6:55出発 晴 気温10度
7:30タテイワ谷
9:20立岩山(赤谷山)
9:50 1170ピーク
10:20大神ヶ岳
11:00 1126ピーク
12:25 1169ピーク(三坂山)
14:05千両山
15:30ミサカ谷水源部林道入口
15:40大神ヶ岳登山口
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ワサビ田の石垣 タテイワ谷 |
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国道488号線は通り抜け不能の標示になっていたが、八郎橋までなんとか通れた。登山口まで可なり遠い。県境のトンネルを抜けると大神ヶ岳にガスが掛かっていた。三坂八郎トンネルは1980年3月完成、延長350mある。1050m標高のトンネルは雪で冬季通行不能になる。少し下るとほどなく大神ヶ岳登山口。県境の山間は気温10度で肌寒い。
登山口 |
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登山口に鳥居があり、「三坂大明神 大神ヶ嶽 山葵天狗社」と書かれている。標柱に消えかかった大神ヶ岳の説明がある。毎年6月の第一日曜日にワサビの豊作を祈願する例祭があるようだ。ここは山伏の修行場だったと言う。
アスファルトのミサカ谷林道を下った。30分ほど下ると北側の稜線に突き出た立岩が見えてきた。朝陽に照らされた立岩は神々しい。立岩から降りているタテイワ谷に向かって、三坂谷へ降りた。タテイワ谷の落ち口付近にあったと思われる堰堤がない。流されたようだ。タテイワ谷左岸に踏み跡がある。左岸入口付近の踏み跡を少し登ってタテイワ谷へ降りた。踏み跡は1170ピークへ登る道のようだ。右岸に石垣がある。放棄されたワサビ田の跡だった。少し上までワサビ田が続いている。8mほどの滝があった。滝を越えてしばらく登ると伏流水になり水が涸れる。
立岩山山頂 |
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二等三角点 |
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枝が覆い始めると稜線が近い。数十メートル続く枝を我慢するとササ帯に変わった。振り返ると朝陽に照らされた大展望が輝いていた。急なササの斜面を登って立岩の西側の稜線に出た。取り付きから2時間ほど掛かった。ほどなく立岩山山頂。二等三角点。山頂に「赤谷山」の札が幾つか掛かっていたが、山頂の隅の林の中に一つだけ立岩山の札があった。
「三葛、笹山を始めとして紙祖川流域の村人は、この山を立岩山と呼んでいる。立岩山の南面に、ミサカ谷林道からも眺めることのできる立岩という立派な懸崖があり、これにより名付けられた山名である。…赤谷山は山林名であって特定のピークに付けらた山名ではないことも判然としている」(「西中国山地」桑原良敏)。
山頂から西へ、シシガクチと呼ばれる1091ピークへの踏み跡がある。山頂付近からの眺めはすばらしい。東から霞んでいるが冠山、寂地山、茅帽子山、小五郎山、白旗山、安蔵寺山、手前に高井山。
戻って立岩に進んだ。眼下を見下ろすとタテイワ谷の先に今登ってきたミサカ谷林道の展望地点まではっきり見える。山々の大展望はすばらしい。立岩から続く稜線の先に大神ヶ岳の特徴ある山が見える。
ナナカマド |
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稜線を歩きながら展望を楽しめる。1170ピークも大展望。タテイワ谷から上がってくる踏み跡がある。石の境界石があった。
稜線はイノシシの掘り返した跡が多い。スギ林を抜けると赤い実がたくさん落ちていた。見上げるとナナカマドに実がたくさん付いていた。立岩山から40分ほどで大神ヶ岳。大神ヶ岳の東側から見下ろすとトンネルの出口が見える。正面に冠山、手前に坊主山、広高山、寂地山と続く。北側にも展望がある。千両山と小郷山、その背後に広見、恐羅漢、十方山の峯々が控えている。手前にトンネルの上を通る県境の稜線が南西へ降りている。
ヨモギに留まるツマグロヒョウモン |
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ツルリンドウ |
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クマの糞 |
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北の1126ピークへ向かった。急な斜面を下りると大きな切り株が残っていた。尾根沿いに境界測量のテープが続いている。踏み跡が少し残っていた。日向にはツルリンドウが赤い実を付けていた。かなり茂った林道の終点を横切って少し登ると1126ピーク。林で展望はない。青いテープが三重に巻いてあった。大神ヶ岳から40分ほど。林間から県境の稜線が見える。県境に向かって測量のテープが続いている。鞍部に下りると南側に林道があった。三坂谷から上がってきた林道は鞍部手前でU字にカーブして東へ登っている。スギ林を少し登るとクマの糞があった。まだ新しい、木で突付いてみると白い種がたくさん混ざっていた。
1126ピークから50分ほどで県境尾根に出た。スギ林の尾根沿いに大木が転がっていた。登りきって鞍部へ降りたところでニソウ谷へ下ると林道に出た。林道はニソウ谷に沿って登っている。
ニソウ谷の上流を見ると楕円形の巨大な岩が水源部の谷を塞いでいた。近づいて右岸から回り込んでみると後にも巨石があった。二艘船岩に間違いないだろう。巨石の上部は枝で覆われている。ニソウ谷水源部の何もない谷に巨石が二つだけ転がっているのは不思議な感じだ。近くで見るよりも遠くから眺める方が巨石の存在感を感じることができる。
1169ピーク |
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二艘船岩から1169ピークへ登った。スギ林を少し登ると周囲4.5mの大きな杉があった。二艘船岩の守り神のような杉に思えた。ここにもクマの黒い糞があった。15分ほどで1169ピーク。二艘四艘の立派な札がかかっていた。山頂はスギ林で覆われている。
「西中国山地」の地図に三坂山は載っていない。1169ピークとして出てくるだけだ。
「ミサカ山はその水源の山々の意と思われる。それにしても島根県側の呼称が県境主稜を越えて広島県内の山に付けられていることの不自然さを感じる」(「西中国山地」)。
水源の山の意であれば「バンジョウ山」が考えられる。1169ピークの東西に四艘船岩、二艘船岩を持つこの山は、山頂に掛かっていた札の「二艘四艘」が相応しいように思われた。
北東へ降りるヨソウ谷の支谷を下った。小さな谷を下って谷の分岐へ出る手前に巨大なラグビーボールが谷を塞いでいた。四艘岩かと思ったが、一つしかない。谷の分岐に出るとテープがたくさん巻いてある。千両山へ上がる谷を登った。滝を越すと谷は緩やかになる。左岸右岸に踏み跡が残っている。
次の左岸の谷へ少し入ると巨石が二つ見えた。奥へ進むと間隔を開けてさらに二つある。四艘船岩だった。林が邪魔で全容は見えないが、谷に沿ってラグビーボールが四つ並んでいる。
「西中国山地」の写真では丸裸の山の斜面に巨石が四つ並んだ全体像が写っている。岩の上にあった木は切られているが、現在は岩上に木が生えている。
この山の東西に同じような巨石があるのは不思議だ。この巨石は二艘四艘の山頂から転がり落ちてきたのだろうか。ひょっとしたら他の谷にも巨岩が転がっているのかもしれない。
「石州街道の間道はハチロウ谷を通らずバンジョウ川―ニソウ谷―掘割―ミサカ谷のルートが考えられ」(「西中国山地」)というから、万丈川を通ってニソウ谷からミサカ谷へ抜ける道は、人々の出入りが多かったのかもしれない。岩の上に杉が生えて、人々にはまるで船が帆をかけて走っているように見えたのだろう。いつしか二艘船岩、四艘船岩と呼ばれるようになった。吉和にはこの船岩について「出船入船」の伝承が残っている。
山中の巨石が出入りする船の景観に似ていることから「出船入船」石として祭ることは全国に多いようだ。
フシグロセンノウ |
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ヨソウ谷を上がり途中から尾根に取り付いた。スギ林を登って四艘船岩から30分ほどで千両山に着いた。スギ林で展望はない。千両山の古い札が掛かっていた。かつてこの付近の山々が千両で売買されてからの呼称だと言う。西の尾根を進むと15分ほどで林道へ出た。林道は東西に延びている。西へ進んだ。ほどなく峠手前の分岐に出た。峠を越えて下ると二艘船岩へ出る道のようだ。ツリハシ谷源流に沿う林道を下ると分岐に出た。
分岐の標柱 |
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分岐の標柱に「昭和63年度 釣橋線」とある。南へ下ると釣橋線の入口へ出るようだ。南西方向の林道へ進むと15分ほどで林道は行き止まりになった。三坂八郎トンネルの北側のあたりだった。そこから尾根を登りミサカ谷源流部に入る林道の入口辺りに出た。アスファルトの道を下り10分ほどで大神ヶ岳登山口に帰着した。帰りにトンネルから大神ヶ岳を振り返ると山頂付近はガスが掛かっていた。
ミカエリソウ |
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サラシナショウマ |
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ツリガネニンジン |
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ミヤマガマズミ |
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カシミールデータ
総沿面距離11.1km
標高差447m
ツチアケビ |
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区間沿面距離
登山口
↓ 2.3km
立岩谷
↓ 1.1km
立岩山
↓ 1.4km
大神ヶ岳
↓ 0.5km
1126ピーク
↓ 1.6km
二艘四艘
↓ 1.3km
千両山
↓ 2.9km
登山口
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