山歩き

ナカツヤ川…オモ川…沼長トロ山…大向林道 2007/7/16
中津谷…中津谷川…オモ川…長者原林道…沼長トロ山…沼ノ原…ヒノ谷分岐…角兵衛の墓…大向林道…中津谷

■沼長トロ山(ヌマナガトロヤマ)1014.4m:広島県佐伯郡吉和村字吉和 (廿日市市)

中津谷川
488号線入口
不栗付橋
谷の釣り人
左小川・右主川・下中津谷川
出合橋下の岩
主川沿いのワサビ田
小石多い長浜付近

林道入口の地層

シゲノ谷
セキヤ谷川口付近
八郎橋
八郎川分岐 左八郎川
右長者原林道
セキヤ谷左谷の林道入口
沼長トロ山
沼ノ原
ヒノ谷へ降りる林道 ヒノ谷分岐から
角兵衛の墓
中津谷(ナカツヤ)地区
右中津谷川 左吉和川
7:30 中津谷出発 雨 気温20度
 
ホタルブクロ 

8:10 出合橋
8:25 長浜
9:40 八郎橋
12:35 沼長トロ山
12:55 沼ノ原
13:35 角兵衛の墓
14:20 青笹分岐
15:35 中津谷


 雨の中、中津谷の国道488号線の入口を出発。中津谷川左岸の大町谷は、雨のため水量が多い。不栗付橋を渡ると国道は左岸を上がる。ヤブカンゾウが一本だけ咲いていた。右岸のトロン谷を過ぎると、左岸にサカサデノ谷が降りている。サカサデノ谷は岩のある急な谷である。ミツバウツギが実を付けている。岩場で釣り人が竿を出していた。ヤマジノホトドギス、タケニグサが咲き始めている。

 40分ほどで岩のある川の分岐に着いた。小川と主川の分岐である。分岐の上流が出合橋。小川の川口、右岸に岩があり、小川はそこへ向かって流れ出ている。小川の川口から出合橋の下まで、川の中ほどに小岩がある。

 出合橋の近くにクマノミズキの花が咲き始めていた。渓流のそばにはオオバギボウシが多い。ところどころムラサキシキブが咲いている。主川の傍にワサビ田があるが、大水になると冠水しそうである。

ヤブカンゾウ
タケニグサ

 主川が西へ突き出る手前まで来ると、川は小石が多くなる。そこは川が湾曲する南辺りである。長浜の辺りは砂や小石の溜まりやすい所である。長浜の先に右岸からウサギ谷の小さな沢が降りている。この辺りは川の両側が広く、平坦な所である。山の緑の中に白い花が多く見えるが、クマノミズキであろうか。

 大きいヒキガエルが車に轢かれていた。オカトラノオが咲き、大きい葉のツワブキがある。この辺りのススキは昨年の穂が残っている。主川左岸に上がる林道の入口に、マグマが貫入したと思われる地層が見られる。

 「立岩ダムの上流域の吉和を流れる中津谷川から出水のたびに白く濁った水が出る。分析したところ、火山岩の一種の組成成分である長石とか雲母が粘土化したカオリナイトやイライトなどの、非常に細かい粒子が大量に入ってくる」(第3回太田川再生プロジェクト検討委員会 議事録)。

 中津谷川は火山岩の影響を受けた白濁の水が流れている。そのため下流の立岩ダムには「表面取水設備」で濁水を軽減していると言う。

ヤマジノホトトギス
沢傍に咲くオオバギボウシ

 雌花のあるマタタビに実が成っていた。虫こぶのような実を割って見たが「マタタビフクレフシ」が見られない。主川右岸にシゲノ谷が降りている。ヤグルマソウの花後、ヤマアジサイが群生する。この辺りも釣り人が入っている。

 セキヤ谷の川口は広い草原である。この辺りを長者原と呼ぶ。国道までスギ林だが、スギ林の中に平坦な谷が上がっている。スギ林から生ぬるい風が通り抜けた。道路にマムシが轢かれていた。セキヤ谷川口にテントが張ってあり、その岸下に釣り人がいた。ノリウツギがまだ咲き、トチノキが実を付けている。

 出合橋から1時間半ほどで八郎橋。アカシデが果穂を下げている。橋を渡って少し入った所に八郎川の分岐がある。分岐に釣り人がいた。今日は鮎が釣れないのでヤマメ釣だと言う。良いポイントを選んでいる。雨で分岐は水量が多い。

マタタビの雌花と実
割ったマタタビの実と雌花
ヤマアジサイ

 引き返して国道へ戻った。川土手にウツボグサが咲いている。八郎橋からほどなく長者原林道入口。正式には「大向長者原線」と呼ぶ。大向林道と長者原林道を合わせたものだろうか。前回、通った時は工事中だったが、完成している。国道の100mほど先は十方林道の入口である。

 クマシデが果穂を付けている。ミヤコグサが一輪咲いていた。林道沿いにオオバギボウシが多い。セキヤ谷に沿う林道を上がり、セキヤ谷左谷の鎖止めの林道を上がった。雷と雨がひどくなった。林道の一つ目の分岐を右へ進み、次の分岐は草茫々でよく分からず尾根を上がった。ほどなく北側から上がる林道終点に出た。暗い雨の道にマムシが居座っていた。そこからまもなく登山道に出て、沼長トロ山着。雨、雷が降り注ぎ、早々に沼ノ原へ降りた。

クマノミズキ
アカシデ
ウツボグサ

 20分ほどで沼ノ原。沼長トロ山北の水源に小川のような谷が上がっている。原生林の繁茂していた時代は沼のような所であったろうか。沼ノ原から20分ほどでヒノ谷分岐に出た。新しい林道がヒノ谷へ降りていた。林道を少し下ってみたが大分下まで降りている。以前工事の人に聞いたところでは、吉和川まで繋げる予定であった。

 引き返して角兵衛の墓へ上がった。雨、雷が続いている。サカサデノ谷を降りて中津谷へ抜けようと思っていたが、大向林道を降りた。角兵衛の墓周辺は、古い墓が大分埋まっているようだ。

 ヤマボウシの花が残り、実が出始めている。オカトラノオが群生し、ヌルデが果穂を付け、オオバアサガラの葉はボロボロの虫食いになっていた。ウバユリが大きく伸びている。下るに連れてホタルブクロが多くなる。ママコナ、ネムノキも咲いていた。中津谷を見下ろす所に出た。中津谷川と吉和川に挟まれた三角地帯が中津谷である。そこからほどなく国道488号線入口に帰着した。

ミヤコグサ
ヤブレガサ
ムラサキシキブ
ママコナ


地名考

●主川(オモガワ)と小川(オガワ)

 吉和川に落ちる中津谷川の川口の右岸を中津谷(ナカツヤ)と呼んでいる。中津谷川(ナカツヤガワ)と呼ぶ川名は、「中津谷」を元にしていると思われるが、「ナカツダニ」と言う谷の名でなく、「ナカツヤ」の呼び名に「中津谷」の字を当てはめただけである。

 「ナカツヤ」と呼ぶ「中津谷川」の川口の地名から川名が生まれ、おそらくその逆ではないと思われる。川の地名は、その川の川口、川尻の地形や特徴から決まってくる場合が多いのではないか。

 中津谷川から小川に分岐する付近から上流をオモ川と呼んでいる。オモ川の上流は八郎川の分岐辺りまでであろう。「オガワ」「オモガワ」の違いは、「モ」があるかないかだけで、同じ川尻を持つ二つの川は、同じような由来を持っている川であるとも考えられる。

 中津谷川と小川の分岐の特徴は、小川の川口に水が被る岩があることだが、そのような水被り岩は、アイヌ語で kapar カパル 「磯岩」の意がある。オモ川、小川のアイヌ語名は以下となる。

○オモガワ
 poro-moy-putu-un-nay
 ポロ・モイ・プツ・ウン・ナイ
 大きい・渦の・川口・にある・川

 po-mo → o-mo の転訛。

○オガワ
 horka-nay
 ホロカ・ナイ
 後戻りする・川

 hoka → oka の転訛。

 小川の分岐から出合橋の間は、川の中ほどに小岩が出ているところである。小川、オモ川の地名の起源は、小川川口の分岐付近の地形、特徴を元にしていると思われる。

 「〜川」と言う地名が、必ずしも「川」を意味しているとは限らない。「〜カワ」と言う呼び名に、「〜川」の字を当てただけの場合もある。「〜谷」と呼ぶ場合も、「谷」を意味しない場合がある。

●セキヤ谷

 オセキガ峠はお関の悲恋物語からその名があるが、セキヤ谷の峠と見る方が順当と思われる。

○セキヤ谷
 wose-kus-yar-pet
 ウォーセ・クシ・ヤーラ・ペッ
 狼・通る・樹皮・川

●ウサギ谷
 put-sak-nay
 プッ・サク・ナイ
 川口・無い・川

●角兵衛の墓
 カクベエ
 kakkum-pet-nay-hakae-oma-p
 カックム・ペッ・ナイ・ハカエ・オマ・プ
 柄杓・沢・川の・納屋・ある・もの

 柄杓に使った貝化石が周辺の川にあったか、あるいは、アイヌの人々はシラカバの樹皮で柄杓を作っていたので、それに似た樹木があったか、あるいはフキ沢の意か。


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カシミールデータ
総沿面距離18.5km
標高差409m

キンミズヒキ

区間沿面距離
中津谷
↓ 3.2km
出合橋
↓ 4.5km
八郎橋
↓ 2.8km
沼長トロ山
↓ 1.6km
角兵衛の墓
↓ 6.4km
中津谷
 

 
中津谷地区 手前が中津谷川 高速道に向かう吉和川
登路(青線は磁北線 薄茶は900m超 茶は1000m超)