山歩き

天狗石山…三ツ石山…マブ…早水越
2010/11/6

深山…リュウズ滝…オクビ山北鞍部…天狗石山…三ツ石山…論中…畑平…林道…マブ…カラスギ山…畳…イデガ谷…早水越…スグミチ…林道…深山

■天狗石山(テングイシヤマ)1191.8m:広島県山県郡芸北町大字大暮字天狗石(点の記・天狗山) 北広島町
■三ツ石山(ミツイシヤマ)1163.4m:島根県那賀郡旭町大字市木字畑平(点の記・三石山) 浜田市
■カラスギ山(カラスギヤマ)908.2m:島根県那賀郡旭町大字市木字唐杉山(点の記・唐杉山) 浜田市

佐々木新道と天狗山荘
尾根に上がる佐々木新道
リュウズ谷
リュウズ谷の滝
オクビ山北の鞍部に上がる谷
右岸の薮の山道
登山道合流点付近
オクビ山北の鞍部
大岩から見下ろす天狗石山南のブナ林
天狗石山の巨石
天狗石山山頂
三ツ石山 同形山 阿佐山
NTT無線中継所の横を進み三ツ石山へ
木無原 アシウスギの密林を通る
三ツ石山
論中付近
畑平付近
畑平下流
林道に出た
林道から西への展望 左端が一兵衛山
マブ
カラスギ山から北への展望
カラスギ山からリフト下を進む
リフトとゲレンデに挟まれたトチバシ谷水源の畳付近のスギ林
防護ネットの右側にイデガ谷が上がる
早水越に上がる植林地の小谷
早水越 登山道
スグミチの谷と大暮川合流点
6:50 深山 晴れ 気温1度
 
タチツボスミレ

7:00 登山口
7:35 リュウズ滝
8:35 オクビ山北鞍部
9:00 天狗石山
9:40 三ツ石山
11:40 林道
12:10 マブ
12:20 カラスギ山
13:45 早水越
14:30 スグミチ落口
15:10 深山


 深山大橋付近を出発。気温は氷点下近くまで下がった。天狗石山に上がる林道を進む。天狗山荘の横から佐々木新道に入る。車道は天狗橋を渡って東に上がっている。登山道は途中から尾根に向って上がっていた。リュウズ谷右岸の山道は茂っていた。少し引き返して谷へ下りた。

 「深山より歩いて登る場合は、天狗山荘の前よりリュウズ谷の左谷をホン峠へ向って登り、オクビ山の北の鞍部より天狗石山の南尾根を登る切開き径を利用するとよい。この径は天狗山荘主の佐々木氏が切り開いたものである」(「西中国山地」)。

 紅葉の谷を進むと、ミズタビラコが季節外れの花を咲かせていた。分岐から右谷のリュウズ谷に入ると、100mほどの所に小滝がある。リュウズ滝であろうか。滝の上流は山が狭まり小ゴルジュとなっている。

ミズタビラコ

 朝陽に輝く紅葉の林を抜け、リュウズ谷の左谷を渡り、右岸の茂った山道を進む。振り返ると阿佐山が見える。薮の山道から谷の水源に入ると、テープの続く登山道に出る。ブナと植林地の道を進むと、オクビ山東の尾根から下りる道と合流した。合流点にブナがある。

 合流点から間もなくオクビ山北の鞍部。佐々木新道の道標がある。鞍部は大きいブナの林となっている。鞍部からブナ林を北へ登る。黄葉したクロモジが多くなる。この辺りは植生図ではクロモジ−ブナ群集である。途中の大岩に上がり、眼下のブナ林を見渡した。

 大岩からすぐ上に巨岩が見える。天狗石山である。西の岩壁沿いに上がり山頂に出た。東側に植林地の木無原と三ツ石山が見える。西側には一兵衛山、カブリ山。少し休憩して東のブナ林を下る。三ツ石山の右手に同形山、阿佐山が見えてくる。アンテナ塔の横を通り登っていくと、焼山ソネへ続く電線道の分岐があり、そのすぐ先に大石谷へ下りる林道の入口がある。

三ツ石山のブナ

 ススキの道を進み、展望地に出た。前方に毛無山から阿佐山の峯が続く。ケーブルテレビの小アンテナの横を通り1145ピークに入る辺りからアシウスギの密林となる。湿地を過ぎて密林が明るくなってくると岩が散在している所がある。そこから100mほどで三ツ石山。山頂のブナが黄色に輝いていた。

 三ツ石山から北の大石谷水源を下った。薮を下って行くとスギの植林地との境界に出た。論中(ロウチュウ)付近はゴーロの薮となっている。下って行くとチドリノキの谷であった。畑平は右岸が小崖となっており、山側に岩がある。一面カツラの黄色の葉で埋まる谷を過ぎると林道に出た。

カツラ 畑平下流

 紅葉の林道を進む。アキノキリンソウ、アキチョウジ、イヌトウバナ、ヒヨドリバナがまだ残っている。開けたところから一兵衛山、雲月山が見える。30分ほどで西から上がるサイジョウガエキ鞍部のマブに出た。そこからカラスギ山に上がった。大きいブナが残っている。リフトの横のササ薮の中に三角点があった。北側に展望が広がっている。

 カラスギ山の東側に出ると、丸瀬山から同形山への展望がある。リフトの下を下った。リフト駅を通り、トチバシ谷の水源の畳に向って上がった。谷の水源はリフトとゲレンデに挟まれて、辛うじてスギ林の下に残っていた。畳付近からゲレンデを横切り、ゲレンデとスギ林の間にあるイデガ谷の防護ネットに沿って登った。

 イデガ谷がゲレンデ上部で消失した所で、早水越に上がる小谷に入った。植林地の谷に僅かに踏み跡が残っている。30分ほどで尾根の登山道に出た。ゴーロと薮のスグミチの急な谷を下る。途中に石積、炭焼き跡があった。長い植林地を下り早水越から45分ほどで大暮川水源に出た。右岸にテープの続く切り開き道がある。谷の紅葉を眺めならが左岸に渡り林道に出た。

ヒヨドリバナ
ヤマニガナ
コマユミ
シロモジ
ダンコウバイ
コシアブラ
チドリノキ
ウリハダカエデ
オオイタヤメイゲツ
コハウチワカエデ
クロモジ
マムシグサ
シナノキ


地名考

 日本の縄文語(日本列島共通語)を受け継いだのは、アイヌ語系民族であった。

 アイヌ語によって西日本の古い地名が合理的に説明できることは、その一つの証でもある。

 西中国山地にアイヌ語地名が存在することは、その地名は縄文時代から呼ばれていた可能性のある地名と思われ、またアイヌ語地名が存在することは、その地名の周辺に縄文遺跡が存在することを予見している。

 丸瀬山・阿佐山周辺には旧石器・縄文から近世に続く遺跡がある。北側から内ヶ原城跡、森迫城跡、米屋山遺跡、堀田上遺跡、今佐屋山遺跡、郷路橋遺跡である。縄文時代に成立した地名は現代に続いていると考えられる。


●天狗石山(テングイシヤマ) 
 e-tu-un-kusi
 エ・ト・ウン・クシ 
 頭が・山に・入り込んでいる・所

 to-n-kushi の転訛。


●来尾坊主(キタオボウズ・天狗石山別名) 
 kitay-o-pa-us-tu
 キタイ・オ・パ・ウシ・ツ 
 山の頂・そこに・頭・ある・峯

 kita-o-pa-u-tu の転訛。

 「三ツ石より廿七・八町西南にあたり、字天狗石といって高さ一丈七・八尺中の高きところ二丈あり、まわり四間四方もこれある直岩これあり」とあり、天狗石という巨岩が山名となったことがわかる(『来尾村誌』「西中国山地」)。

 山頂の巨岩は巨人の頭である。山の中に埋まる巨人の頭が天狗石である。


●三ツ石山(ミツイシヤマ) 
 pit-us-i 
 ピツ・ウシ・イ 
 岩・ある・所

 pitu-ishi の転訛。

 山頂の西に岩が散在している。ミツイシ山は「三つの岩」の意でなく、山頂付近の岩のことと思われる。


●リュウズ谷 
 ruy-sup-i
 ルイ・スプ・イ 
 強い・流れの・所

 rui-su の転訛。

●タキガ谷(リュウズ谷別名) 
 tak-ika-pet 
 タク・イカ・ペッ 
 岩を・越える・沢

 rui-su の転訛。
 tak-ika の転訛。

 「リュウズ谷はタキガ谷とも呼んでいる。龍頭は滝の方言である」(「西中国山地」)。

 「龍頭」はリュウズと呼ぶ。川を龍に例え、龍の頭が滝のことであろうか。

 アイヌの人々は川は下るものでなく、山に上がって行くものと考えていた。川は滝を登っていくのである。アイヌ語地名に以下がある。

 nupuri-ko-yan-pet
 ヌプリ・コ・ヤン・ペッ
 山・に向って・上がる・川


●オクビ山 
 pon-kup 
 ポン・クプ 
 小さい・瘤山

 o-kup の転訛。

 オクビ山は天狗石山から下りる尾根の瘤のように見える。

●カラスギ山
 inkar-tuki
 インカラ・ツキ
 眺望する・山

 at-kar-tuki
 アッ・カラ・ツキ
 楡皮を・取る・山

 kara-tuki の転訛。

 「902メートル峯を、早水ではカラスギ山、大石谷ではカラツギ山と聞いた。ス→ツと転訛したものと思われる」(「西中国山地」)。

 カラスギ山は北面に眺望がある。物見をする山であったか。あるいは早水川にオヒョウニレが多い。阿佐山周辺にオヒョウが多いことから、阿佐山はアイヌ語の「アッサム」(楡傍)が転訛したと考えられるが、カラスギ山もオヒョウに由来があるとも考えられる。

●マブ
 mo-at-p
 モ・アッ・プ
 小さい方の・楡の・所

 mo-a-pu の転訛。

 「三つ石山の北尾根の鞍部をマブという。マブは横穴、坑道を意味する方言である。これはタタミ牧場水源のイデガ谷の水をこの鞍部よりサイジョウガエキの方へ流していた時代があり、鞍部を越す部分に土管を埋めたか、横穴を掘ったかしたらしい。マブの地名は大石谷では通じるが、早水の村人は知らない」(「西中国山地」)。

 マブが縄文期からの呼び名であれば、マブはオヒョウのことと思われる。


●スグミチ
 tuk-pechi
 ツク・ペチ
 山・沢

 tuku-pechi の転訛。


●木無原(キナイハラ)
 kenas-para
 ケナシ・パラ
 林・広い

 kenashi-para の転訛。

 「毛無山のすぐ北の三つ石山に、木無原がある。毛無と木無は普通同義語とされているがこの地方の人達はこれを使いわけていたのだろうか。いずれにしろケナシという名の山は地図で調べたかぎり、四国、九州にはなく、この山が本州の最西端の山であるようだ」(「西中国山地」)。

 木無原は現在スギの密林となっているが、植生図を見ると元々ブナ・ミズナラの山であったと考えられる。ブナ・ミズナラ・スギなどの密林が広がっていたと思われる。


●論中(ロウチュウ)
 ironne-as-us-i
 イロンネ・アシ・ウシ・イ
 茂った・潅木・多い・所

 ron-shi-u の転訛。

 論中付近は現在ゴーロと潅木になっている。


●畑平(ハタヒラ)
 pet-pira
 ペツ・ピラ
 川・崖

 畑平付近は右岸が小崖になっている。縄文語「pet」(ベツ)は「ハタ」「マツ」などに転訛したと考えられる。「タナバタ」は縄文語「tanne-pet」(タンネ・ペツ)で「長い・川」の意と思われる。

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カシミール3Dデータ

アキノキリンソウ

総沿面距離14.2km
標高差436m

区間沿面距離
深山
↓ 5.0km
三ツ石山
↓ 3.5km
マブ
↓ 2.7km
早水越
↓ 3.0km
深山
  

 
 
 
植生図(カシミール3D+第2回植生調査植生図・昭和54年)
朝のリュウズ谷
天狗石山から
                         木無原               三石山                        同形山
カラスギ山から見た丸瀬山と同形山
登路(薄茶は900m超 茶は1000m超)  「カシミール3D」+「国土地理院『ウォッちず』12500」より