山歩き

七村川…ガナアニ滝…カクットウ頭…ヨウガイ山
2010/6/6

金火箸橋…七村川…ガナアニ滝…ワサビの谷…カクットウ頭…馬道…ヨウガイ山…石組…金火箸橋

■カクットウ頭(カクットウカシラ・点名:学堂)700m:島根県美濃郡匹見町大字紙祖字カクットウ頭(点の記) 益田市
■ヨウガイ山(ヨウガイヤマ・点名:石組)442m:島根県美濃郡匹見町大字紙祖字ヨウガイ(点の記) 益田市

金火箸橋
水田の先に春日山が見える
左岸の石垣の上に道がある
大岩の続く谷
捨てられた電動自転車
ガナアニ滝
ガナアニ滝
ウワバミソウで埋まるワサビ田跡
スギ林下で伸びるワサビ葉
水源を登る
カクットウ頭
周囲3.7mのアカマツ
太い蔓が下がる大きいシデの木
掘り下げられた山道
掘り下げられた山道
ヨウガイ山三角点
小原川
石組地区
ヨウガイ山
アマドコロ
6:30 金火箸橋 晴れ 気温13度
 
エノキのサンインマイマイ

7:45 ガナアニ滝
9:30 カクットウ頭
11:25 ヨウガイ山
12:05 石組
12:15 金火箸橋

 
 


 下流側の金火箸橋から小原川を渡ると、川沿いにエノキがある。道が七村川に入っている。水田の先の南方向に春日山が見える。ワサビ畑の横を通り、スギ林に入ると七村川である。左岸の石垣の上に古い道が通っている。小堰堤を越えて谷を進む。タニシが岩の上に付いていた。大岩が谷を埋める所に魚止めの小滝があった。車道から捨てられたゴミが多い。電動自転車まであった。

カナクソ 鉄滓 七村川

 カナクソが一つ落ちていた。上流のタタラ跡から流れてきたもののようだ。車道の擁壁が谷に下りてくるとガナアニ滝である。上下二段になっている。右岸を進み、一旦車道に上がった。カクットウ頭(学堂頭)に上がる谷が分からなかったが、よくみるとガナアニ滝上部の右岸に草で覆われたワサビ田の石積みがあった。

 急なワサビ田跡を進む。ウワバミソウで覆われた狭い谷に石垣が組まれ、段々のワサビ田が続く。スギの植林地に変わった谷は水が少ないが、ワサビの葉がよく伸びていた。ワサビ田跡を抜けると、ようやく小水流の谷に変わる。小谷の草の下からミソサザイが飛び出てきた。草を分けてみると、可愛い4匹の子が育っていた。

ミソサザイの巣
フタリシズカ

 水源に入ってもワサビの葉があった。尾根の直下までワサビ田があったようだ。直径5cm余りのサンインマイマイの殻が落ちていた。1時間余りで尾根に出た。タンナサワフタギはまだツボミ。林の中に三角点があったが、展望は無い。「トッキョキョカキョク」と盛んに鳴くのはホトトギスか。ヒノキ林を北へ進む。尾根にダンコウバイがある。大きいアカマツが多く、周囲3.7m、4mのものもあった。大きいシデに太い蔓がぶら下がっていた。

 尾根上に掘り下げた道があり、七村川川口方向から紙祖川に下りている。馬道であったようだ。馬道は再び尾根に上がり、七村川へ下りている。尾根はだんだんと細くなり、枝薮に変わる。カクットウ頭から2時間ほどでヨウガイ山に出た。薮を北へ進み、小松尾城遺跡付近から西へ降りた。小原川を渡り、石組の集落へ上がった。

ヤマサギゴケ
イワニガナ
ギンリョウソウ



地名考

 日本の縄文語(日本列島共通語)を受け継いだのは、アイヌ語系民族であった。

 アイヌ語によって西日本の古い地名が合理的に説明できることは、その一つの証でもある。

 西中国山地にアイヌ語地名が存在することは、その地名は縄文時代から呼ばれていた可能性のある地名と思われ、またアイヌ語地名が存在することは、その地名の周辺に縄文遺跡が存在することを予見している。


●紙祖川(シソガワ)


 紙祖川上流三葛に東北マタギに似た唱え言葉が残っている。

 「当町地方の猟師が、大グマを射とめた時には、アブラウンケン・ソワカと、呪文を唱えた…東北地方のマタギは、大グマを射とめた際、アブラウンケン・ソワカと三度唱えたという。当地方のはこうした呪文の片言が、たまたま残存しているものらしい。クマを捕獲すると、天候が険悪になるものと、百谷辺では信じられておる。現在ではクマの数は、次第に減っていく運命にあって、当町では道川の三ノ谷や、三葛の伊源谷に、クマの穴があって住んでいるらしい」(『石見匹見町史』)。

 


●小原川(コバラガワ)


 


●カクットウ頭(カクットウカシラ・点名:学頭)
 

 


●石仏頭(イシボトケカシラ・縄文遺跡)
 

 「イシボトケカシラ」はこの付近の小字名である。

 「本地点の調査は、トレンチ法式で46.8uを調査した。その結果、層序においては1層の耕作土(黒灰色土)、2層の客土(灰褐色砂質土)、3層の茶褐色砂土(酸化鉄層)、4層の黄褐色砂礫層の順に堆積する」(『石仏頭遺跡発掘調査報告書』平成6年2月・匹見町教育委員会)
)。

 4層の黄色褐色砂礫層は湿地に見られる地層である。この付近の地形分類図では「谷底氾濫原」となっており、縄文期、沼のような地形であったと考えられる。下の地図のように295m以下等高線(青)が紙祖川沿いに広がっている。上流の小原川合流点から下流の匹見川合流点まで、小沼が点在するか、紙祖川沿い全体が沼のような地形であったと考えられる。

青は295m標高以下

 


●七村川(ナナムラガワ)
 
 七村川は下流に「ガナアニ」「金火箸」がある。


●金火箸橋(カナヒバシハシ)
 

 サクラマスが金火箸まで遡上している。


●ガナアニ滝
 

 ガナアニ滝は金火箸橋から直線距離で800mほどの所にあるが、縄文期にはもっと下流にあったと考えられる。滝の後退速度が年に1cmほどであったと仮定すると、5000年前には現在地より500mほど下流にあった。

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カシミール3Dデータ

ミズタビラコ

総沿面距離7.7km
標高差392m

区間沿面距離
金火箸橋
↓ 1.8km
ガナアニ滝
↓ 1.6km
カクットウ頭
↓ 2.7km
ヨウガイ山
↓ 1.6km
金火箸橋
  

 


 
紙祖川(匹見川合流点から小原川合流点までの地形分類図 国土交通省HPから)
地形分類図簿冊(国土交通省HPから)
三葛の「熊祭り」
昭和57年(1982)ごろ行われた熊祭り (『匹見町誌・遺跡編』より)
ガナアニ滝
登路(薄茶は900m超 茶は1000m超)  「カシミール3D」+「国土地理院『ウォッちず』12500」より