6:40出発 霧雨のち時々晴れ 23℃
那須
方面 |
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戸河内へ抜けるため、国道433号線から湯来町へ入ろうとすると、片側通行の表示になっている。18号台風のがけ崩れのようだ。反対方向の191号線に出ると加計方面は緊急全面通行止め。今日はどうもついてない。
191号線から広島北インターへ入り、内黒峠へ向かう県道恐羅漢公園線の入口に到着すると通行止め、那須方面も全面通行止め。仕方ない、歩いて内黒峠へ向かった。県道沿いのコンクリートの電柱がポキリと折れていた。ところどころ崖が崩れ、道路が崩壊していた。一時間余り登った頃、数台の工事車両が追い抜いて行った。柴木線から入ったようだ。
内黒峠へ向かう恐羅漢公園線入口 |
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8:40内黒峠
峠の手前にさしかかると、霧で視界が20、30メートルしかない。いつも車で通り過ぎるだけの遭難碑に到着。昭和38年1月6日遭難とあった。「雪の峠道で三名の山仲間を寒気とナダレのために失った。札場と内黒峠の手前に、その遭難碑が彼らの仲間達によって建てられている」(「西中国山地」桑原良敏)。
遭難碑から程なく内黒峠だ。県道入口から2時間ほどかかった。霧雨で視界はまったく利かない。内黒峠の標識の裏側に内黒山への登山道がある。少し休憩した。
「内黒峠は…990メートル標高の峠である。この峠越えの道は…ふるい歴史を持った峠といえる。『戸河内森原家手鑑帳』(1715年)によると<オオクビレ>という峠名が付けられている…古屋敷に電燈がついたのが昭和28年1月。この素朴な山里を訪れるには、内黒峠三里の道を歩いて越えるのをいとわない山好きの人たちだけであった」(「西中国山地」)。
碑の裏面 |
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8:50内黒峠出発
10:00彦八の頭
10:30カザゴヤキビレ
11:10丸子頭
11:45中三ツ倉
12:30十方山
十方山への入口に加藤武三の碑がある。碑面の詩「内黒峠」は遺墨である。「歩きにくい雪路を四時間 標高千米の内黒峠…」。碑の由来で加藤武三の活躍を紹介している。1974年山毛欅会によって建之された。
マムシ |
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相変わらず霧が濃い。登山道にはクリの実やヤマボウシの赤い実が落ちている。最初のピークを下った辺りに大きなブナがあった。1166峯付近の稜線の日当たりの良いところにはリョウブが多く、登山道はリョウブの林になっている。10時ごろ、霧の間から日が射しはじめ、彦八の頭の下りで、スキー場と恐羅漢山が見えた。このころから、登山道の日当たりにはヘビが出ていた。十方山へ着くまでに20匹はいただろうか。カメラを向けるが逃げ足が早く、うまく撮れない。
1999年6月開設の藤本新道案内板 |
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10時30分、藤本新道分岐のカザゴヤキビレに到着。案内板は落書きが多い。内黒峠まで車で入れたら、十方山からシシガ谷へ降り、旧羅漢山、恐羅漢山を回って、まだ通ったことのない藤本新道を経て帰る予定だった。秋も深まったころに周回するのが良いかもしれない。
サンインマイマイ? |
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カタツムリを登山道で見つけた。雨に誘われて出てきたのだろう。登山道周辺では、台風18号による倒木は心配していたほどでなかった。しかし、丸子頭を過ぎた辺りで大きなブナが根元から1mほどのところで折れ、登山道を塞いでいた。折れたブナにはミヤマノキシノブが着生していた。ブナとアシオスギの混在する林に入り、論所の小さな流れを渡ると、最後の登りとなる。
十方山頂上 |
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前三ツ倉 |
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13:00下山
十方山山頂は数名の登山者があった。遠く霞んではいたが、強い風が霧を飛ばし見通しは良い。山頂の標識がなくなっている。18号台風で飛ばされたようだ。地元の人が新しく道開けされ、原生林が残っている那須へ降りることにした。途中で内黒峠から来た夫婦連れに会った。二軒小屋から登りの途中で地元のトラックに乗せてもらったという。
中三ツ倉には白ペンキで「ナス」と大書してある。登山口の駐車場までピンクの目印があるので迷うことはない。下りはササ帯になるが、ササが伸びている。踏み歩かないとすぐに茂るだろう。
14:15藤十郎
ササ帯を降りて小谷を過ぎると、藤十郎辺りからブナや杉の巨木が多く、登山道は薄暗く原生的な雰囲気が続く。十方山へ向かう登山道では、那須からの路が一番深い森を楽しめるのではないだろうか。
クリの木の爪痕 |
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登山道の三ヶ所で新しい糞を見つけた。クマの糞のようだ。同じような糞で、ゴマのような黒いツブが混ざっていた。サルナシの種か。内黒峠から十方山までの縦走路で一度も見なかった糞が、ここでは続けざまに三ヶ所もあった。ブナの原生林が多い藤十郎周辺はクマのエサとなる木の実が多いのだろう。
さらに下ると実のないクリのイガが散乱していた。折れたクリの枝もあった。見上げるとクマ棚のようだ。幹には爪痕がくっきりとあった。
アケボノソウ |
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15:40駐車場
トウジュウロウ谷を右に登山道を降りて、小屋を過ぎるとまもなく左側が開け、舗装された風小屋林道の終点に到着。数台が駐車できるスペースがある。ここからアスファルトの林道を降りた。ほどなく那須部落に出た。まだ何軒か残っている。江戸時代末期から栄えた木地師の末裔は暮しているのだろうか。
那須川を下って行くと、杉の植林帯が、地すべりで倒壊し、幅数十メートルに亘って歯が抜けたようになっていた。川には剥がれた落ちた杉が何十本も折り重なっていた。18号台風によるものだ。
那須から恐羅漢公園線へ向かう径 |
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18:30出発点
那須川から太田川に出ると川は白く濁っている。那須川は透明だったのに。那須川上流の森は浄化装置の役割を果たしている。
太田川に沿って出発点へ歩いた。太田川沿いの杉の植林帯も地すべりで倒壊している。ところどころ植林帯の間に広葉樹のところがある。古い地すべりの跡のようだ。杉の植林によって地面が崩れやすくなっているのだろう。
那須から太田川に出るまで随分あったが、出発点までは気の遠くなるほど長かった。帰って調べてみると、那須から恐羅漢公園線まで500mほどで、道があった。那須を降りながら、那須川の対岸の急な斜面に手摺のついた径があった。この方が那須から半分の道程だった。
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カシミール3Dデータ
ハナトラノオ |
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総沿面距離 29.5km
標高差 1016m
区間沿面距離
出発点
↓ 7.1km
内黒峠
↓ 6.4km
十方山山頂
↓ 4.2km
風小屋林道終点
↓ 11.8km
出発点
フシグロセンノウ |
ミヤマノキシノブ |
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