6:00出発 晴れ 気温11度
6:35ニノワラ谷
10:20十方山登山道
アオガエル科の
タマゴ |

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瀬戸滝周辺は吉和下山と言うが、その範囲は広い。細見谷上流から十方山南西尾根へ上がる下山林道、その峠にある広島県の雨量観測局の所在地は下山、大谷川周辺の下山国有林、立岩断層の吉和側、立野キャンプ場も下山。細見谷下流左岸の荒れた下山林道。
ササユリ |

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「立岩貯水池側の集落は水没して無人になった…地図には水没した集落名は記していないが、大字名は下山、小字名として、立野、小松原、広瀬、一の原、二の原、大畠、三の原、立岩があったという」(「西中国山地」桑原良敏)。
二の原にはニノワラ谷があり、立岩には潰れた廃屋や神社がある。立岩貯水池東岸のタテイワ谷には水田跡の石垣が残っている。
県道をニノワラ谷へ向かった。気温が少し下がったためか、山腹をキリが取り巻いている。工事のトラックが通り過ぎて行った。立岩貯水池の対岸を見ると、湖岸に石積が続いている。湖岸の平地に水田が広がり、湖底へ段々畑があったのだろう。県道が山側へ入り込んだところで、「二ノ原橋」に到着。橋の上からニノハラのリュウズが見える。左岸から降りるとすぐに滝の入口。小谷にしては大きな滝だ。右岸を高く巻いたが、滑りやすく、危なかしい高巻きになる。入口手前から巻いた方が無難かもしれない。樹林に覆われた谷はまだ暗い。谷の石に「山」と書かれたタイルが埋め込まれていた。境界標識だろうか。谷にはカツラが株立ちしている。オオバアサガラの花がたくさん散っている。高すぎて花を撮れない。1時間余りでハシゴのリュウズ。右岸を巻いた。
ベニドウダン |
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オオナルコユリ |

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「下山付近では原のことをワラと発音しているようだ」「下山に住んでいた古老は、瀬戸滝のことをセトのリュウズという呼び方をしていた。同じように、二の原谷にある滝のことをニノワラのリュウズ、ハシゴのリュウズと呼んでいる。下山に住んでいた村人は、滝をリュウズ、懸崖をタキとはっきり使いわけている」(「西中国山地」)。
ニノワラ谷上部ではサワグルミやオニグルミが現れる。古い赤テープが残っていた。魚切の滝を幾つも越えた上部に、数匹のゴギが居た。人影に驚いて、瀬から倒木の下に隠れた。何百万年、ここで生きてきた祖先か、それとも二の原の村人が、かつて移入したのだろうか。最近の研究では、山陰からの移植でないものもあるとの見解も出ているが、遺伝子レベルの成果を待ちたいものだ。
「柴木川水系にはゴギの生息が古くから知られており、これについては
自然分布か人為的移入種かが問題となっている(内藤ほか、1996)。しかし、この地域にカワヨシノボリ斑紋型で推定した仮説のように日本海側流入河川から瀬戸内海側流入河川への河川争奪があったと考えればゴキについても自然分布である可能性が否定できない」(「八幡高原のカワヨシノボリ」吉郷英範 2003年)。 |
右の谷が崖になっている分岐に到着。右に進む予定にしていたが、登山道が近いので左側のみやすい谷を進んだ。左の谷を少し登ると水源帯になり、水が涸れる。水源帯が消えたところで左の尾根に上がった。尾根に赤テープがあった。花が散ったイワカガミが多い。登山道に近づくと大勢の話し声が聞こえてきた。今日の十方山は賑やかなようだ。ニノワラ谷から4時間弱で、三ツ倉から500mほどの登山道へ出た。
10:25分岐
11:15下山林道終点
12:45下山林道西の終点
ヤマゴボウ |

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登山道を300mほど登って、西へ降りる尾根を下った。途中まで目印があったが、その先は薮だった。20年以上前、セト谷を釣り上がって、下山林道へ出て、この尾根を通って登山道へ出ていたのだが、その道はもう消失している。ヒノキと薮の間を下って、尾根の北側の小谷へ出て、谷を下ってウシロヤマ谷へ出た。ウシロヤマ谷を400mほど登るとピンクのテープがある。そこから踏み跡をトラバースして、50mほどで林道終点に出る。ウシロヤマ谷にある林道の分岐点に出るには、十方山登山道をもう少し登って、次の尾根から直接分岐へ降りた方が、距離も短くて薮も少ないようだ。
オオカワトンボ |
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ウスバカゲロウ |

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下山林道東の終点は2万5千地図では、右谷上部あたりまでしか描かれていないので注意が必要だ。林道はウシロヤマ谷手前まで延びている。林道沿いにオオバヤシャブシが青い実を付けている。ヤマボウシの風車が満開になっている。しばらく進むと朽ちた廃車がある。十方山尾根へ抜ける右谷は、このあたりでも広くて大きく、水量が多い。林道終点から30分ほどでバーのキビレ入口の谷。鬱蒼とした林で覆われて、谷は見えない。林道に倒壊した小屋の屋根が残っていた。樹林の間から三ツ倉、立岩山が見える。林道は十方山雨量観測局で分岐する。観測局の南側の林道は茂っている。1時間半で林道西の終点到着。黒ダキ山が目前にある。
13:35十方山南西尾根分岐
14:20黒ダキ山
15:00黒ダキ山登山道分岐
分岐の境界石 |
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仏石 |
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ササと薮をかき分けて登り、稜線に出た。稜線のササが少し刈ってあるようだ。仏石への下りも刈ってあったので、下山林道の峠あたりまで、刈り取ってあれば、黒ダキ山からの縦走が少しは楽かもしれない。樹林の間から京ツカ山南の1076鞍部が見える。稜線の道にピンクのテープが続く。尾根にあるブナの周囲は2.3m。
境界石のある尾根の分岐から仏石へ、刈り取られたササの道を下った。ホオノキが大きな花を付けているが遠すぎる。ドウダンツツジはまもなく終わりだろう。たくさんの花が登山道に落ちている。分岐から45分ほどで黒ダキ山。頂上の林は昨年伐採されたが、茂っているので展望はよくない。
黒ダキ山を下った。樹林の間から十方山、女鹿平山、霞んだ冠山が見える。眼下にセト谷の鬱蒼とした森が広がっている。黒ダキ山から40分ほどで、赤い吸殻入れのある尾根分岐。小松原橋へ延びる急な尾根を下った。
ホオノキ |
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カツラ |

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15:15タガタノ谷分岐
16:15セト谷
17:00瀬戸滝
17:20瀬戸滝登山口
尾根道はピンクのテープが続く。尾根分岐を15分ほど下ると小鞍部に出る。そこからタガタノ谷を下った。少し下るとトチの大木がある。しばらく下ると、ウワバミソウの食痕があった。途中から続いていたから、クマが下から登って、横の山へそれたのかもしれない。ウワバミソウの食痕は今年初めてである。ツキノワグマはセト谷を根城にしているのかもしれない。1時間でセト谷へ抜けた。少し下の左岸に石垣があり、右岸に平地がある。
タガタノ谷付近は昔、水田、畑を作っていたというから、水田跡かもしれない。少し上流の左谷と右谷の分岐付近の平坦地にはかつて人が住んでいたという。右谷左岸にキジヤ原があるので、木地師がこのあたりへ入って、小屋住まいをしていたのかもしれない。キジヤ原という地名は「西中国山地」では、青笹山付近の二ヶ所だけである。
さらに下ると、サワグルミの大木が倒れ、倒れた枝から果穂が垂れ下がっていた。砂地に足跡があり、釣り人が上がっているようだ。右岸の道を歩いてみたが、ところどころ崩れて崩壊している。タガタノ谷から45分で瀬戸滝上部に到着。昨日の雨は少なかったようで、滝の水量は少ない。木馬道から瀬戸滝左岸の崖を下り、上段の滝横に出た。ここからアライ川右岸の数メートル上まで踏み跡がある。滑りやすい崖を下るとアライ川へ降りる。滝の展望所に立つと涼しい風が吹き抜けた。
カシミールデータ
総沿面距離13.0km
標高差572m
区間沿面距離
瀬戸滝登山口
↓ 1.5km
ニノワラ谷
↓ 1.9km
十方山登山道
↓ 0.9km
林道東終点
↓ 3.6km
林道西終点
↓ 0.7km
十方尾根分岐
↓ 0.8km
黒ダキ山
↓ 0.7km
尾根分岐
↓ 1.1km
セト谷
↓ 0.8km
瀬戸滝上部
↓ 1.0km
瀬戸滝登山口
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