6:15出発 曇り後雨 気温24度
6:35境谷
7:25立岩山分岐
8:35 10m滝
10:30尾根
11:05登山道
11:20市間山
フシグロセンノウ |
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立岩貯水池東岸の径 |
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大きな山容の中に小さく押ヶ垰の集落が見える。立岩ダムの底の太田川は澱んで流れはない。ダムの水量はさほど減ってないようだ。県道から立岩ダムを通り、立岩貯水池東岸の径を進む。東岸の径は小松原橋へ通じていると思っていたが、途中で径は消失している。径には実の付いたミズナラの葉があちこちに落ちている。立岩貯水池は境谷へ深く入り込んでおり、境谷の入口は深い谷だったようだ。径に沿って石垣が組まれている。立岩ダムから20分ほどで境谷入口。右岸に踏み跡があるが、すぐに谷へ降りている。茂っているので、戻って鉄の橋を渡り左岸から谷へ降りた。
右岸の木の階段 |
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サワグルミの実 |
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境谷は戸河内と吉和の境に当たるので、境谷と呼ばれていたのだろう。昔、国境を境目と言っていた。
「境谷は『戸河内森原家手鑑帳』には境目谷とあるが、現在はサカエ谷と呼ばれている」(「西中国山地」桑原良敏)。
谷へ入るとまもなく小滝がある。20分ほど登ると右岸に木の階段があり、黒いホースが引いてある。階段を登ると使われていないビニールの太いホースがあり、ホースの中継器のようなボックスがある。ここから水を引いているようだが、おそらくダムへむかっているのだろう。さらにその上には鉄の橋がある。立岩山への分岐を過ぎると、滝が連続し、その奥に10mほどの滝がある。左岸を巻いた。長いナメラ滝を越えて、分岐を左へ進むと10mほどの滝、左岸を巻く。谷にはサワグルミの実がたくさん落ちている。ところどころウワバミソウの食痕がある。クマの通り道なのかもしれない。
岩に埋め込まれたタイル |
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茎に留まる
セミの死骸 |
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ワサビ葉のセミ |
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しばらく登って、カツラが株立ちしている次の分岐で右岸に踏み跡がある。この踏み跡は下から続いていたのかもしれないが、左岸にスギ林が現れたので、植林地を結ぶ径かもしれない。分岐を左へ進んだ。大滝を越えた750m付近にゴギの魚影があった。谷の岩に山五…一+≠ニ書かれたタイルが埋め込まれていた。草の茎に止まったまま死んだセミにカビが生えていた。
谷にワサビが現れると、両側は石垣が組まれていた。高度830m付近で随分高いところにワサビ田を作ったものだ。立岩貯水池に没した村人が作ったものだろう。ワサビの葉の裏にセミが止まっていた。ワサビ田からほどなく水源帯に入る。水源帯の入口にも石垣が組まれていた。ワサビ田への土砂の流入を防ぐためのようだ。尾根に近づき、ササ帯に入ると踏み跡があり、足跡が残っていた。最近この辺りを通った人があるようだ。境谷から4時間ほどで登山道から降りる尾根に出た。尾根沿いに赤テープが続いている。この尾根径は登山道から打梨へ降りている。
尾根に出てから30分ほどで登山道へ出た。そこから15分で市間山。展望のない山頂で少し休憩した。山頂を吹き抜ける風はもう秋の気配だった。ウグイスが絶えず鳴いている。時折雨がぱらつく。ハチガ谷の頭を回って降りようと思っていたが、予定を変更して市間山からクラ谷へ下りた。
「『芸藩通志』上筒賀村絵図(1825年)に市間山の山名が見られる。『戸河内森原家手鑑帳』(1715年)には清水山の名が見えるが、これは清水という集落の奥の山という意なのだろう。市間山は布原、馬越など筒賀村側と戸河内上田吹あたりの呼称であるようだ」(「西中国山地」)。
12:00クラ谷上部
13:25クラ谷右谷分岐
14:40林道
15:45立岩ダム
市間山から北西へ伸びる尾根を少し下りて、クラ谷へ下った。この尾根道も赤テープが続いている。ヤマナシに似た実がたくさん落ちていた。
ワサビ田の石垣 クラ谷 |
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クサアジサイ |
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プラスチックの藤箕 |
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クラ谷の最上部はヤケに広く草も生えていない。よく見渡してみると石垣がある。ここもワサビ田だった。標高1000m付近。下るに連れて段々になっている。あちこちにイノシシが掘り返した跡がある。このワサビ田は清水集落の人々が開墾したのだろうか。開墾に使ったのか、プラスチックの藤箕が転がっていた。筒賀側のウス谷にもワサビ田があるので、市間山、立岩山の稜線の両側に多くのワサビ田が開墾されたのかもしれない。
気の遠くなるような労力と年月を費やして開墾されたワサビ田は、石垣と野生化したワサビがその痕跡を留めている。それを作り上げた人々はダムの底に沈んだ村を去り、あるいは孤立した村を離れてしまった。
6.3mトチノキ クラ谷 |
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モミジガサに留まる
モンシロチョウ |
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オオカギバ |
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ワサビ田からしばらく下ると、この谷の主のような巨大なトチノキが現れた。敬意を表して計測すると、周囲6.3m。5.5mのスケールでは一度で計れなかった。谷は長い岩ゴーロで伏流水になっている。大きな滝もなく下部のクラ谷右谷の分岐に到着。
分岐の上部にかなり大きな石垣が組まれてあった。周囲にブリキ缶や一升瓶が転がっている。小屋でも立っていたようだ。おそらく、ここからワサビ田の手入れに出かけたのだろう。クラ谷右谷にもワサビ田があると思われる。
クラ谷や境谷周辺の山々は、ほとんど大木が残っていないので、一度伐採し尽くされた山なのだろう。谷には伐採した樹木の運搬に使った鋼のロープが長く続いていた。
中電3号サイレン局 |
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分岐から先、谷は急に落ちて15mほどの大滝があった。右岸の踏み跡を降りた。滝を降りる途中から雨になった。本降りになってやむ気配はない。クラ谷の右谷分岐から1時間余りで、清水集落手前の中電の3号サイレン局のある林道へ出た。林道の橋下で雨の止むのを待った。ときどき天空で雷が鳴っている。小止みになったところで出発。清水集落を通り、清水橋を渡ると押ヶ垰へ上がる径がある。県道へ上がると立岩山方向の山々からガスが立ち込めていた。
キクバヤマボクチ
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カシミールデータ
総沿面距離7.7km
標高差679m
区間沿面距離
立岩ダム
↓ 0.8km
境谷入口
↓ 1.8km
尾根
↓ 0.8km
市間山
↓ 1.4km
クラ谷右谷分岐
↓ 0.7km
林道
↓ 2.2km
立岩ダム
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