6:25 大固屋出発 晴れ 気温20度
8:10 林道終点
9:30 馬糞ヶ岳
10:00 ドウギレ峠
11:00 966ピーク
12:00 長野山
12:55 ドウギレ峠
13:55 小西集落
14:45 大固屋
国道434号線の須万地に入ると、正面のガスの上に、神々しい馬糞ヶ岳が覗いていた。大固屋付近の木谷川は岩盤となっている。すぐ上手に「香椎神社」がある。大固屋へ降りている林道木谷島の谷線を上がった。林道から大固屋の集落を見渡せる。大固屋はシモアシ谷下流の、木谷川左岸の集落である。少し上がると林の中に大きな祠がある。
ヒノキ林の林道を上がって行く。林道がシマノ谷に入ると、馬糞ヶ岳の頭が見えてくる。幾つもの林道が山腹に上がっている。大きな堰堤を過ぎるとシマノ谷に架かる橋を渡る。橋の上流も下流も堰堤がある。右岸上手に水田の跡のような、ヒノキ林が埋まった石垣があり、右岸に沿って踏み跡が上がっている。
アサギマダラが弱々しく飛んでいる。遥か南の島から飛んできたのだろうか。しばらく留まるのを待った。ヒヨドリバナに留まったところでカメラに収めた。翅に移動調査の標識は書かれてなかった。北東のシマノ谷の先に、大きな水ノ尾山が正面に見える。ヒノキの整然とした林が続く。車道にネズミのような小さなモグラが干からびて死んでいた。平家ヶ岳が見えてくる。
ヒヨドリバナのアサギマダラ |
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モグラ |
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林道は馬ノ谷との境界尾根に入る。二万五千地形図にある林道は、終点からまだ先に延びている。「クマ出没注意」の看板のある、車の回転場は展望が利く。朝霞の中に山並みが浮かび、一枚の絵のように見える。どれも同じような山に見えるが、羅漢山だけは、はっきりと自分を主張している。
ヒミツオゴシの谷に入るの手前の、山が崩れている所が林道の終点だった。ここまで1時間半、顔を洗い、旨い水を飲んで休憩した。左岸に踏み跡が上がっている。この踏み跡は、先ほど渡ったシマノ谷の橋から続いていると思われる。ヒミツオゴシの左岸を上がる道は、上に行くとササが深くなる。目印がヒミツオゴシの谷に続いていたが、谷を渡ってササのない左の小谷を上がった。
尾根の手前までくると、右手の小尾根のアゴの端に、形の良いブナが見えたので、そこへ上がってみた。周囲3mで、この辺りでは際立って大きく見える。左右の枝の先にコブがあった。握りこぶしを挙げて怒っているようにも見える。そこからほどなく登山道に出た。
3mブナの握りこぶし |
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一等三角点 |
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山頂はすぐ先だった。大固屋から3時間ほど。南側に展望があるが霞んでいる。
馬糞ヶ岳は、点名は馬糞ヶ岳(ばふんがだけ)で、一等三角点、選点は明治21年。馬糞ヶ岳の初見は1740年(『防長地下上申』)と言う。
「馬糞ヶ岳は…恐らくマグソ≠ニ読み馬糞は当て字だろう位に考えていたがバフン≠ニ呼んでいると聞いて呆れてしまった。どうしてこんな妙な名を付けたのかといぶかるのは、どうも年配者だけのようだ」(「西中国山地」桑原良敏)。
留萌市に阿分(あふん)がある。アイヌ語の「アフン・ルパル」(地獄穴)の意で、地獄へ通じるような洞穴があったことが由来となっている。「アフン」は「入る」の意がある。「アフン・ルパル」は「入る道の口」の意で、北海道南部では「あの世への入り口」の意がある。
カシミール検索の「ばふん」に、青森県の馬糞森山(バフンモリヤマ)一件だけあった。馬糞森山の北側に、西から東へ流れる谷が空岱山(ソラダイヤマ)の南を通っている。
青森県・バフンモリヤマ |
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馬糞ヶ岳の西の渋川は、馬糞ヶ岳に向かって大きく落ち込んでいるように見える。ちょうど高速道が谷に沿って走っており印象に残る。その間に「岳ノ谷」の山がある。山名が谷の名になっている。「岳ノ谷山」の意だろうか。
烏帽子岳と岳ノ谷 |
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山頂から戻り、ヒミツオゴシの谷から抜けて出た登山道の先まで来ると、消えかかった道標があり、「平瀬」と読める。そちら側はササの深い踏み跡が降りている。ウマノ谷入り口の平瀬から登る山道があるようだ。長野山への尾根を進んだ。ドウギレ峠への急坂を下りた。ブナの枝の間からウシクビの谷が覗いている。旨そうなホットケーキのキノコがある。しばらく進むとボウシノ谷の東側が開けたところにブナ林がある。ボウシノ谷の先に「尾川」と思われる大きな集落が見える。東側は伐採されたのか、ササの原となっている。
ブナ林の先でご夫婦が降りて来られた。木谷川を通って長野山まで車で上がり、馬糞ヶ岳を往復すると言う。馬糞ヶ岳はなかなかポピュラーな山になっているようだ。登山道は開けたところがないので単調になる。996ピークは平坦なところで展望はない。この辺りが馬糞ヶ岳と長野山の中間になる。ここまで1時間半。
ブナ林付近 |
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鹿野分岐 |
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966ピークから鞍部に下りると、東に、尾根を掠めるように林道が上がっている。西側に踏み跡があり、ブナが三本並んでいる。そこから少し上がった所で分岐。道標があり、長野山1.4km、鹿野11.1kmとある。鹿野まで長いが、中国自然歩道の五万堂谷の先の渋川の出合辺りまでのことだろうか。道標の先から木の階段を下りる。前方に1000mピークが見える。
ここは要所に木の階段がある。中国自然歩道として整備されたものだろうか。根元から株立ちしたブナが多い。1000mピークは道標があり、木のベンチがある。長野山に近づくと、「ドングリ豊凶調査」のネットが幾つも置かれている。山口県林業指導センターが実施しているものである。木の階段を上がり切ると、長野山へ続く遊歩道になっている。そこからほどなく、車道の周りに取り残されたような山頂に到着した。
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三等三角点 |
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長野山は、点名は小足谷(こあしだに)で、三等三角点、選点は明治28年。長野山の西に、点名と同じコアシ谷がある。横にある展望所から周辺の山々を見渡すことができる。馬糞ヶ岳は樹幹の上に頭が見えるか見えないかのようだ。
車道を下った。道標に木谷峡まで7.3km。山頂周辺は「長野山緑地公園」となっている。北よりに平家ヶ岳の山並みが見える。タカサゴユリが咲いている。アスファルトの車道を下った。1時間ほどでドウギレ峠、曲がり角に観音様が祀ってある。峠から水ノ尾山の大きな山が見える。車道は大きく崩れかけているところがある。
昭和48年完成の小西橋を渡ると小西集落に入る。橋から小西谷を1300mほど上がると、樹齢100年を越えるブナが27ヘクタールに群生していると言う。小西集落は無人と思っていたが、上でお婆さんが畑仕事をしていた。長野山から1時間半余りで木谷川出合、岩盤の谷を下った。木地屋集落は右岸の開地にある。崩れかけた廃屋が二軒残っていた。
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鹿落滝 |
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木地屋集落から少し下った所に、二つの観音様の間に墓石のような石柱がある。「太衛門」と微かに読める。そこから少し下ると鹿落滝。高い岩崖から細い滝が落ちている。説明板によると、平家の落人に追われた鹿が滝に落ちたことが由来で、香椎神社に落ちた鹿の頭蓋骨が保存されていると言う。長野山から2時間半ほどで大固屋に帰着した。
大固屋は木谷川とシモアシ谷の合流点の下流にある。
木谷川
kitay-e-san-nay
キタイ・エ・サン・ナイ
山の頂・そこから・下る・川
カシミールデータ
総沿面距離19.9km
標高差740m
区間沿面距離
大固屋
↓ 6.2km
馬糞ヶ岳
↓ 4.0km
長野山
↓ 6.4km
小西集落
↓ 3.3km
大固屋
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