7:55 林道入口出発 曇り時々雨 気温23度
8:15 登山口
9:20 廻岩(923P)
9:35 避難小屋
10:20 展望岩(伊源谷分岐)
10:35 安蔵寺山
11:20 展望岩
13:00 赤土山
13:45 香仙原
16:55 ワラビ谷入口
17:05 登山口
2時間ほど雨が止むのを待って、安蔵寺山林道入口を出発。林道はカミノ谷に沿って上がっている。林道は雨による水流で荒れており、乗用車で上がるのは無理のようだ。オオクズレ谷を渡る橋を通って進むと、右側のスギ林の中に石垣がある。この辺りは水田だったようだ。林道はカミノ谷の堰堤で東へカーブするとほどなく登山口。林道はまだ上へ続いている。
カシミールに「おおくず」を含む、山間の谷・川の地名は4件ある。「オオクズレ」は「大崩」の字を当てているが、岩手県の「オオクズサワ」は「大葛」を当てている。
「西中国山地」では白旗山の北に「マンゾウクズレ谷」がある。
岩手県・オオクズサワ |
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青森県・オオクズレザワ |
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三重県・オオクズレタニ |
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西中国山地・白旗山北 |
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「安蔵寺山登山入口」と書かれた標柱の下にお地蔵さんが置かれている。ササが刈られた登山道を上がった。ほどなく木の階段になる。クモの巣の多い登山道である。しばらく登ると西側の展望が開け、安蔵寺山から降りる尾根が見える。クリノキに実が付いている。
1時間余りで923ピーク、ここは大岩になっており、ガスがかかる安蔵寺山から降りる東の尾根が見える。大岩の周囲を回る道があり、どちらを通っても大岩の先に出る。この大岩は「廻岩」と言う。
先へ進み、岩の間を通り青い屋根の避難小屋に到着。中は左右に板土間がある。避難小屋を過ぎるとガスが濃くなる。苔むしたブナ林を通り、樹林帯を抜けてササ原に出た。ガスで視界は50mほど。出発から2時間余りで伊源谷分岐の展望所に出た。木の台があり、眼下を展望できる所だが、ガスで視界はまったく無い。展望所で少し休憩した。気温20度だが、風が強く寒気がしてきた。
展望所から緩やかに登り、10分ほどで安蔵寺山。ガスで展望はない。安蔵寺山は二等三角点で、点名は杉山、明治27年の選点。
安蔵寺山の初見は『吉賀記』(1804年)で「安造寺山」「安蔵寺山」とある。『石見八重葎』(1816年)には「阿増地山」とある。この山は「アゾージ山」「アンゾージ山」と呼ばれている(「西中国山地」桑原良敏)。
カシミールに「安蔵」を含む地名の呼び名は「アゾウ」が多い。「安造」は「アソ」と呼ぶ。「阿増」を含む地名はカシミールにない。「安蔵」「安造」「阿増」と表す、元の呼び名は「アゾウ」だったのかもしれない。
安蔵寺と言う寺は元々無かったと思われる。
ブナ |
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安蔵寺登山道分岐 |
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安蔵寺山から50mほど下ると、寺床への登山道と分かれ、西の尾根を下りる道がある。余り踏まれた道でないので、新しく開かれた道のようだ。ガスの中、ブナの大木が多い道を進んだ。所々樹林が開け、白骨林がある。褪せていない赤ペンキが岩や石柱、木に塗られている。境界測量のために開かれた道なのかもしれない。
安蔵寺山から40分ほどで大岩に着いた。ロープがあり、上がって見ると大展望である。ここは切り立った岩崖になっている。真下に香仙原へ続く尾根があるが、香仙原はガスで見えない。北側にアシ谷を上がる林道が見える。南側はカミノ谷が降り、その先の登山口辺りが見える。南側の尾根は安蔵寺林道から上がる登山道である。
登山道は岩崖を回りこんで先の尾根に降りている。少し下ると、下にも展望岩がある。そこからしばらく下るとアシ谷から踏み跡が上がっていた(分岐1)。さらに下ると切り開かれた尾根道はここまでで、道は北へ降りている(分岐2)。これもアシ谷から上がる道のようだ。ブナの木に赤ペンキで→がアシ谷方向にある。
950ピーク東の分岐2から先の尾根道はヤブとなる。ハリギリの幹を掴んでしまった。しばらくササを漕ぎ、赤土山へ続く尾根に上がって振り返ると、ガスが消えて安蔵寺山が頭を出していた。その下に先ほど通った展望岩の山がある。土塁に沿って上がり、スギ林に入るとほどなく赤土山。展望はない。
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赤土山から鞍部へ下り、ササ薮を登る。40分ほどで香仙原。この山へ上がってくるどの方向の登山道も薮となっている。
香仙原は三等三角点、点名も同じ、選点は明治28年
香仙原の初見は『吉賀記』(1804年)で、「コウセンハラ」とある。「コウセンハラ」と並んで記されている「ヨウチハラ」と思われる地名が、柿木の東の「夜打原」(ヨウチバラ)だろうか。
ワラビ谷に「カミコダン」の谷があるが、この辺りあったと思われる集落を指しているのかもしれない。「ワラビ谷の奥の山」の意だろうか。
香仙原から東へ下った。ほどなくワラビ谷水源の涸谷に出た。しばらく下って水流が現れると石垣があった。ワサビ田である。香仙原からすぐ下の谷で、ずいぶん上部までワサビ田を開いたものである。ワサビ田はキチスケの谷の下流の、踏み跡に上がるまで続いていたから、おそらくその下流もワサビ田があると思われ、大規模なワサビ田だったようだ。
放棄されて、崩壊したワサビ田は岩が崩れやすい。自然の谷よりも歩きにくい。二万五千地形図ではワラビ谷の左岸に破線道があるが、その道があるのはキチスケの下流辺りまでで、その上は崩壊しているようだ。
キチスケの下流左岸にスギの幼木があり、その中へ入っていくと踏み跡があった。その道はワサビ谷左岸の民家の裏に出た。小さな谷だったが、香仙原から3時間ほどかかった。
「西中国山地」では他に、シロワラビ谷(広見山)、ワラビサデの谷(湯来冠)、ワラビオ谷(鈴ノ大谷山)がある。
warunpe の語源は uwari-un-pe ウワリ・ウン・ペ
「生まれ・たての・者」の意。一晩で成長するワラビは「童(ワラベ)」の語源とも言われている。「童」は『大辞林』に「わらわべ」の転じた「わらんべ」の撥音、「ん」の無表記とある。
「コダン」と言う地名があるのは「西中国山地」では、ワラビ谷だけである。「コタン」と呼ぶ地名があり、「カミコダン」「シモコダニ」と呼ぶようになったと思われる。
「西中国山地」には「小谷」「コ谷」「コダニ」「オ谷」を含む地名があるが、それらの中に「コタン」の転訛が多くあると思われる。
ワラビ谷落口から車道を上がった。静かな山間の集落に稲穂が垂れている。カミノ谷右岸落口に墓がある。かなり古いもので木地師の墓かもしれない。左岸は「ゴギの里ログハウス村」になっている。その先は安蔵寺林道入口である。登山口の標識を見ると「Mt.Azojisan」とあった。
ウエノ谷右岸の墓 |
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安蔵寺林道入口付近の高尻川 |
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カシミールデータ
総沿面距離10.6km
標高差838m
区間沿面距離
安蔵寺山林道入口
↓ 2.3km
廻岩
↓ 1.3km
安蔵寺山
↓ 0.9km
展望岩
↓ 2.6km
香仙原
↓ 3.5km
安蔵寺山林道入口
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