山歩き

中津谷…沼の原…沼長トロ山…角兵衛
2015/7/18

中津谷…不栗付橋…鉄塔道…大向林道…銅山林道…沼の原…沼長トロ山…お関の墓…角兵衛…長浜…中津谷

■沼長トロ山(ヌマナガトロヤマ)1014.4m:広島県佐伯郡吉和村字吉和西(点の記) (廿日市市)
■角兵衛(カクベエ)991m:広島県廿日市市吉和字吉和西(点の記)
■小滝(コダキ)857m:広島県佐伯郡吉和村字中津谷畑(点の記) (廿日市市)

488号線通行止区間 中津谷
不栗付橋
鉄塔道入口
手前42番鉄塔 中津谷川の向こうの41番鉄塔
伐採地から見た女鹿平山
小滝三角点 857m
44番鉄塔から見た冠山
山道の下を作業道が通る 44番鉄塔北
山道から作業道へ 45番鉄塔北
46番鉄塔から北へ送電線が延びる
作業道水溜りのオタマ
植林地の作業道を進む
大向林道から48番鉄塔への入口
角兵衛の墓
銅山林道入口
沼の原
沼の原
沼長トロ山
お関の墓
尾根を通る林道に入る
草薮の林道を進む
スギの皮剥ぎ
角兵衛三角点 991m
長浜の川原
オモ川の釣り人 ルアー 出合橋上流
トロン谷落口 以前ここに半分橋が架かっていた
以前架かっていたトロン谷落口対岸の橋 070519
6:45 中津谷 曇り後晴れ 気温20度
 

7:00 不栗付橋
8:00 857三角点=小滝
8:35 44番鉄塔
10:00 大向林道
10:15 銅山林道
10:25 沼の原分岐
11:25 沼長トロ山
11:55 オセキガ峠
12:50 991三角点=角兵衛
13:35 長浜
14:00 出合橋
14:50 トロン谷落口
15:20 中津谷

 
 中津谷から488号線を進む。488号線は島根県側が通行止めになっている。不栗付橋を渡ると送電線鉄塔への入口。植林地を登ると、15分ほどで42番鉄塔。送電線が中津谷川を越えて41番鉄塔に延びている。

 送電線はさらに延びて、吉和川を越えた山の上に鉄塔が見える。そこから少し進むと770ピークの伐採地に出る。吉和の民家が見え、北側には植林地の先に43、44番鉄塔が続いている。東側には雲が掛かる女鹿平山が見える。

 次の43番鉄塔は女鹿平山の頭が覗くが、植林地に囲まれている。そこから山道を西へ進む。10分ほどで857三角点。点名は「小滝」。字名は「畑」。

山道に落ちたヤドリギ
オカトラノオ

 尾根の山道を北へ進む。昨日の台風でヤドリギが落ちていた。小滝から25分ほどで44番鉄塔。ここは冠山への展望地になっている。雲の掛かる冠山の左手にクルソン岩がはっきり見える。晴れていればウシロカムリ、広高山も見えそうである。

 44番鉄塔から山道を進むと、下に作業道が通っていた。45番鉄塔は展望がない。北へ下ると山道は作業道で消失。作業道を進み46番鉄塔に上がる。北側へ鉄塔が林立しているのが見える。南側から山道が入っているが、46番鉄塔で消失している。

 作業道へ下りて北へ進むが、この作業道は東へ下りていた。引き返して、西側の作業道に回りこむ。アサギマダラがヒヨドリバナに留っていた。羽を見たがマークはなかった。作業道の水溜りにオタマジャクシが一杯いた。

ヒヨドリバナのアサギマダラ
アサクラザンショウ

 途中から山道に入り47番鉄塔に出る。山道から作業道に出て、薮を登り48番鉄塔に出た。山道は東側を通っていた。そこから西側の作業道を通り、大向林道に出た。不栗付橋から3時間ほどであった。

 オカトラノオの咲く大向林道をを進む。15分ほどで角兵衛の墓。オオバギボウシが咲いている。送電線の下の銅山林道を下る。林道入口に「平成13年度民有林林道開設事業 林道銅山線 吉和村」とある。

 10分ほどで沼の原分岐。ヒノ谷水源の平坦地の小川に入る。この谷は産卵期にアマゴがのぼる川である。鬱蒼とした植林地の沼の原は、気温19度でひんやりしている。ヤマアジサイが咲く谷を進む。

ヤマジノホトトギス
ダンコウバイ

 沼の原の途中から、沼長トロ山から下りる小谷に入る。沼の原分岐から1時間ほどで山頂。少し休憩して、植林地の尾根を西へ下る。小道が入る登山口に下り、少し進んで大向林道の登山口に出た。山頂から30分ほどで、お関の墓のあるオセキガ峠。

 この辺り、「吉和西」の造林地になっている。以前はなかった「おせきの墓」の石碑が立っている。お茶や酒が供えられ、お参りする人がいるようだ。

 お関の墓から尾根に入る林道に進む。林道はすぐに分岐し、左へ進む。次の分岐を右へ進む。送電線が南東へ延びている。林道はU字に曲がり、南の尾根へ延びている。この林道は深い草薮と化している。

 クマによるものか、スギの皮剥ぎの跡が見られる。草薮を分けて進み、峠から1時間ほどで角兵衛三角点に出た。近くの薮にマムシの子が潜んでいた。

マムシの子
クロモジ
オオバヤシャブシ

 角兵衛から西の小尾根を下る。点々とブナがある。出先の先端は岩尾根になっている。40分ほどで長浜に下りた。尾根の先端は小石の川原になっている。冷水で顔を洗って国道を進む。川中の岩にオオバギボウシが咲いていた。

 川にルアーによる釣り人が入っていた。20分ほどで出合橋。トチノキが実を付けている。オモ川と小川の合流点下流は白く泡立っていた。いつもより大分水量が多い。キハダの青い実が葉ごと落ちていた。

 トロン谷落口に下りてみた。落口上流は小石の浅瀬で、下流は岩の急流になっている。川の中ほどまであった鉄の橋は流されてなくなっていた。国道へ上がる踏み跡は上の方で薮になっていた。

 不栗付橋の下に白いオオバギボウシが咲いている。ミツバウツギが実を付ける。道路沿いにウバユリが花芽を付け、ヒメコウゾが赤い実を付けていた。

キツリフネ
オオバギボウシ
ノリウツギ
ヨツバヒヨドリ
トチの実
落下したキハダの青い実
岩場のオオバギボウシ 中津谷川
ウバユリ
ヒメコウゾ

地名考


●沼長トロ山(ヌマナガトロヤマ)
 nokan-to-oro 
 ノカ・ト・ロ 
 小・沼・の所

 沼長トロは沼+長トロの合成地名と思われる。

 『佐伯郡廿ヶ村郷邑記』(1806年)の「杖立御境」の項に次のようにある。

 「石州の往来棒杭あり。石州比喜美村浜田領の境なり。此往来深山にて常に蛭蜂沼有り、難所也。郷中より□也。佐井の塔村佐西郡(佐伯郡)山腹に有沼地其大サ如湖。廻其沼通于石見州。或は施竹木於沼上て人馬往来。自吉和村赴石州之路有り。大山、日米加比良山、往此山路より通り、私記女鹿平山とも書」

 石州街道はオオマチ谷筋を通っていた。オモ川を通る車道は昭和13年頃できたものである。吉和と石州の往来はオセキガ峠を越えた。角兵衛の墓はヒノ谷とオオマチ谷の水源に位置する。現在もこの付近は沼のような湿地を形成している。

 ヌカ・ノカは小さいを意味する。

 千葉県 ヌガアメ 細かい雨=糠雨
 茨木県 ヌガ=こまかい
 奄美大島 ノカアムィ=小雨
 青森県 ヌカゴ ムカゴ 零余子
 糠星・糠穂・糠蝿・糠蚊

 アイヌ語にも同様の意がある。

 aye-nokan アイ・ノカン  とげ・小さい 
 numi-nokan ヌミ・ノカン 粒・小さい 
 nokan-nay ノカン・ナイ 小・川
 nukan-nay ヌカン・ナイ 小石・川=糠内

 西中国山地に以下の地名がある。

 ナガエキ(盛太ヶ岳南アシ谷水源の枝谷)
 ナガエキ(大将陣山西立河内川水源の枝谷)
 カヤノガ峠(立岩貯水池)

 


●オセキガ峠(セキガ峠・お関の墓) 
 

 周辺地名

 押ヶ峠 
 御境 

 安蔵寺山周辺の地名

 狼岩 
 オオゼリ 
 香仙原 

 鈴ノ大谷山周辺の地名

 押ヶ峠・オシガ谷
 馬ノ背 
 ヨコセ谷 
 セキトウエキ 

 聖山周辺の地名

 オシガエキ
 ホテのタキ 

 hotenao ホテナオ 小狼の神が自ら歌った謡
   (アイヌ神謡集 hote-inaw ホテナウ 狼・神)


●トロン谷 
 

 トロン谷落口は、落口上流が小石の浅瀬、下流は岩の急流である。深瀬の瀞ではない。トロン谷水源には湿地のバイケソウ群落がある。

 神奈川 ドロンドロン=泥だらけ
 徳之島 ドル=泥
 静岡県 ドンボ=沼
 石見・浜田・出雲 ドベ=泥
 出雲 ドンド 淵 
 ドブ 下水溝
 ドンブチ 水溜り)
 ドベチャ=泥水

 西中国山地近くの地名
 沼長トロ
 頓原(トンバラ・吉和)

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カシミール3Dデータ

総沿面距離17.0km
標高差396m

区間沿面距離

中津谷
↓ 6.2km
大向林道
↓ 2.4km
沼長トロ山
↓ 0.9km
オセキガ峠
↓ 1.5km
角兵衛三角点
↓ 6.0km
中津谷
 

沼長トロ山周辺の黒ボク土(Ysi−1・Ysi−2)
(国土交通省土地分類基本調査土壌図+カシミール3D 赤線は登路)
 
44番鉄塔から
      クルソン岩                                                                    冠山
  
登路(「カシミール3D」+「地理院地図」より)