7:00 出合橋出発 晴れ 気温15度
コアジサイ |
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8:10 奥出合橋
9:40 林道終点
10:35 登山道
11:00 冠山
13:00 赤土峠
14:05 魚切林道
14:50 出合橋
気温15度で涼しい別天地の出合橋を出発。山々は薄く煙っている。オカトラノオが咲き始めている。ヤマウグイスカグラの赤い実がまだ残っていた。マタタビの花が咲いているが、雄花ばかりである。林道終点までにマタタビの雌花を付けたものは一本だけであった。マタタビの雌花は両性花といわれているが、雄花は落ちたのか、全く退化したように見える。ミヤマハハソの小さな花が、ツボミのように開いている。
林道を上がるに連れて、道沿いにキツリフネが現れてくる。ムラサキシキブはツボミ、ヤマアジサイはほとんどブルー、クロタキカズラの実、ハナイカダ、トチバニンジン、ニシノヤマタイミンガサに似たオオモミジガサが花を付けていた。
ウグイスカグラ |
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マタタビの雄花 |
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マタタビ雌花 両性花? |
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オオモミジガサ |
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シナノキ谷を過ぎると、小川林道沿いはシラグチ谷と呼んでいる。シラグチはサルナシの方言だが、サルナシよりマタタビの方が多いように思われる。広高山から下りるコブドチ谷はそのまま読めば「瘤のトチノキ」の意だが。
林道沿いに背丈ほどのウバユリがある。まだ高くなりそうである。オオウバユリであろうか。花の終わったコアジサイは、別の花のように見える。花後のハンショウズルに、白い髭の玉がぶら下っている。キブシは大きな玉になっている。毛部田橋を流れる川名は「小川」とある。林道沿いにキツリフネがあるのは、ケブタの谷までで、そこから上にはキツリフネが見られない。
林道沿いに所々、ススキが株立ちしている。ケブタの谷をUターンして少し進むと冠山が見えてくる。冠山と後冠がホン谷を挟んで見える位置に来ると、双耳峰に見える。ここから見る後冠は、冠山に劣らない山に見える。出合橋から2時間半ほどで林道終点、追い越していった車が終点に止まっていた。
登山道に入り、木の階段を登ると、ホン谷とボーギノキビレの分岐。谷道は涼しい、冷たい水で顔を洗った。ホン谷を登る道は右岸、左岸を渡りながらの道となる。踏み跡があるので迷うことはない。谷沿いに赤い石が多い。ニシノヤマタイミンガサが花穂を出している。ほどなく谷の分岐を過ぎると緩やかな登りとなる。木の標柱があった。水源碑であろうか。標柱から先は登山道を枝が覆う。ぬかるみの湿地帯を過ぎて、松の木峠から上がってくる登山道の分岐に出た。分岐付近は大沼ヶ原と呼ぶが、ホン谷水源の沼のような湿地のことであろうか。
登山道を上がる。羽化したばかりのセミ(エゾハルゼミ?)が道に留まっていた。ほどなく冠山山頂。展望地から見る風景は霞んでいる。広高山、女鹿平山、坊主山。大神ヶ岳から東へ続く尾根は遠く霞んでいる。
少し休憩して、冠山の北の尾根を降りた。山頂直下は急な岩崖になっている。回り込んで東側の尾根に出た。冠山は大きな岩崖の上に乗っている。幹に棘のある大きなタラノキがあった。尾根筋は大きなブナが多い。赤土峠へ続く尾根へ移ると、クロモジ、ウリハダカエデが目立ち、ハスノハイチゴが多い。クマの新しい糞があった。林間からクルソン岩が覗くと赤土峠である。冠山から2時間ほどだった。
ユウレイ谷、ウオキリ谷を下った。ミヤマタニソバが小さい白い花を付けている。しばらく下ると作業道に出た。作業道はそこから少し上まであるが、今の所、ウオキリ谷の右谷を上がるようだ。作業道を降り、魚切林道終点の手前に出た。ヤマアジサイの咲くウオキリ谷入口でしばらく休憩した。スギ林の魚切林道を下った。コアカソが花を付けている。小谷にキツリフネがあった。冠山から4時間ほどで出合橋に帰着した。
ツクシガシワ |
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ハンショウヅル |
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トリアシショウマ? |
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ミヤマイボタ |
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ギンリョウソウ |
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ハスノハイチゴ |
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■地名考
●冠山・後冠と旧羅漢山・恐羅漢山
(カムリ・ウシロカムリとキュウラカン・オソラカン)
小川の水源のホン谷の東西に、冠山・後冠があり、亀井谷の水源の東西に、恐羅漢山・旧羅漢山がある。小川と亀井谷は、谷の置かれている状況がよく似ている。
小川の川尻、中津谷川の合流点は岩である。亀井谷の川口、匹見川の合流点も岩である。小川の川口から3号橋の700mの間にミツバウツギが群生している。亀井谷の入口から車の鎖止めのある1000mの間はミツバウツギが多い所である。
それぞれの水源には、冠山・後冠と恐羅漢山・旧羅漢山の、同じ地名を源としていると思われる山名がある。「西中国山地」の山名は、同じ名の「谷名」を持っている場合が多い。山麓地名が山名に先行する原則が貫かれている。冠山も恐羅漢山も、山名の由来となる谷名があったと思われる。
小川林道の終点手前から冠山、後冠を見ると、同じように大きく見える山である。
●ボーギノキビレと大沼ヶ原とキンカネリ
ホン谷水源は沼のようなところであり、大沼ヶ原の語源とも考えられる。
小川の水源をブドウゴヤへ上がるとボーギノキビレ、ホン谷を上がると大沼ヶ原、東へ上がるとキンカネリである。
「ホーシ、ボーシ、ボーギ、ボージは国境や村境の呼称であり、キビレ、クビレが鞍部、峠を意味する…一般に国境の標示には木柱が使われていた。村人はこれを榜示木とか榜木と呼んでいた」(「西中国山地」桑原良敏)。
●ケブタの谷
小川林道に点々とキツリフネがあるが、ケブタの谷から上の林道にはないようだ。昔はケブタの谷付近にキツリフネが多かったのであろうか。
『この草の熟した果実は、それに一寸でも触れると、とたんに果実がくるりと揺れて種子を弾き飛ばす。
opke-mun オプケ・ムン 放屁する・草』
『この植物は、その凾フ熟したものに触れると、忽ち果皮が弾けて種子を飛ばす。赤子が生後1年以上も経つのに尚歩かぬ時は、この植物の莖葉で体をさすり、また着衣の間にもそれを入れる。この果皮のはじける様に元気になれ、という呪法であろう。膝の関節がふくらみ筋が伸びぬ病気に、この葉をもんでつける。生葉の無い季節には、予め乾し蓄えてあったものを出して来て布に包み、或いは袋に入れて患部に巻いておく』(『知里真志保著作集』・平凡社)。
カシミールデータ
総沿面距離12.0km
標高差616m
ヤマアジサイ |
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区間沿面距離
出合橋
↓ 5.3km
林道終点
↓ 1.8km
冠山
↓ 1.5km
赤土峠
↓ 3.4km
出合橋
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