山歩き

オガワ林道…ケブタの谷…広高山…シナノキ谷 2007/5/13
出合橋…小川林道…シラグチ谷…ウマダテ橋…ケブタ橋…ケブタの谷…広高山…シナノキ谷…奥出合橋…小川林道…出合橋

■広高山(ヒロコウヤマ)1271m:広島県佐伯郡吉和村吉和西 (廿日市市)

ミツバウツギ
小川落口
ミツバウツギの谷 小川川口付近
ハウチワカエデ
サワグルミ
林道が上がるアシガ谷
左カツラ 右ハリギリ 小川三号橋
ウリノキ
ワサビ田
コブドチ谷

馬立へ上がる谷

ダンコウバイ
クロタキカズラ
ケブタの谷
3.5mブナ
立岩山と大神ヶ岳 広高山から
冠山
シナノキ谷
サワグルミ シナノキ谷
シナノキ谷の林道から見る1112ピーク
6:55 出合橋出発 晴れ
タチカメバソウ 

8:35 奥出合橋
9:40 ケブタの谷
11:10 広高山
14:25 奥出合橋
15:50 出合橋

 
 中津谷川に架かる出合橋を出発。中津谷を少し下って、小川の落口を見ると岩盤の川である。出合橋付近はミツバウツギが多い。出合橋を渡って小川の川原に下りてみた。オガワの川口はスギ林だが、両岸にミツバウツギが咲いている。オワガ川口にサワグルミの雌花穂がぶら下がっていた。

 小川林道沿いもミツバウツギが多い。ハウチワカエデに赤い花穂が下がっていた。右岸のアシガ谷を見ると林道が上がっている。小川三号橋のカツラの幹から太いハリギリが伸びていた。同じような樹皮なので遠目には大きなカツラに見える。三号橋の先あたりまで、ミツバウツギの林が続いていた。

 木に巻きつくツルアジサイの上の方は花穂が出始めている。オトコヨウゾメの花が可愛い。左岸の小谷ではワサビが栽培されている。谷沿いはサワグルミとカツラが目立つ。ヤグルマソウのツボミが伸び始めている。

サワグルミの雌花穂
オトコヨウゾメ

 林道沿いには、ツリバナ、ウリノキ、ハナイカダ、クロタキカズラ、チドリノキ、ウリハダカエデなどが、花を出し始めていた。

 1時間半ほどで奥出合橋。シナノキ谷の出合付近の開けた所はヤマハンノキが多い。前年の実が残っている。

 奥出合橋から上流を、シラグチ谷と言う。

 「シラグチ谷は奥出合橋からオ川の水源にかけての本流の呼称であるがシラグチはサルナシの樹木方言でシラクチカズラとも言う」(「西中国山地」桑原良敏)。

 広高山から左岸に下りるコブドチ谷の入口は、サワグルミの谷である。テツカエデの大きな葉が茂っている。

 ウマダテから降りる谷の落口は大石が多い。コミネカエデが小さな花をつけていた。ウマダテ橋、ケブタ橋を渡って進むと、林道工事のユニックが止まっていた。その先に堰堤のあるケブタの谷が降りている。堰堤で一休みした。ワサビの花が咲いていた。

ツリバナ
クロモジ
コミネカエデ
カタツムリ

 ケブタの谷は緩やかな谷である。両岸はスギ林だが、谷筋はサワグルミの谷である。株立ちしないサワグルミの巨木があった。ニシノヤマタイミンガサの横を歩く。

 水源に入るとブナが多い。大ブナが見えたのでそちらへ上がった。周囲3.5m、そこからほどなく登山道に出た。10分ほどで広高山。ミヤマシキミ、オオカメノキの花が咲く。北側に展望があり、立岩山、大神ヶ岳、千両山、小郷山が見える。引き返すと、林間から冠山が見える。

 登山道の分岐まで戻り、オオカメノキの花の間を、シナノキ谷へ降りた。尾根の直下は、崖崩れで削られていた。ミズナラの巨木があった。急な斜面を谷へ降りた。水源の谷は、下へ行くと緩やかに降りている。カタツムリの大きな殻が落ちていた。谷筋にはワサビがある。サワグルミ、トチノキ、カツラの谷である。シナノキが見えない。

 「シナノキ谷のシナノキは樹木名、西中国山地ではシナノキは少ないが、この谷には多かったのだろう」(「西中国山地」)。

チドリノキ
ウリハダカエデ
ニワトコ

 ゴルジュに入ると、右岸に薄い巻き道が残っている。古いワサビ田の石垣が残っていた。石積の残る谷の分岐まで降りると、湯のみ茶碗が転がっていた。ワサビ田の手入れの合間に、ゆっくりと茶でも飲んでいたのであろうか。林道へ出る手前が、この谷では一番荒れている、通りにくいところである。

 林道の終点に上がった。林道には、キブシがドングリのような形の実を付けていた。林道から1112ピークの峯が見える。広高山から1時間余りで奥出合橋に出た。

ケヤマウツボ
ケヤマウツボ
ハナイカダ
ヤマウグイスカグラ



地名考

●小川(オガワ・コガワ)

 オガワ川尻の中津谷川の合流点が岩場で、川口付近はミツバウツギの多い谷である。恐羅漢山の亀井谷の川口付近と似ている谷である。アイヌ語で表すと以下のようになる。

 horka-nay
 ホロカ・ナイ
 後戻りする・川


●シナノキ谷

 シナノキの語源をネットで調べてみると、長野県にシナノキが多いことから、「信濃」からシナノキとなったとする説と、アイヌ語の sina シナ に、結ぶ・縛るの意があることから、sina 説の二つがある。

 シナノキは合成繊維が普及するまで、ロープの材料とされてきた。「アイヌは、シナノキの内皮で縄をつくった。天塩では、山のアイヌがその縄を多量に作って浜へ物々交換に来たという」(『知里真志保』著作集)。

 シナノキ谷は、シナノキが多い谷ではないようだ。

 シナノキ谷は、水源の冠山へ上がるオガワの中ほどにある谷である。

 細見谷の上流と下流の間に、オシガ谷がある。アイヌ語では、「細見谷の中央にある沢」の意である。

 「オシガ」は、noske ノシケ で「中央」「真ん中」の意がある。

 吉和川は、上本郷から吉和の間の長い川で、中間に「押ヶ垰」がある。「押ヶ垰」はアイヌ語で、「吉和川の中央の高岸」の意である。

 柴木川は、三段峡柴木から八幡原の間の川で、中ほどに「餅ノ木」がある。「餅ノ木」はアイヌ語で、「土地の中ほどを通る柴木川」の意がある。

 シナノキ谷はアイヌ語で以下の意となる。

 sin-noski-oma-nay
 シン・ノシキ・オマ・ナイ
 山・の中央・にある・川



●冠山(古名:カムリヤマ)・後冠(ウシロカムリ)

 カムリヤマ
 horka-mun-ri-nay
 ホロカ・ムン・リ・ナイ
 後戻りする・草・高い・川(小川の山)


 高そん加むり山 コウソンカムリ o-so-un-horka-mun-ri-nay
 オ・ソ・ウン・ホロカ・ムン・リ・ナイ
 川尻・滝・ある・後戻りする・草・高い・川

 後冠 ウシロカムリ
 num-us-horka-mun-ri-nay
 ヌム・ウシ・ホロカ・ムン・リ・ナイ
 果実・多い・後戻りする・草・高い・川



●シラグチ谷

 シラグチはサルナシの意であるが、アイヌ語ではミヤママタタビの意がある。

 chiru-kutchi
 チル・クッチ
 鳥の・サルナシ

 ミヤママタタビは、中部地方以北、四国に分布している。ネット検索でみると、近辺では鳥取市南の扇ノ山に見られるようだ。かつてミヤママタタビが、「西中国山地」に分布していたのだろうか。

 sir-utur-kus-nay
 シリ・ウトル・クシ・ナイ
 崖・の間を・通る・川



●馬立(ウマダテ)

 馬立の呼び名から考えられるアイヌ語名は以下である。

 sinoman-mata-tomari-nay
 シノオマン・マタ・トマリ・ナイ
 本当に山の方へ行く・冬の・泊地・川


 oman-u-at-te-pet
 オマン・ウ・アッ・テ・ペッ
 山の方へ行く・互いを・群らが・せる・川



●ケブタの谷
 opke-mun-ta-us-nay
 オプケムン・タ・ウシ・ナイ
 キツリフネを・採る・いつもする・沢

 kene-pet-putu-nay
 ケネ・ペッ・プト・ナイ
 ハンノキ・川・口の・川


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カシミールデータ
総沿面距離10.2km
標高差547m

ミヤマシキミ

区間沿面距離
出合橋
↓ 4.1km
ケブタの谷
↓ 1.1km
広高山
↓ 2.7km
奥出合橋
↓ 2.3km
出合橋
 

 
冠山 広高山から
登路(青線は磁北線 薄茶は900m超 茶は1000m超)