山歩き

タテイワ谷…ドンデ谷…日の平山…立岩山
2009/5/16

186号線…タテイワ谷…左谷…ドンデ谷…日の平山…タケノオク谷鞍部…立岩谷…キハダ群生地…右谷…タテイワ谷…186号線

■日の平山(ヒノヒラヤマ)1091.4m:広島県佐伯郡吉和村字吉和東(点の記) 廿日市市
■立岩山(タテイワヤマ)1135.0m:広島県山県郡筒賀村大字上筒賀字立岩山(点の記) 安芸太田町

筒賀川のアオダモ
左谷入口
小滝が続く
連続する小滝
倒木の先が大きい滝
滝上の谷の分岐
スギ林の倒木谷
崩壊したスギ林
日の平山
立岩観音
日の平山
立岩貯水池と十方山
山頂付近のアオダモ
キハダ群生地
タケノオク谷鞍部へ上がる谷
サルメンエビネ
ツリバナ
5:20 186号線駐車地を出発 曇り 気温12度
 
コガクウツギ

5:25 立岩谷入口
6:10 左谷分れ
7:30 ドンデ谷
9:15 日の平山
10:00 タケノオク谷鞍部
10:20 立岩山
11:20 鞍部分れ
12:30 左谷分れ
12:50 出発点  


 
 薄暗い186号線の駐車地を出発。筒賀川沿いにアオダモが咲いていた。立岩谷に入ると樹林の中はまだ暗い。ミズキ、トチノキ、アオダモが花を付けている。

 タテイワ谷の左谷へ下りると、入口は小滝となっている。左岸から越える。さらに小滝を越えて進む。アオダモ、ミズキの花が咲く。連続する小滝を進む。アオダモが点々と花を付けている。

 倒木を越えると大きい滝がある。周辺のアオダモが花を付ける。左岸を巻いて滝上に出た。滝上で谷はドンデ谷と左谷に分岐する。どちらも小滝となって落ちている。左谷へ上がり、ドンデ谷の滝上へ下りた。

アオダモ

 その辺りから谷は平坦となる。大きいスギの分岐を、小滝を越えて右へ進む。この辺りからスギ林となる。谷はスギの倒木で埋まる。小滝を越えたところで、日の平山の尾根に取り付く。

 ブナが少し残るスギ林を登る。所々斜面が崩壊し、スギの倒木で埋まっている。スギ林の中でオトコヨウゾメが咲き、イタヤカエデの小木が葉を伸ばす。スギ林と薮を抜けて山頂に出た。十方山山頂は雲が掛かる。

オオバアサガラ

 一休みして登山道を進む。オトコヨウゾメが多い。ウリハダカデが花をぶら下げる。笹が開花していた。コバノガマズミの花が残る。立岩山に近づくとドウダンツツジが咲く。立岩観音を通り、イワカガミの残る尾根を進む。

 日の平山の先に女鹿平山が見えるが、その先の冠山は雲で見えない。十方山山頂は雲が掛かる。尾根沿いにアオダモが咲いていた。立岩山周辺もアオダモが咲いていた。ヤマグルマが花を付ける。市間山の先は雲で霞む。

ベニドウダン

 立岩山山頂周辺はアオダモが多いところである。山頂東の鞍部へ下りた。鞍部から東はキハダの群生地となっている。右谷水源のスギ林を下る。大きいオニグルミがあった。村人の参道であったタケノオク谷鞍部へ上がる谷の分岐に出た。そこから少し下ると壊れた橋に出る。その辺りから右岸に踏み跡が残っている。右谷右岸に続く参道である。

 高い右岸から見る限り、アオダモがなかった。アオダモは左谷に多いようであった。参道は下の小滝の手前で終わり、谷へ降りて滝上に出て、左岸を下る。谷を下っていくと右岸に踏み跡がある。立岩山登山道を下る。アサガラが花を付け始め、コガクウツギが咲く。ほどなく立岩谷入口に出た。

スノキ
イワカガミ
ヤマグルマ



地名考

 日本の縄文語(日本列島共通語)を受け継いだのは、アイヌ語系民族であった。

 アイヌ語によって西日本の古い地名が合理的に説明できることは、その一つの証でもある。

 西中国山地にアイヌ語地名が存在することは、その地名は縄文時代から呼ばれていた可能性のある地名と思われ、またアイヌ語地名が存在することは、その地名の周辺に縄文遺跡が存在することを予見している。


●タテイワ谷
 u-at-te-iwani-us-pet
 ウ・アッ・テ・イワニ・ウシ・ペッ
 お互いを・群がら・せる・アオダモ・たくさんある・川

 uatte-iwani-us-pet
 ウアッテ・イワニ・ウシ・ペッ
 たくさんの・アオダモ・ある・川

 『北海道の地名』 u-at-te
 『アイヌ語方言辞典』 uatte
 『知里真志保著作集』 iwani

 at-te-iwani → ate-iwa の転訛。
 uatte-iwani → ate-iwa の転訛。


●三の氏山(ミノウジヤマ・立岩山古名:江戸末期)
 pi-not-us-i
 ピ・ノッ・ウシ・イ
 石・崎・ある・所

 『アイヌ語地名U紋別』 pi-notetu ピノテト

 pi-not-us-i → pi-no-ushi の転訛。

 実乗観音『芸藩通志』(1825年)
 「ミノジ」「ミヨウジ」「ミヨジ」の観音(吉和村側)

 「pi-not-us-i」が元になって下記のように呼ばれた。

 ミノジ pi-no-shi
 ミヨウジ pi-o-ushi
 ミヨジ pi-o-shi

 湯来に水内川(ミノチ)があるが、「ミノウジ」と同じアイヌ語が語源である。水内川から岩淵山や感応山、ウスヶ重、船さご山、砥石ヶ嶽などの岩山が見えるが、水内川とは「石崎ある所を流れる川」の意である。


 日の平山の南北にタテイワ谷がある。地形図では日の平山が「立岩山」となっているが、「タテイワ谷」の山と考えることもできる。山頂に「立岩」の無い日の平山に、二つの「タテイワ谷」があることは、「タテイワ」は「立岩」でない、ほかの意が含まれていると考えられる。「三の氏山」が立岩山山頂の「立岩」のことである。

 立岩山『書出帳・上筒賀村』(1819年)
 立岩山『芸藩通志』(1825年)
 三の氏山(ミノウジヤマ)『吉和村絵図』(江戸末期)


●日の平山(ヒノヒラヤマ)
 chi-nuye-pira
 チ・ヌイエ・ピラ
 我ら・刻んだ・崖

 『北海道の地名』 chi-nuye-pira

 chi-nuye-pira → hi-nu-hira の転訛。

 『東蝦夷日誌』(松浦武四郎・1858年)に「チヌエ平」

 チヌイエピラはタテイワ谷左谷の小谷の連続する谷のことと思われる。


●ウス谷
 us-nay
 ウシ・ナイ
 群生する・川

 us → usu の転訛。

●シゲの谷
 sikerpe-ni-us-nay
 シケルペ・ニ・ウシ・ナイ
 キハダの・木・群生する・川

●シゲの谷+ウス谷
 sikerpe-ni-us-nay
 シケルペ・ニ・ウシ・ナイ
 キハダの・木・群生する・川

 sikerpe-ni → shike-ni の転訛。


 シゲの谷水源のピークにキハダが群生する。タテイワ谷にアオダモが群生する。三の氏山に立岩がある。日の平山に深い崖の谷がある。

 「タテイワ」「ミノウジ」「ヒノヒラ」「シゲノ」などの呼び名がアイヌ語によって、地形や植物名として説明できることは、偶然とは思われない。これらの地名が縄文時代から呼ばれている地名であり、アイヌ語が縄文時代の言語を受け継いだ言語である証でもある。


 西中国山地にはアイヌ語の植物名が地名として残っているように思われる。

地名 アイヌ語名 植物名
阿佐山 アッ・サム オヒョウニレ
畳山 アッ・タプコプ オヒョウニレ
毛無山 ケナシ 川沿いの林
千人立(雲月山) セムニ ハンノキ
大箒山 オオホキ 茅類
恐羅漢山 オ・エソロカンニ ミツバウツギ
京ツカ山 キウシツカ 茅類
五里山 コリヤム フキの葉
市間山 イ・チマ ウド
立岩山 イワニ アオダモ
小室井山 コムルイ ドングリ
灰郷スマモ山 ハイウシコタン イラクサ
判蔵原 ハニ・ウシ・ソウ ハンノキ
小五郎山 コ・コロ・ウシ・イ フキの葉
安蔵寺山 アソウシリ 潅木
馬糞ヶ岳 ハッ・プンカル ブドウ蔓
鈴ノ大谷山 ススノオオナイ ヤナギ

 

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カシミールデータ

ミズタビラコ

総沿面距離6.8km
標高差604m

区間沿面距離
186号線駐車地
↓ 1.1km
左谷分れ
↓ 1.3km
日の平山
↓ 1.5km
立岩山
↓ 2.9km
出発点

 

 

 
滝上のドンデ谷分岐 左 ドンデ谷 右 タテイワ谷左谷
十方山と立岩貯水池
立岩山山頂のアオダモ
登路(薄茶は900m超 茶は1000m超)  「カシミール3D」+「国土地理院『ウォッちず』12500」より