山歩き

奥匹見登山口…野田原の頭…二の谷川 2007/6/10
登山センター…三ノ谷入口…高岳分岐…988ピーク…のたの原…野田原の頭…鉢窪…ホウノキ原…二ノ谷…登山センター

■野田原の頭(ノタハラノカシラ)1136m:島根県美濃郡匹見町 (益田市)

三ノ谷入口
新しい元組集会所と元組小学校跡
三の滝橋
駐車場
ササユリ
コ谷
春日山
三ノ谷水源のブナ林

高岳分岐

のたの原の平坦地
野田原の頭
5.1mブナ 鉢窪西
ホウノキ原
4.5mブナ ホウノキ原ノ谷の鞍部東
二ノ谷
サワグルミ
ヤマウグイスカグラ
黒ダキ
二ノ谷とヨボシ山
二ノ谷入口と元組橋
三ノ谷落口付近
エゴノキ
7:00 登山センター出発 曇り後雨 気温10度

ハナウド 

8:50 高岳分岐
9:25 988ピーク
9:50 のたの原
11:00 野田原の頭
11:50 鉢窪
12:55 ホウノキ原ノ谷鞍部
13:40 ハシガ谷鞍部
15:05 二ノ谷
17:10 登山センター


 西日本登山センターと呼ばれていた元組小学校跡を出発。現在は元組集会所の新しい建物がある。元組小学校は昭和49年、道川小学校に合併している。山腹に「三の滝」の看板がある。

 校門を通り国道から匹見川に架かる三の滝橋を渡ると、林道が三ノ谷右岸を上がっている。匹見川を見ると大きな魚が居た。林道沿いにコツクバネウツギの花が残っていた。もうササユリの時期である。

 ほどなく駐車場、20台ほどのスペースがある。谷沿いに小龍頭、二段滝、大龍頭への探勝路が入っている。「クマが出没します」の注意書きがある。ここで谷と分かれて天杉山の登山道を登った。登山道入り口のチュウゴクザサに花芽が出ていた。マタタビの白い葉が目立つが、花はまだ小さなツボミである。ヤマウルシに小さな花が付いている。ピンクのササユリがあった。タンナサワフタギが白い綿をふく。ウリカエデが翼をぶら下げている。

コツクバネウツギ
ウリカエデ


 三ノ谷の南側にコ谷が上がっているのが見える。オオカメノキかガマズミか、もう青い実を付けている。雲のかかる春日山が見える。雨を避けたサトキマダラヒカゲが留まっていた。bT森林入口の標柱の所から暗い林の中に入る。リュックを下ろすと蛾が留まっていた。

 三の谷の水源に入るとブナ帯となる。ヤマボウシが咲いている。ほどなく高岳分岐に到着、霧雨が俄か雨となった。少し休んでガスの出た道を進んだ。ミズナラの枯木に鮮やかな橙のサルノコシカケに似たキノコが出ていた。988ピークを下ったところの鞍部からノタノ原に降りてみた。

 ササ薮を降りると小水路に出る。三の谷の水源の合流点付近は広い平坦地になっている。この辺りがノタノ原であろうか。水路を登っていくとヤブデマリの花が咲いていた。途中、伏流水となるが、上でまた水流が現れる。登山道へ出てほどなく野田原の頭に着いた。

タンナサワフタギ
サトキマダラヒカゲ


 野田原の頭から北西のササ薮を進んだ。倒木の多いヤブ尾根である。二の谷の右岸の尾根上にある鉢窪を少し下った所に株立ちブナの巨木があった。根元で五本に分かれたブナである。計測すると周囲5.1mの大きなブナであった。そこから少し下りホウノキ原ノ谷の水源の尾根に入ると、ホオノキが多くなる。尾根の両側にホオノキが多い。

 さらに下った倒木の開地の枯木にサルナシが伸びていた。小さなツボミを付けていた。ホウノキ原ノ谷の鞍部手前に周囲4.5mのブナの巨木があった。鞍部を過ぎるとアカマツ林となる。ここにある背の低いチュウゴクザサに花芽が出ていた。ハシガ谷の鞍部を過ぎて二ノ谷の北側の尾根を下ると、尾根の北側はヒノキの若木の植林帯になる。薮尾根を下ってようやく二ノ谷へ降りた。

サルノコシカケ科
ヤブデマリ


 二ノ谷の左岸に踏み跡があるが枝に覆われている。谷筋の左岸を下った。ヤグルマソウの白い花が咲いている。サワグルミの巨木が多い。スギ林まで降りると左岸の踏み跡がはっきりしてくる。ウグイスカグラが赤い実を付けていた。ハシガ谷の尾根上でこれを探していたのだが、見つからずようやく二ノ谷で見つけた。口に含むと酸っぱさはないが、まだ甘くはない。

 右岸に岩崖が見える。黒ダキであろうか。左岸の林道終点に出た。右岸にも林道が通っている。堰堤から上流を見ると、谷上にヨボシ山が目立つ。グミが青い実を付けていた。コアジサイが咲き始めている。ほどなく集落に出た。畑のそばに、ハナウドがシシウドのような花を付けていた。匹見川に架かる橋は「もとぐみばし」であった。国道を上がり、「きょうづかばし」を渡って旧道を進んだ。三の谷の橋名は「しあんばし」とあった。

 思案していると、ちょうど橋傍の民家のお婆さんが出て来られ、由来を尋ねた。昔、この橋はクリノキで作った橋で、よく川水に流された。お爺さんが思案しながらつくったものだ。今はコンクリートの橋に変わって流されることはないが、昔のことを忘れないよう「しあんばし」と名付けたと言う。元気の良いお婆さんで、そう言って田んぼの見回りに出かけられた。朝は気が付かなかったが、三の滝橋の下にキリの青い花が咲いていた。

ヤマボウシ
サルナシのツボミ
ヤグルマソウ
エビガライチゴ
グミ



地名考

○三ノ谷
 san-nay
 サン・ナイ
 下る・川

 「雪融けとか大雨の時に、水がどっと出る川にサンナイの名のある処が多いようである。この珊内も上が手の平を開いたように拡がっているので、あるいは水が出るのサンナイだったかもしれない」(『北海道の地名』山田秀三)。

 三ノ谷の落口に「シアンバシ」がある。「思案橋」の意である。昔、クリノキで作られた橋はよく流されたと言う。水源にノタノ原があり、雨が降ると水が一気に流れ出る谷であるのかもしれない。


○野田原(ノタノハラ)
 nutap-par
 ヌタプ・パル
 川の湾曲内の地の・入り口

 あるいは

 nutap-nay-par
 ヌタプ・ナイ・パル
 湿原の・沢の・入り口


○野田原の頭(ノタノハラノカシラ)
 nutap-par-ka-us-sir
 ヌタプ・パル・カ・ウシ・シリ
 川の湾曲内の地の・入口・の上に・いつもいる・山

 あるいは

 nutap-nay-par-ka-us-sir
 ヌタプ・ナイ・パル・カ・ウシ・シリ
 湿原の・沢・口・の上に・いつもいる・山


 『石狩川筋一帯の上手に聳える大雪山は、知里博士はいつも「自分がアイヌ古老から聞いた名はヌタプカウシペ」といっておられた。石狩川上流に行った時に、同行してくれたカンシヤトク翁は「あのヌタプは山の上の湿原のことだと聞いています。一段高くなった山の上に湿原(nutap)があって、更にその上に聳えている山だから、ヌタプ・カウシ・ペというのだと思っていました」との答えだった。それなら地形的にはぴったりである』(『北海道の地名』山田秀三)。

 北海道・大雪山
 nutap-ka-us-pe
 ヌタプ・カ・ウシ・ペ
 川の湾曲内の地・の上に・いつもいる・もの(山)

 アイヌのカンシヤトク翁は、nutap を「湿原」とも呼んでいた。

 「三の谷の水源帯の平坦地をノタノ原と呼んでいる。ノタ・ヌタは地形方言でノロにも通じ、一般に湿った平坦地を言い、野田と書かれる場合が多い。芸北町のソータ(草田)と共に地形方言としてよく用いられる」(「西中国山地」桑原良敏)。


○鉢窪
 hhas-kut-pok
 ハシ・クッ・ポク
 潅木の・崖・下


○ホウノキ原ノ谷
 pon-moy-noski-par-oma-nay
 ポン・モイ・ノシキ・パル・オマ・ナイ
 小さい・川曲がり・の中央の・口・に入る・沢

○ホウノキ原
 pon-moy-noski-par
 ポン・モイ・ノシキ・パル
 小さい・川曲がり・の中央の・口



○牛首 ウシクビ
 ru-chis-kus-pet
 ルウチシ・クシ・ペッ
 峠を・通る・川



○ハシガ谷
 has-kar-pet
 ハシ・カル・ペッ
 潅木を・取る・川



○二の谷川
 ninar-un-tanne-nay
 ニナル・ウン・タンネ・ナイ
 丘・にある・長い・川

 一ノ谷、二ノ谷、三ノ谷とあるが、二ノ谷は「二の谷川」と呼ばれているようだ。元々の呼び名が「ニノダニ」で、それに「川」を付けたのではないか。二ノ谷にウグイスカグラが一本あったが、おそらく近くに群生する所があると思われる。



○カジヤ原
 kasu-us-riya-nay-par
 カス・ウシ・リヤ・ナイ・パル
 渡渉する・いつもする・越年・川の・口

 牛首から降りる山道が二ノ谷と交わる付近の字名は「カジヤ原」と呼んでいる。



○黒ダキ
 kut-utur-us-tapkop
 クッ・ウトル・ウシ・タプコプ
 崖・の間・にある・小山

 二ノ谷落口周辺は、新槇原遺跡(旧石器・縄文)、田中ノ尻遺跡(縄文)など縄文遺跡がある。黒ダキ周辺にも集落があったのかもしれない。黒ダキの北側に「コ谷」があるが、kotan-nay コタン・ナイ 村の・川 であろうか。


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カシミールデータ
総沿面距離10.3km
標高差656m

キリ

区間沿面距離
登山センター
↓ 2.9km
高岳分岐
↓ 2.1km
野田原の頭
↓ 2.4km
二ノ谷
↓ 2.9km
登山センター
 

 
春日山
5.1mブナ 鉢窪西
登路(青線は磁北線 薄茶は900m超 茶は1000m超)