨウタア林道から鉄塔道に入る。伐採された送電線下の道は、77番鉄塔の先は薮と化していた。東側の林を通って薮を迂回し、75番鉄塔に出る。そこからほどなく松ノ木峠に出た。
アキチョウジ |
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ガンクビソウ |
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ユキザサ |
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ツリフネソウ |
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フウリンウメモドキ |
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ミゾソバ |
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オオマルバノテンニンソウ |
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オオナルコユリ |
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ツルリンドウ |
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モミジガサ |
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ウスゲタマブキ |
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クサアジサイ |
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シラネセンキュウ |
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ダンコウバイ |
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ヤマグルマ |
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ボタンズル |
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伐採地に侵入したヨウシュヤマゴボウ |
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ヤマジノホトトギス |
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マムシグサ |
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シシウド |
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ママコナ |
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クズ |
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■地名考
「寂地山は『防長地下上申』『防長風土注進案』いずれにも『じゃくじ山』と平仮名で書かれているが、寂地山の字が当てられたのはいつの頃からであろうか。明治の有名な地理書、吉田東伍著『大日本知名辞典』には寂地嶽となっているが、おそらく明治になってからであろう。『寂地山』の字を当てたため『ジャクチ山』と読む人が多くなりこれが通用するようになった」
「寂地山の入口にあたる宇佐の村里のすぐ横に竜ヶ懸崖(リュウガタキ)の尖峯があり山頂に祠がある。この祠はもともと、石神(ジャクジ)を祭ったものであり、それが山名になったものではなかろうか」(「西中国山地」桑原良敏)。
寂地山のジャクジの由来は、寂地嶽、石神(ジャクジ)と呼ばれることから、「竜ヶタキ」の懸崖にあると思われる。
西中国山地地形方言に「ヒラ」があり、「尾根の側面」、「山の傾斜面」の意がある。「ヒラ」は日本列島に共通の意味がある。
ピラ pira(崖) アイヌ語
フィラ fira(坂・急斜面) 東北方言
ヒラ hira(坂) 日本語古語
ヒラ hira(崖) 鹿児島方言
ピラ pira(坂・急斜面) 宮古・八重山方言
首里・那覇方言に「サクフィラ」があり、「急な坂」「けわしい坂」の意がある。
サク (狭処)谷間 首里・那覇方言
サク 谷間 奄美方言
西中国山地地形方言「エキ」「エゴ」「サク」「サコ」は、いずれも凹状地形を表わす語で、広い意味で「谷」に包括される地形方言である。
石見の「サコダ」は谷間の田、出雲・柳井のサコは谷・谷間、関西・九州のサク・サコは谷の行きつまり、十津川(奈良県)のサコ・サク=くぼみ、茨木県サク=谷の奥・谷、神奈川県ザク=深く削られた川底・狭いくぼ地、などの意があり、サク・サコも全国的に共通性がある。
アイヌ語 kut クッ kuci クチ は「崖」の意である。
西中国山地のツエ・クエは山崩れ、長野県・茨城県のクエ=崖、三重県グエ=崖、沖縄フチ=崖、出雲クジケル=崩れる、奈良県クエル=崩れる、和歌山・九州クユル=崩れるなどがあり、アイヌ語クツ・クチと関連あると思われる。
西中国山地クチ・クツ地名に以下がある。
シシガクチ 赤谷山西の崖地名
クチナシ 弟見山東の崖谷
スズガグツ 平家ヶ岳東の崖谷
西中国山地地形方言にジャヌケ=山抜け・崖崩れ、クラ=断崖・岩場・座・鞍がある。
西中国山地地名に以下がある。
ジャノクラキビレ 那須集落の崖の上の地名
ジャノ谷 深谷川の崖谷・宇佐川の崖谷
ジャレ 河津谷の崖谷・ヒグチ谷の崖谷
「ジャ」地名は崖に関連する地名と思われる。
群馬県にジャグエ(蛇崩)・ジャバミ(蛇喰)・ジャヌケと呼ぶ地名があり、崩壊地名である。「ジャ」は崖に関連している。
●寂地(ジャクチ・ジャクジ)
jya-kuchi
ジャ・クチ
崩れ・崖
saku-kuchi
サク・クチ(サクチ)
急な・崖
ジャクジ・ジャクチは崖に関連した地名であろう。
寂地は竜ヶタキの懸崖を意味すると思われる。
カシミール3Dデータ
総沿面距離17.6km
標高差872m
区間沿面距離
伴蔵
↓ 4.2km
冠山分岐
↓ 2.1km
寂地山
↓ 6.9km
寂地峡入口
↓ 4.4km
伴蔵
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