6:05出発 晴れのち曇り
カリガネソウ |

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黒ダキ山の登路には、テンガタキ谷の西の尾根を登る営林署の巡回路のコース、クロダキ谷をつめるコース、ナガ谷の踏跡コースがある「西中国山地」(桑原良敏)。いままで通り過ぎるだけだったクロダキ谷から登ってみた。
整備された立野キャップ場にはテントが張ってある。昨夜から来ているようだ。キャンプ場から細見谷橋を渡って林道に入る。細見谷橋の銘板を確認すると昭和45年7月竣功となっていた。今や林道だったと分かるのは錆び付いたガードレールとカーブミラーぐらいだろう。細見谷入口にあるアマゴの養殖場の写真を撮ろうと思うのだが茂っていて難しい。なんとか林の間から撮ってみた。
細見谷橋の銘板 |

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この時期、林道は草が茂り歩きにくいが、15分も歩くと林道を覆う林で草が生えず歩き易い径になる。林の中はまだ薄暗い。林道にある倒木の空洞の中でツチアケビ(ラン科)の実に出会った。中身は翼のついた種が詰まっていて、薬にもなるという。林道沿いで一番の大木はテンガタキ谷付近にあるトチノキだろう。林道から少し下って写真を撮った。胴回り4、5mほどある。
7:50林道終点
7時20分頃、黒ダキ山登山口にあるツガの木を過ぎて、10mほど先に営林署の吸いがら入れが設置してあった。昔は灰皿のあるところが黒ダキ山の登山口だったようだ。登山口から数分で林道は右へ大きくカーブしクロダキ谷へ入る。
カーブ地点から先は踏み跡が少なくなり、原生的な雰囲気が増してくる。さらに進むと右側から落ちる谷が終点かと思われたが、谷を過ぎてガレ場を越えると、踏み跡があり、林道らしき道がまた現れたかと思うとすぐ道がなくなり、その先は崖になっていた。まるで林道工事が突然中止されたような跡だった。すぐ下にクロダキ谷の流れがあった。2万5千地図では、林道は谷の大分手前で終わっているが、実際にはクロダキ谷まで通じていた。谷へ降りて休憩した。
トチの実 |

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10:15鞍部
研究者のレポートを読んでみると、林道終点から細見谷上流はクマの痕跡が濃いところだという。
谷のあちこちで、上から落ちてきたトチの実がたくさん溜っている。これから実の数はまだ増えるだろう。クマにとっては谷で拾う方が手っ取り早いだろう。
サワガニがいた。用心深いのか、サワガニになかなか会えない。一つ谷を歩いて見つかるのは一匹か二匹くらいだ。サワガニをねらう天敵がウロウロしているのか、それとも数が少ないのか。
サワガニ |

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ウワバミソウの食痕 |

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クマが食べているというウワバミソウの食痕があった。クロダキ谷はクマの通り道になっているのだろうか。谷の厳しいところで古いロープが残っていた。物好きな同輩がいるようだ。
鞍部まで300m付近で谷の中央をガレが覆っている。谷が崩れてたまったのだろう。谷の真中にカツラの大木が仁王立ちし、何トンもの岩を支えていた。鞍部まで100m付近ではジャリを敷き詰めたような谷になって、上へ進もうにも崩れてなかなか進めない。「西中国山地」ではクロダキ谷は「歩き易い谷である」と書いてあるが、ガレ場のあるところは崩れて歩きにくい。当時からくらべて山が荒れてきたのかもしれない。
ミヤマカタバミ |

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ガレ場を過ぎるとササとハイイヌガヤの中を進む。そろそろクロ懸崖(ダキ)が左に見えるはずなのだが、林が茂っていて見えない。鞍部手前で懸崖を少しだけ確認できた。
クロダキ谷はブナやトチなどの大きな木が多く、原生的な雰囲気を残している谷の一つだ。下山林道はクロダキ谷へ深く入り込んでおり、登山道から頂上を目指すより距離が短く、楽な登路に思えた。林道終点から入った場合、最初の分岐を左へ、次の分岐を右へ進む。ガレ場からササ帯に入る時、うっかりすると棘のある木を掴んでしまいそうになる。
キアゲハ |

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10:25頂上
ササを掻き分けて鞍部に出た。10分ほどで頂上に着いた。頂上は伐採されて明るくなっていた。トンボやチョウが舞っている。6月5日にロクロ谷から登った時はまだ伐採されていなかった。中途半端な伐採なので展望はよくない。なんのために切ったのだろうか。測量のためか。切られる前の方が頂上らしく思われた。山頂にあったベニドウダンは切られていた。
シマヘビ |

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10:55下山
13:15黒ダキ山登山口
頂上から少し下ってクロ懸崖に出ようと足を踏み入れると、ヘビがとぐろを巻いて待ち構えていた。松の木の見える懸崖近くまで下って見たが、下へ大きく落ち込んでいたので次回とした。おそらくクロ懸崖の上に立てば眺めは良いだろう。
登山道の所々で糞の塊があった。まだやわらかい。枝で掻き分けてみると、同種の木の実や種がいっぱい詰まっていた。クマの糞のようだ。クマは尾根や谷を行き来しているようだ。
頂上では陽が射していたのだが、だんだんと曇ってきた。台風の影響だろうか。冠や女鹿平山、十方山が少し霞んでいる。眼下に見える瀬戸滝上流の鬱蒼とした広葉樹の樹海はいつ見てもすばらしい。尾根道が終わり登山口への急な下りに入った。下のほうでガサガサするのでクマが出たかと思い、ホイッスルを鳴らした。3人の登山者だった。この時期、黒ダキ山の登山者はめずらしい。何回か登っているが今まで一度も人に会ったことがなかった。この山ではクマと同じくらい人に会うことはない。
ツリフネソウ |

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14:25立野
思いのほか早く下山したので、いつも足早に通り過ぎる林道をゆっくり歩いた。時間があれば頂上から瀬戸谷の針葉樹の天然林へ降りようと思っていたのだが、次回にすることにした。キャンプ場は賑わっていた。細見谷川ではこどもたちが水遊びしていた。
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カシミール3Dデータ
総沿面距離 8.6km
標高差 534m
区間沿面距離
立野
↓ 3.1km
下山林道終点
↓ 1.1km
山頂
↓ 4.4km
立野 |