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薮ヶ迫山…サバノ頭…三段峡…向山 2005/4/10
三段峡…薮ヶ迫山…サバノ頭…葭ヶ原…向山…最早山…三段峡

■サバノ頭(サバノアタマ)1073m:広島県戸河内
■薮ヶ迫山(ヤブガサコヤマ)1050.3m:広島県戸河内
■向山(ムカイヤマ)1065.8m:広島県戸河内

三段峡入口

立岩山

薮ヶ迫山
サバノ頭と向山
サバノ頭
尾根道

 葭ヶ原 降下地点

三段峡

 ヌケ谷

岩ゴーロ
ブナの大木
向山

最早山付近

導水管のトンネル出口
柴木集落
三段峡入口
タチツボスミレ
5:50出発 曇り後雨 気温20度

6:30 589峯
7:45薮ヶ迫山

 午後から雨の予報なので早めに出発した。渓流釣の人が入っている。春の花がいっせいに咲き始め、入口のサクラは満開になっている。気温20度で、早朝にしては高い。三段峡入口手前の駐車場横から柴木林道に入ると、電気柵は開いている。15分ほどで内黒山登山口。ヒノキの植林帯を登った。山の下の方は、雪で倒れたヒノキが片付けられたいた。

ユズリハの食痕

 30分ほどで589峯。林で展望はない。キツネの糞がある。タヌキらしいタメ糞もあった。西風が強い。雨を運んでいるのだろう。タムシバの白い花がアチコチで咲いている。800m付近に大岩がある。踏み跡があるので上がって見たが、展望はあまりない。尾根から西に見える立岩山は霞んでいる。右に向山が見える。アセビが満開になっている。ユズリハの葉が食べられている。頂上近くになるとまだ雪が残っている。融けた雪の下に白カビが繁殖していた。2時間ほどで薮ヶ迫山。頂上に雪が少し残っていた。

。「1050.3メートルの点称は<滝ヶ谷>である。この小さなピークに山名が必要ならば薮ヶ迫山がよいと思われる。薮ヶ迫はこの付近の地籍名であり、『国郡志御用につき下しらべ書出帳・戸河内村』に御建山として<薮ヶ迫山>と記されていることによる」(「西中国山地」桑原良敏)。三角点の点名は宮里で、案内板では宮里山になっている。

タムシバ

8:15サバノ頭取付
8:30サバノ頭

 林道を歩いて、サバノ頭の取り付きへ向かった。林道には30cmほどの雪が残っている。雪の融けたところにフキノトウが頭を出していた。林道から向山の稜線やサバノ頭が見える。谷を横切ると冷たい風が通り抜ける。谷沿いの雪からガスが発生して煙っている。気温が高いからだろう。ヤグラのある取り付きに到着。取り付きのヤマザクラは小さな蕾をまだ固く閉ざしていた。登山道のヒノキ林にクリの苗木がたくさん植えられていた。15分ほどでサバノ頭。三角点は雪の下だった。西側の展望岩へ上がった。砥石川山や比尻山は霞んでいる。

 サバノ頭は国土地理院の点名では「鯖ノ頭」となっているが、「鯖の頭」ではない。
 「サバは砂礫土を意味する愛知、岐阜の方言で、山ヌケして押し出された崩壊土がヌケ谷をつくり、崩壊を起こす地点がサバノ頭という。横川、柴木の古老と黒淵莊の主人よりこの山名を聞き出した」(「西中国山地」)。

クロモジ

10:20葭ヶ原
11:15取り付き

 ヌケ谷を横に見ながら、雪の尾根を三段峡へ下った。尾根筋は大きなブナが多い。林の間から向山が見える。ところどころ尾根道を大岩が塞いでいる。下るに連れてタムシバが多くなる。この尾根径には、さほど倒木がなかった。三段峡の谷が見え始めた。尾根が突然下へ落ち、断崖になっている。西側へトラバースして下った。ちょうど葭ヶ原にある店の建物の対岸へ降りた。サバノ頭から2時間かかった。砂地に足跡があり、釣人が入っている。

 思った以上に水量が多い。降下地点が誤りだったかもしれないと思った。少し上がって渡渉を試みたが、流れが速く、登山靴ではズルズル滑って踏ん張れない。もう少し上へ行き、岩に上がって水面を見た。流れの緩いところは少し深いが、両側は浅くなっている。靴にバンドを巻いて滑り止めにした。太い枝を支えにして、腰下までつかりながら、なんとか渡った。渡ったところは三段滝入口手前の河鹿屋敷というところだった。ジャブジャブの靴をひっくり返して水を出し、クツシタを絞っていると、三段滝からの人たちが通り過ぎて行った。橋のある黒淵への尾根を降りたほうが正解だったようだ。

13:00蔵座林道終点
13:25 962峯
13:45向山
14:00最早山
14:15向山
17:00三段峡

 葭ヶ原のサクラが咲き始めていた。向山から降りている尾根の取り付きを探したが、どこも急峻で登れそうにない。ヌケ谷を過ぎてU字カーブを曲がったところに踏み跡があった。「長淵橋から4.8km」のプレートの道標があるところだった。その踏み跡はサイレンのポールがあるところまでだった。そのまま登っていくと大きな岩壁が尾根を塞いでいた。東側のガレ場を渡って尾根を登った。また岩壁に突き当たる。東の尾根に渡る。今度は大岩のゴーロ帯。東へトラバースして緩やかな尾根にやっと出た。ツガの大木が多い。岩また岩の尾根を歩くと、一千万年かけて、かたい花崗岩が侵食されてできた三段峡の成因を実感できる。

向山

 尾根道は潅木と倒木の連続だった。振り返るとサバノ頭が間近に見える。ササが出てくると潅木は減ってくる。700m付近に大きなブナがあった。800m付近でヒノキの植林帯になった。見回り道の踏み跡がある。ほどなく蔵座林道の終点に出た。踏み跡のあるヒノキの尾根道を登った。目印がところどころある。雪の残っている山頂に到着。三段峡の取り付きから2時間半かかった。林で展望はないが、大きなブナがある。雪の残る畳ケ平(タタミガナル)の尾根道を最早山へ向かった。しばらく下ると鞍部付近にブナの大木があった。1064標高の最早山付近には大岩があり目安となる。

「最早山は板ヶ谷の村人の呼称である。松原では蔵座山と呼んでいるようだ」(「西中国山地」)

キブシ

 最早山はモヤイヤマとは読めない。変わった読み方だ。「モヤイ山」をネットで検索すると、村人共有の山林の呼称として、郷山、地山、村持山、モヤイ山などがある。村山から薪炭材、肥料用の柴草、牛馬の飼料、木の実などのほか、建築材を採取することもあり、村の生活にとって、村山の存在は不可欠であった。

 ネットで「モヤイ」「もやい」を検索してみた。全国共通の意味合いで使われているようだ。
●広島弁
※もやいやいこ(お互い手伝い合う)
※釣り道具をもやいにしょうや(能美島 一緒に使う・共同)
●「モヤイ」は東京新島の方言では「助け合い」「力を合わす」を意味する。
●高知県高岡郡檮原(ゆずりはら)村では,村の共有山をモヤイ山という
●神奈川県秦野市
山には県有、市有のほかに共有山がある。共有山は言わば「もやい山」として、地域の建築用材、カヤなどを得るための山であった
●博多弁
そげなもんモヤイで使えばよかろうもん(それは共同で使ったらいいんじゃない)

■goo辞書では
もやい もやひ【催合い/最合い】
他の人と共同して事をしたり物を所有したりすること。おもやい。
■NAVER知識では
「もやい=舫い 船と船をつなぎとめること」 から転じて、たすけあう・わかちあう・共同するという意 味を持つ、九州地方の方言。 元は船に関係した用語からきている。今でも、ロープワーク(結び方)の中に「もやい結び」がある。

 「もらいやいこしよう」と言って遊んだ遠い記憶がある。
 最早山周辺の三角点の「点の記」の所有者欄を見ると、
●点名 向井山(四等三角点)
所有者 柴木部落共有地総代
●点名 作見谷(三等三角点)
所有者 共有地総代
●点名 犬ヶ谷(四等三角点)
所有者 共有者代表
など、所有者が共有になっているところが多い。最早山は村人共有の山という意味合いで、モヤイヤマ≠ニ呼ばれていたのかもしれない。

スミレ

カワニナ?

 向山に戻った。雲行きが怪しくなっている。急いで下山した。ヒノキ林を抜けるとミズナラとブナの林になる。下るに連れて倒木が多くなる。ところどころ踏み跡が薄く残っている。この径はほとんど利用されていないようだ。3時過ぎ、地下に導水管が通っている尾根辺りから雨が降り始めた。下るに連れて倒木が多い。サイレン塔を過ぎるとはっきりした踏み跡があるが、導水管に沿う径に出るまで倒木の連続だった。導水管は崖のトンネルを出て三段峡に落ちていた。この径は2km余りあり長い。三段峡の入口は煙っていた。道にマキガイの殻が落ちていた。石の階段がなくなると、導水管に沿う長いジグザグ径になる。柴木川発電所の西側に降りた。電機柵の扉が閉まっている。恐る恐る扉を開けて出た。雨がひどくなった。

カシミールデータ
総沿面距離17.4km
標高差745m
区間沿面距離
三段峡
↓ 3.6km
薮ヶ迫山
↓ 2.4km
サバノ頭
↓ 1.5km
葭ヶ原
↓ 1.6km
尾根取付点
↓ 2.5km
向山
↓ 0.5km
最早山
↓ 0.5km
向山
↓ 5.7km
三段峡

内黒山登山道

アセビ
雪の残る林道

サバノ頭取り付き

砥石川山 野田原の頭 比尻山

タムシバ

葭ヶ原 降下地点下流

渡渉地点

尾根径の岩壁

サバノ頭
蔵座林道終点付近

尾根道のブナ

向山南側のヒノキ林

柴木川へ落ちる導水管
電機柵の入口
三段峡入口
タチツボスミレ
ヒュウガミズキ アオキ フキ ナノハナ アセビ

立岩山
向山
サバノ頭 向山
サバノ頭
砥石川山
砥石川山 野田原の頭 聖山
大岩 ヌケ谷西
葭ヶ原右岸に下りる
柴木川落口
渡渉地点 河鹿屋敷
ミズナシ川
三段峡
サバノ頭
ブナ
蔵座林道終点
向山
畳ヶ平
最早山
導水管の横を通る
柴木集落
左から向真入山 深入山 962標高 向山 左下はミズナシ川 (2004/10/17 サバノ頭から黒淵へ降りる尾根から)
左から深入山 最早山 向山 サバノ頭 (2004/11/13 恐羅漢山立山尾根から)
登路(黒線は緯線経線 間隔1分 WGS84 青線は磁北線)