山歩き

三段峡…蔵座林道…向山…バア堀
2018/6/24

柴木駐車場…取付…蔵座林道終点…作業道…最早山…向山…バア堀…作業道終点…トンネル出口…柴木

■最早山(モヤイヤマ)1064m:安芸太田町
■向山(ムカイヤマ)1065.8m:広島県山県郡安芸太田町大字柴木字段原(点名:柴木=しばき) (安芸太田町)

ガスが覆う柴木
柴木川第一発電所
長淵橋
姉妹滝
赤滝
皆実高校遭難碑
二谷落ち口
黒淵
黒淵荘
蛇杉橋
大淵
取付き地点
サイレン塔
岩壁の横を通る
ゴーロを通る
尾根のゴーロ
掘り下げたヌタ場
ヒノキ林に入る
アンテナ塔のある蔵座林道終点
ゼンザイエキの石積 ワサビ田跡か
蔵座林道
伐採木が覆う林道
分岐の重機
北へ上がる作業道に出る
最早山
バイケイソウが咲く水溜まり 畳ヶ平の北
向山
水が少し増えたバア堀
葉の上のオタマジャクシ
バア堀の卵塊
バア堀の中から北方向
バア堀北のイノシシの足跡
作業道のヌタ場の卵塊
ヌタ場のオタマジャクシ
作業道終点のヌタ場
クマの円座
尾根上の導水トンネルの溜桝に出る
柵で囲まれた溜桝
トンネル出口の建物に下りる
トンネル出口から発電所に下りる導水管
トンネル出口全景
大平山を望む
梶ノ木
トンネル出口方向
石堂山と市間山の峯
柴木の里
電気柵
5:40 柴木駐車場 気温17度 晴れ
 

6:45 黒淵
7:35 取付
9:20 蔵座林道終点(NTTアンテナ) 
10:15 導水トンネル(伐採木)
10:50 作業道
11:30 最早山 
12:00 向山
12:15 バア堀
12:35 バア堀
12:40 炭焼跡
12:55 作業道
13:20 作業道終点
14:10 導水トンネル溜桝
14:15 導水トンネル出口
15:45 柴木駐車場


 駐車場のネムノキの花芽が出ている。車道を渡り、左岸の道に入る。カキノキに青い小さい実が付いていた。山際にホタルブクロ、ムラサキシキブが咲く。山は濃いガスが蔽っている。左岸の歩道は草が蔽いつつある。寝間着の泊り客が長淵橋を歩いているのが見える。

 左岸の植林地を抜け、長淵橋に出る。姉妹滝は少し水量が多い。ヒキガエルが歩道でじっとしている。ヤマアジサイがたくさん咲いている。ミヤマハハソが咲く。トチノキの真っ黒い実が一つ歩道に落ちていた。五立にガスが残っている。

 遊歩道に大きいヒキガエルが多い。皆実高校遭難碑にはいつも新しい花が手向けられている。天狗岩に日が射している。ぐるの瀬を回る。二谷から落ちる水量が多い。黒淵入口手前でバイクが追い越して行った。早朝に三段峡を歩くと、よくバイクに合う。

ネムノキ
ホタルブクロ

 トリアシショウマ、イワガラミが咲く。シライトソウが残っていた。ハイイヌガヤに実が付いている。ウリノキも多い。獣が横切る。山側に入った所で、獣が振り返り、目が合う。小さいイノシシだった。アカメガシワが咲く。オオバアサガラが刈れた花を下げたまま。コアジサイは散っている。大淵で一休み、気温16度。

 コガクウツギの花が残る。トンネルを潜り、遊歩道の坂を上がると、取り付き地点。遊歩道から山を登るとすぐにサイレン塔がある。細い尾根の急坂を登る。眼下に遊歩道が見える。岩壁にぶつかり、東側の小尾根に渡る。登っていくと、大岩のゴーロに入る。岩上で一休み。ゴーロを抜けて、主尾根に出る。

 尾根上のゴーロを通る。クマが棲みそうな岩穴が多い。ホオノキの実が落ちていた。700mを越えると、ササ尾根になる。尾根を深く掘ったヌタ場があった。大岩を過ぎると、ヒノキ林に入る。植林地を登り、蔵座林道終点に出る。NTTの安芸太田柴木基地局のアンテナ塔が立っていた。気温19度。

ムラサキシキブ
ミヤマハハソ

 終点にはウツボグサがたくさん咲いていた。カキノキが一本あり、花が咲いていた。オカトラノオは咲き始め。コアジサイ、ウツギの花がまだ残っていた。林道にウツボグサが多い。トリアシショウマが咲く。ゼンザイエキの谷を過ぎた先に石積があった。

 ゼンザイエキ左谷の水源の林道上を倒れたスギが覆う。倒木かと思ったら、伐採木だった。林道に伐採された木が何本も続く。導水トンネルの東西に200mほど続いていた。植林地の奥に丸太が並べてあるのが見える。分岐に出ると、重機が置いてあった。そこから少し進むと車両の音が聞こえてきた。作業中のようだった。

 予定を変更して東側の作業道に出ることにした。植林地を登り、作業道を三つ横切り、北尾根へ延びる作業道に出た。日が照る山道は暑い。日陰で休み、氷で首筋を冷やす。アサギマダラが一匹飛んで来て、クロモジの葉に留まった。目印は無かった。

クロモジに留まるアサギマダラ
ヤマアジサイ
トリアシショウマ

 作業道の途中から最早山に向かって上がる。実を付けたユキザサが多い。10分ほどで最早山の大岩。岩の傍で体を冷やす。大岩から畳ヶ平の北へ進むと、谷の水源に水溜まりがあり、バイケイソウが咲いていたが、モリアオガエルの卵塊は見られなかった。

 西へ進み、向山へ上がる。南のヒノキ林を進む。コバノフユイチゴの花が多い。途中から西へ進み、バア堀へ出る。この一週間、雨が大分降ったが、思ったほど水量が増えていなかった。やはり水漏れがあるのかもしれない。一週間前より、枝に下がる卵の数は増えていた。

 沼底の葉の上にオタマジャクシが見える。モリアオガエルの卵は北側の水溜まりが一番多く、沼の中ほどにも少し、北端の水溜まりには三つほどある。水が涸れた所の上の枝にも生みつけていた。北端の縁にはイノシシが歩いた跡があった。

ウリノキ
バイケイソウ

 北端から周辺を回り、バア堀に戻る。バア堀から炭焼跡に進む。近くにバイイケイソウが咲いていた。ここもかつて水溜まりがあった所である。窪地を北へ進み、Uターンして、作業道に戻った。近くにヌタ場があり、水が溜まっていた。上部の枝にモリアオガエルの卵がくっつき、オタマジャクシがたくさん居た。

 ヤマボウシがたくさん花を付ける。花が落ちたウツボグサが多い。雨で坂の作業道は抉られていた。作業道終点のヌタ場の水溜まりにはモリアオガエルの卵塊は見られない。上部に枝が無いためか。終点から尾根を進む。大岩の西を回り、導水トンネルの尾根を進む。ユズリハが実を付ける。尾根上にササを敷き詰めた古い円座があった。

 ヌタ場を過ぎて、トンネルの東尾根を下る。尾根上の導水トンネル上にコンクリートの円形の溜桝が設置されていた。上から覗いても底は見えない。回りは柵で囲まれている。そこから尾根の木の階段を下る。5分ほどでトンネル出口の建物に出る。トンネルから出た導水管は下の発電所まで下っている。

アケボノソウ
イワニガナ

 出口のコンクリートに座り込んで首筋を冷やす。オトコヨウゾメが実を付けていた。トンネル出口からオオダキの谷の水源を回り、導水管傍の山道に出る。大平山の峯への展望がある。山腹にある梶ノ木の民家が見える。峠の下まで開かれた所がある。

 ヒヨドリバナはツボミ。導水管の先に鍋山の峯と、市間山の峯が見える。分岐を林の中の山道入るが、薮になったので、導水管傍の道に出る。ムラサキシキブはまだツボミ。ダンコウバイの若葉が紅くなっている。ミヤマガマズミの青い実。

 ジグザグ道に入る。シワギの里がだんだんと大きくなってくる。ホオノキの実が落ちている。直下に発電所の建物が近づく。電気柵を外し、建物の裏に下りる。川の水鳥の子がヨシの陰に隠れる。日が照る道は暑い。首を冷やしながら駐車場に帰着。 
 
 

ヒキガエル
カキノキ
イワガラミ
シライトソウ
ハイイヌガヤ
ヤマアジサイ
ヤマアジサイ
コガクウツギ
カキノキ
オカトラノオ
コアジサイ
ウツギ
ウツボグサ
クロモジ
クマイチゴ
コナスビ
ユキザサ
ギンリョウソウ
ヤマボウシ
ユズリハ
オトコヨウゾメ
ダンコウバイ
ミヤマガマズミ
ヒヨドリバナ


■地名考

 「ワル谷本谷と支谷のマツオ谷にはさまれた尾根にある湿地をバア堀という。昔は水が多く池沼となっておりサルサガ池とも呼んでいた。バア堀の名は広く知られていて、柴木、板ヶ谷、松原でも聞いた。伝承めいたものもあるらしい。バア堀の水が無くなったのは、直下を通っている柴木発電所の導水トンネルのためだと、板ヶ谷の村人は話していた」(「西中国山地」桑原良敏)。

 モリアオガエルの呼称

 アオガエル 体色

 アマガエル アマガエルとの混称

 アワガエル 木の枝に白い泡状の大きな卵塊を産み 付ける

 ヒラガエル 頭を伏せた姿でみられる

 ベッシャガエル 頭を伏せた姿でみられる


 平伏沼(ヘブスヌマ 福島県双葉郡川内村)

 『平伏沼(ヘブスヌマ)は、海抜842mの平伏山の山頂にあり、面積12aの小さな沼で、沼の周囲は広大な落葉広葉樹に囲まれモリアオ蛙の生息を支えています。モリアオガエルの繁殖地として国の天然記念物の指定を受けているのは、全国で岩手県の八幡平大場沼とこの平伏沼の2ヶ所です』(川内村HP)。

 ヘブス(平伏沼)は、「ヒレフス」が訛ったものだろうか。地元では「ヒブス沼」と呼んでいる。頭を伏せた姿をあらわしたものか、モリアオガエルに由来があるのかもしれない。

 出雲弁の泡


 泡は出雲弁で「アバ aba」である(『出雲弁の泉』)。

 出雲市斐川町では、泡は「ababa」である(『消滅危機方言の調査・保存のための総合的研究出雲方言調査報告書』国立国語研究所)。

 バア堀はモリアオガエルルの堀と考えれば、次のように転訛したと思われる。

 アマホリ アバホリ
 アワホリ アバホリ バーホリ バア堀

 広島弁 M → B 転訛

 気味(キミ) キビ
 傾く(カタムク) カタブク
 煙る(ケムル) ケブル
 寒い(サムイ) サブイ
 眩い(マブシイ) ババイ

 アマホリ アバホリ バア堀

 魔の池

 恐羅漢山の東に砥石川山があり、モリアオガエルが卵を生む「魔の池」(マノイケ)がある。次のように転訛したか。

 アマノイケ マノイケ 魔の池

 とごうちの民話 第9話:魔の池(横川)

 横川(よこごう)の砥石郷山(といしごうやま)の頂上近くに池があります。この池に杓子(しゃくし)を投げるとゴーと波立ち、杓子は錐(きり)もみになって吸い込まれ、150日後に石見益田(いわみますだ)の、ある家の庭の池に浮かぶといわれていました。またこの池に小便をすると、池の主の大蛇が現れて、取って食われるともいわれていました。

 昔、近くの人が茅(かや)を刈りに登りました。弁当を食べて仕事にかかろうというとき、その中の一人の若者が、「やれやれ、毎年毎年茅刈りに来にゃならんか。つらいことじゃ。大蛇がおりゃあ、出て食うてしもうてくれえや」と言いながら小便をしました。止める人もありましたが、多くは笑って見ていました。  

 ところが、小便の終わらぬうちに、ゴーゴーという響きとともに水柱が立ち、大きな赤い舌をぺろつかせて大蛇が現れました。  一同は一目散に逃げました。腰をぬかして歩けぬ者は、まくれ転びました。腰の鎌でけがをする者あり、ようよう帰った者も震えが止まらず、床についたまま、患って死んだということです。その後も、茅刈りに行った人が、ブナの幹ほどの大蛇が笹を分けて通るのを見て帰り、病気になったこともありました。  

 いつのころか、日照りが続き、田畑の作物が枯れそうになった年、ある宗教の信者数十名がこの山に登って、笛や太鼓や手打鉦(ちょうちがね)で、「ピーピー、ドンドン、チャンチャン」とはやし、雨乞いをしました。3日目の午後、一天にわかにかき曇り、真っ暗になって、盆をくつがえすような勢いで雨が降りはじめました。ひどい豪雨に、度肝を抜かれた雨乞いの人たちは、まくれるように山を下り、 ずぶ濡れになって帰って行きました。それからは順調に雨が降り、飢饉から救われたということです。
 (以上『戸河内町公民館民話研究部』から)

 モリアオガエルは「雨乞」と関係あるのではないか。板ヶ谷では虫送りが行われている。虫送り、雨乞などの神事は県内では各所で行われていた。


 カエルの総称 ヒキ、ビキ、ビッキ

 『図1は「かえる(蛙)の総称」の地図である。方言が非常に豊富だが、詳しく見ると、日本の中央部では「カエル」類が、東北や紀伊半島南部、九州といった周辺部では「ビッキ」類が使われている。後述するように、離れた地点で同じ語形が使われるという現象は、他にも多く見られ』る(『方言の多様性から見る日本語の将来 ─標準語ばかりでよいのか─ 』木部暢子 下図参照)。


 『奄美大島のことば』柴田武編
 biki 南部 
 bikija 北部
 ビキ系 奄美大島、喜界島
 アウタ系 徳之島、先島
 アタビキ系 沖縄、与論島
 ガーク系 沖永良部島

 琉球語と内地方言との比較
 アタピチャー、アタビキャー 琉球
 ビキ、ビッキャ 奄美大島
 ビッキ、ビッキャ 名瀬町
 ビーチャー 喜界島
 ビキ 九州、伊予青島、熊野川流域の奈良、三重、和歌山、
 ビッキ 東北(福島以外)、宇都宮、越後、近江
 ビク 越中五ヶ山
 ヒキク 信州下伊那
 ヒキ、ヒキット、ヒキンド 土佐
 ヒキ 山陽道

 琉球方言と九州諸方言との比較(IV)野原三義
 びきた 雨蛙 『筑紫方言』
 蝦蟆(かはづ) かへる 九州 ほとけびき、あまびき。唐津は、あをびき。『物類称呼』
 ビキ 蛙 ゴンザ『漂流民』
 ヒキ 蛙 対島北
 びき 蛙 『博多方』
 びき、びっき カヘル 『佐賀方』
 ビキ 蛙 球磨山村語彙
 びき かえる 『宮崎方』
 ドンコビッ 蛙 『鹿児島』
 ビキ 蛙 宝島
 biki 『薩南諸島』
 kutt∫obiki  蛙 宮之浦(『薩南諸島』)


 アイヌ語のカエル

 
アイヌ語 pikki は和語の借用と言われているが、方言からみると、カエルの語源は「ヒキ」「ビキ」「ピッキ」にあるように思われる。万葉集に「ヒキカヘル」の字は無いが、800番の多尓具久(タニグク)、971番の谷潜(タニグク)がある。平安時代末期にヒキ、ヒキカヘルの字がある。

 エゾアカガエル
 terke-p テルケプ とぶ・者
 oowat オオワッ(鳴き声)
 oowak オオワク(鳴き声)
 owat オワッ(鳴き声)
 oat オアッ(鳴き声)
 pikki ピッキ <日本語

 アマガエル
 ketkechip ケッケチプ(鳴き声)
 kururup クルルプ(鳴き声)
 kupka-ruyke-p クプカルイケプ 鍬・とぐ・者
 kutka-ruyke-p クッカルイケプ 鍬・とぐ・者

 オタマジャクシ
 e-kasup-ne エカスプネ 頭・杓子・のよう
 ekas-rup-po エカシルッポ 過大な・頭・頭

 蛙の卵塊
 oowat-cipor オオワッチポル 蛙・卵塊
 opompaki-homa オポンパキホマ 蛙・卵塊

 卵塊は火傷の薬にする。

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カシミール3Dデータ

総沿面距離18.5km
標高差739m

区間沿面距離
柴木駐車場
↓ 5.8km
三段峡取付
↓ 5.7km
最早山
↓ 3.1km
作業道終点
↓ 1.4km
導水トンネル出口
↓ 2.5km
柴木

 

 
 
「かえる(蛙)の総称」の分布地図

日本の中央部では「カエル」類が、東北や紀伊半島南部、九州といった周辺部では「ビッキ」類が使われている

本草和名(ほんぞうわみょう) 深根輔仁が延喜年間(901年 - 923年)に編纂
(寛政6年古写本)
95コマ
 蝦蟇(ガマ) 蟾蜍(センジョ)
96コマ
 和名比支(ヒキ) 加倍留(カヘル)
色葉字類抄(いろはじるいしょう)平安時代末期に成立した古辞書(伊呂波字類抄異本 大和文華館から)
310コマ 下95
 「ヒキ」 「ヒキカヘル」と呼ぶ
 
バア堀
バア堀
バア堀
大平山
梶ノ木
登路(「カシミール3D」+「地理院地図」より)