山歩き

立岩ダム…鱒溜ダム…市間山…境谷
2020/4/16

立岩ダム…那須橋…鱒溜…鉄塔…明ヶ崎…ハチガ谷の頭…市間山…境谷…大休ミの丘…立岩ダム

■明ヶ崎(ミョウガサキ)692m:広島県山県郡戸河内町字下田吹(点の記) 安芸太田町
■ハチガ谷の頭(ハチガダニノカシラ・エンボウ原)1030m:安芸太田町
■市間山(イチマヤマ)1108.8m:広島県山県郡筒賀村大字上筒賀字市間山(点の記) 安芸太田町

ケルンバットと押ヶ垰
立岩山と大休ミの丘
木造のバス車庫跡
打梨橋の地蔵
打梨小学校跡
大岩多いサカネ谷落口
那須橋
打梨発電所
川原に延びる水路 打梨橋から
オオズエ谷
観音地蔵 オオズエ谷右岸
鱒溜ダム
急坂のスギ林を登る
植林地の尾根を進む
クマ棚
ヌタ場
47番鉄塔
山腹の鉄塔道を進む
エンレイソウが群生
鉄塔道から見た彦八
46番鉄塔と大平山
分岐の三叉路と標柱 右46番鉄塔 左市間山
掘下げた山道を進む
尾根のケヤキ
古いクマ糞
林道から彦八を望む
ハチガ谷の頭北面へ延びる林道
1000m付近手前
ハチガ谷の頭
ハチガ谷水源
市間山登山道に出る
市間山
雪の斜面を境谷へ下る
境界尾根のスギ林を下る
境谷分岐の左谷へ下りる
境谷の左谷
奥の境谷右谷と左谷
右岸のワサビ田道
大休ミの丘のクマ棚
タユウ谷水源の水路
立岩貯水池
6:45 立岩ダム 気温6度 晴れ
 

7:50 那須橋
8:00 打梨橋
8:02 オオズエ谷
8:30 鱒溜ダム(マスダマリ)
9:50 47番鉄塔
10:15 46番鉄塔
10:25 45番鉄塔
10:40 明ヶ崎
12:00 林道
12:50 ハチガ谷の頭
13:20 市間山
13:35 降下地点
14:30 境谷分岐
14:55 尾根道合流点
15:00 大休ミの丘
15:30 立岩ダム

 立岩ダム駐車場を出発。ダム右岸の山腹にヤマザクラが咲いている。押ヶ垰のケルンバットから上は日が射している。10日ほど前に咲き始めたキブシはまだ残っている。スギ林の下にゼンマイが伸び始めた。キケマンが咲く。車道沿いのヤマザクラは散り始め、赤い若葉が目立つ。

 スギ林下にヤマブキが咲く。シャクは咲き始め。大休ミの丘の鉄塔の先に立岩山が見える。押ヶ垰の広電バス時代の古い木造の車庫跡を通る。スギ林の中に清水橋へ下りる山道がある。道路沿いにヤマザクラ、ミツバツツジ、ヤブツバキが咲き、ウリカエデの花穂が下がる。

 草原にムラサキケマンが咲く。向かい側の右岸の山腹にヤマザクラが点々と咲いている。どういうわけか、ミツマタが一本だけあり、花が咲いていた。打梨橋の手前に錫杖をもった地蔵が祀られている。立岩ダムの大谷川右岸にある地蔵に似ている。その先の左側に6番鉄塔への標柱がある。大休ミの丘の鉄塔から順番になっている。

キブシ
ヤマザクラ
イデガ谷

 打梨小学校跡を通り、サカネ谷を渡る。山際にシャガが咲く。サカネ谷落ち口の川原は巨石がゴロゴロしている。4番鉄塔の横を通る。イデガ谷は水量が多い。3番鉄塔を過ぎ、打梨集落を過ぎると那須橋。以前無かった「隠れ滝」の看板がある。橋を渡って太田川上流を振り返ると太田川左岸の山に雪が見える。

 対岸の山に2番鉄塔が見える。1番鉄塔を過ぎた山側に「大竹谷町有林」と書かれた古い標識があった。左岸の地籍は「大竹谷」と呼ぶようだ。打梨発電所の前まで来ると、山から送水管が建物へ入り、送水管の上の山に円筒形のサージタンクが見える。

 太田川の川原には取水口があり、水路が下流に延びている。打梨橋を渡り、右岸の車道を進む。右岸から落ちるオオズエ谷は細い急流で滝のような流れだった。西側に見える藤十郎の峯も、東側の山崎も雪で覆われていた。オオズエ谷の東側に小谷があった。その落ち口には合掌する地蔵様が祀られていた。

大竹谷
打梨発電所前の取水口
ミツマタ
ウリカエデ

 右岸の車道を進むと上空に鉄塔が見える。左岸の山にも鉄塔が見える。トンネルを潜り、送水管落ち口を過ぎて、終点の鱒溜ダムへ進む。ここまで鉄塔への登り口は無かった。鱒溜ダムから急坂のスギ林を登る。巨石の横を通る。ヤブコウジに赤い実付いている。20分ほどで尾根に上がる。

 アカマツの尾根を登る。尾根の両側にツツジが咲いている。獣道が続く。境界柱があった。ヒノキ林を進む。クロモジが咲く。589ピーク辺りから緩やかな植林地になる。ヒノキとスギの混交林になっている。植林地にツツジが咲く。平坦な尾根上のコナラにクマ棚があった。そこら中、殻が付いた枝が散乱していた。幹には明瞭な爪痕があった。

 イノシシが掘り返したヌタ場があった。前方に鉄塔の先端が見えてくる。ミヤマシキミが咲く。植林地の中の47番鉄塔に出る。鱒溜ダムから1時間20分ほどだった。混交林の東の山道を進むと、山腹を鉄塔道が通っていた。山道は植林地の中を通る。東側に鉄塔が見えてくる。北側に大平山の峯が見える。

クマ棚の下の散乱するコナラの枝
ニリンソウ
コバノミツバツツジ

 大古屋から上がる谷の水源にエンレイソウが群生していた。雪の彦八の頭が見える。鉄塔に近づくと向山、内黒山が見えてくる。46・47番鉄塔への標柱があり、46番鉄塔は下った所にある。標柱から東の植林地を進む。林の中に奇妙な形のキノコが生えていた。

 44・45・46標柱に出た。ここで田吹からあがる山道と鉄塔道に分岐する三叉路になっていた。45番鉄塔へ進むとクマ棚があった。引き返して掘下げた山道を登る。10分ほどで692m三角点。落葉の下に埋もれたか三角点が見当たらなかった。

 少し進むと分岐道に出る。47番鉄塔へ下る道のようだった。尾根を進む。大きいケヤキがある。ヒノキとスギの林を進む。744ピークを過ぎた先に三つに裁断したような岩があった。平坦な尾根に水溜まりがあり、ヒキガエルの卵があり、イノシシの足跡もあった。西側に雪の彦八が見える。

三石
ヒキガエルの卵
クロモジ
ミヤマシキミ
ミヤマシキミ

 820m付近に古いクマ糞があった。850m付近から雪が残っていた。870m付近で林道に出た。牛首から上がる林道が尾根を越えて市間山方向へ延びていた。北側に展望があり、彦八の頭から深入山への峯が見える。雪が残る林道を進む。途中、尾根上に広場があり、そこから少し先でスギ林の尾根に戻った。

 登るに連れて雪が多くなる。920m付近にクマ棚があった。目印となる境界石柱が所々にある。1000m付近にヤマドリの足跡が続いていた。10cmほどの雪が残るハチガ谷の頭の平坦地を通る。ハチガ谷の水源は鞍部になっている。市間山への登山道に合流。雪が無いところもあるが、深い所は20cmほど残っていた。明ヶ崎から3時間弱で市間山、15cmほどの雪があった。

 林越しに白い深入山が見える。雪の尾根を南へ進む。10分ほどで降下地点。滑りやすい雪の斜面を枝につかまりながら下る。雪の十方山が見える。途中、スギの植林地を境谷へ下る。境界尾根上にピンクのテープが続いている。1時間ほどで境谷の左谷と右谷の分岐に下りる。分岐の末端までテープが続いていた。左谷に下り一休みして、清水で顔を洗う。

ヤマドリの足跡
コガネネコノメソウ
イカリソウ

 谷の分岐から右岸に踏み跡がある。途中、山道が崩れた所があるが、それを過ぎるとテープがあり、そこから明瞭な山道になる。境谷の分岐から20分ほどで尾根から下りる分岐点に出た。クマ棚が多い大休ミの丘を進む。タユウ谷水源の水路を渡り、送電線の下を横切ってダムへの降下地点に進む。

 アセビの花が咲き、カエデが葉を伸ばし始めていた。20分ほどでダムの右岸に下りる。立岩貯水池は風も無く静かだった。日の当たる山腹にヤマザクラが目立つ。尾根の降下地点から2時間ほどで駐車場に帰着。
 

アセビ
ムラサキケマン
ミヤマキケマン
ヤブツバキ
シャク
シャガ
ヤマブキ
ヤブコウジ
エンレイソウ
シャグマアミガサダケ
イワガラミ

 

地名考

 西中国山地のツエ地名

 
崖地名のツエ、クエは広く分布する。西日本に多く、中国、四国、九州に多い。西中国山地地形方言「ツエ」「クエ」は「山崩れ」「崩れることをツエル」(「西中国山地」桑原良敏)という。

 「西中国山地」に、「ツエ」「ズエ」を含む地名は15ヶ所ほどある。

 「オオゼイ谷(柏原山)はかなり急な谷なので大崩壊したことがあるという。崩壊することをガレルとかツエルとか表現することはよく知られている」(「西中国山地」)。

 オオゼイはオオツエの変化形と思われる。

 「ツバクラ 崩岩。ツバキ(崖)。ツバケル(崩れる)。クラ(崖)。即ちツバケタクラ→ツバクラ。燕(ツバクラ)は当て字(「西中国山地」)。

 市間山にツエ谷とオオズエ谷がある。立岩山の西にオオズエ谷がある。

 市間山の西、大休ミの丘に「清水」(セイズイ)の地名があるが、これはツエ谷の入口付近の地名である。「ズイ」は、ツエ、ズエの変化形と考えられる。清水の西にタユウ谷、東にクラ谷がある。タユウはツエ、ツイの変化したものか。

 「清水」を「セイズイ」「セイスイ」と読む地名が他に2か所ある。

 清水(せいすい) [鹿児島県大島郡瀬戸内町]
 清水(せいずい) [愛媛県北宇和郡鬼北町]


 地名ツエは崩、潰、津江、杖などの字を当てている。クエは久江、崩、久重、久会、久恵などを当てる。


 全国のツエ地名

 千葉県岩井町 久枝(クエ)

 秋田県にかほ市仁賀保馬場字冬師山 
 戸谷森(トヤモリ)
 戸谷 トヤ 山の鞍部、草刈り場、山中で鳥をとる人の小屋、出屋敷、ツエの転で崩壊地形・浸食地形など(『秋田の山と三角点』HP)。

 福島県南会津町
 高杖原(タカツエハラ) 崩壊地名

 長野県飯田市大字上久堅
 樋ヶ沢(トイガサワ)
 トイ←ドエ(崩)の転で「崩壊地形」 をいう(語源辞典)。トイガサワとは、「崩壊地のある、川の流れている谷」 をいうか(旧上久堅村小字の意味・由来)。

 山梨県山梨県上野原市四方津
 杖突(ツエツキ)

 群馬県桐生市
 常木谷戸(ツネギガイト)
 常はツエ(潰)の転で崖崩れの意。木はキハ(際)の下略ではたの意。谷戸は集落(桐生市地名考)。

 和歌山県西牟婁郡白浜町(上露、下露)
 上露(こうづい)
 村名の「づい」は「とい」というのと同じく閣漏をいう。すなわち戸筧の意味である。『東鏡』に樋(とい)をよんでいる。『大鏡』にも「あわひに樋かけて」と見える(上露村:紀伊続風土記)。

 下露(しもつゆ)
 土地の人は俗に樋をトユともツユともいって音が通っている。村より川下にあるトユのある地を下露といったのが村名となったのだ(下露村:紀伊続風土記)。

 紀伊続風土記によれば、露の地名は、トユ、ツユ、ヅイ、ツイなどと呼んだようだ。

 和歌山県寒川村の糠崩(ヌカクエ)

 松山市東方の白潰(シラツユ)

 浜田市の潰(ツユ)

 下松市の大崩(オオヅエ)

 松山南部の明杖(アカツエ)

 大阪富田林の青崩(アオグエ)

 熊本県のクエ地名
 辰崩、蛇崩、小崩、大崩、白崩

 岡山県のツエ地名
 赤崩、大崩、大づえ、小ヅエ、ツエヌケ
 ズル、ヅリ、ヅエ、ジャレ、ツエ、退、摺、辷
 大スリ、大ヅリ
 大退、大退り、大退レ

 高知県のツエ
 ツエノハタ、ヲヲツエ、赤ツエ

 浜田 ツエ、ツエル 山が崩れる事

 奈良・十津川 ツエ、ツエル、クエ 崩れる

 岡山 ツエ、ツエル 山崩れ

 茨木・奈良・京都・和歌山・九州 クエル・ズエル・クユル 

 石見 クエル 崩れる・崩落する

 柳井・浜田・広島 ズエル・ツエル 崩れる

 ツエ地名は西日本(中部地方以西)に多い地名のようだ。

 次のような方言がある。
 コイェ 崩れる 奄美
 コイェルリ 崩れる 奄美
 ツィムィバラ 切腹 奄美
 トゥイパレン 取り払う 今帰仁


 アイヌ語の崩壊地名

 アイヌ語に tuy トイ・ツイ がある。

 tuy トィ・ツィ きれる・くずれる
 tuye トィエ・ツィエ きる
 tuypa トィパ・ツィパ きる(複数形)
  
 これらは、西中国山地地形方言、ツエ=山崩れ、ツバクラ=崩・崖に対応している。

 koy-tuye コイトイ(コイツエ) 波が・崩す(声問・コエトイ)
 tuye-pira トイピラ(ツエピラ) 潰・崖(豊平・トヨヒラ)
 o-tuye-pok オトイポク 川尻・潰る・山下(音江・オトエ)
 to-tuye トートイ(トーツイ) 沼・潰
 siri-tuye シリトイ(シリツイ) 山・潰
 hure-tuye フレトイ(フレツイ) 赤・潰

 アイヌ語では 「kina-tuye 草を・刈る」のように、「刈る」の意もある。


 西中国山地の「ツエ」「ズエ」地名

 ツエ谷(天狗石山)
 オオツエ谷(柏原山)
 ツエゲキ(春日山)
 ツエオクエキ(三段峡)
 ツエガ谷(半四郎山)
 大峯破=オオズエ(匹見川)
 オオズエ谷(高井山)
 
ツエ谷(市間山)
 オオズエ谷(市間山)
 オオズエ谷(立岩山)
 ツエゲキ(大峯山)
 オオズエ谷(燕岳)
 ツエガダニ(大将陣山)
 ツエガ谷(平家ヶ岳)
 ツエヌケ(平家ヶ岳)

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カシミール3Dデータ

総沿面距離15.9km
標高差736m

区間沿面距離

立岩ダム
↓ 6.4km
鱒溜ダム(ますだまり)
↓ 2.6km
明ヶ崎
↓ 3.5km
市間山
↓ 3.4km
立岩ダム
 

 
 
 
 
立岩山と大休ミの丘
打梨発電所
内黒山、向真入山、向山の峯 46番鉄塔付近から
彦八の頭 46番鉄塔付近から
林道から見た彦八の頭
立岩貯水池
  
登路(「カシミール3D」+「地理院地図」より)