5:45出発 晴れ 気温15度
6:50分岐 町有林看板
7:15分岐
8:10ハチガ谷の頭分岐
9:15市間山
那須分岐から見たクロブチ谷 |
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サルメンエビネ |
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カモガヤ |
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那須分岐から県道を南へ進み、高圧線鉄塔のあるスギ林を抜けて太田川に下りた。対岸にクロブチ谷の落ち口がる。少し下流に打梨発電所がある。砂地に足跡が残っているので、釣り人が入っているようだ。おそらく那須川を遡上したのだろう。落ち口左側に石垣があり、発電所からクロブチ谷へ道があるようだ。川を渡り、谷の急な入口を登ると、右岸から道が入っていた。
「ハチガ谷の頭へクロブチ谷より植林径がつけられていたが、現在上部は消えている」(「西中国山地」)。
谷は岩で埋まっている。少し登るとコンクリートの塊があった。堰堤があったようだが、岩で押し流されたのか、痕跡がまったくない。谷はサワグルミが多い。道は右岸に続いているようだ。道には、古くはない丸太が架けてあったので、この道はまだ利用されているようだ。
サンインマイマイ? |
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ミヤマシキミ |
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出発から30分ほどで、向イ山町有林の看板のある分岐に出た。このあたりは向イ山と言うようだ。植栽面積43ヘクタール、植栽年度昭和30−35年とある。看板の横のスギを測ってみると、直径30cmほどだった。植栽から半世紀が経過しているので、年に数ミリ成長している。分岐を左へ進むと滝が連続する。カタツムリの殻が落ちていた。殻の高さが高いサンインマイマイのようだ。ミヤマシキミが青い実をつけている。ほどなく谷が分岐。右へ進んだ。左の谷はハチガ谷へ延びる尾根に出るようだ。登るに連れて、谷をスギ林が迫ってくる。
市間山 |
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サワガニの殻 |
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昨年は、どの谷へ入っても、点々とクマと思われる食痕が残っていたのだが、今年はほとんど見当たらない。クマが居なくなったのだろうか。茶碗の欠けらが落ちていた。山師が落としたものか。ニシキマイマイの殻やサワガニの殻があった。サワガニは1000m付近で随分高いところに居る。水源部に入り、スギ林を登る。頂上まで200m付近でスギ林を抜け、サワグルミ、ブナなどが現れ、ササ帯に入る。ハリギリの太い木が、鋭い棘で待ち構えていた。ササを掻き分けて山頂へ出た。
クロブチ谷周辺は大木も残っておらず、伐採し尽された山のようだ。危険な所もなく、頂上の下100mほどのササ漕ぎがあるくらいで、市間山への登路として十分使えるだろう。
「市間山の山名は『芸藩通志』(1825年)に見られる。『戸河内森原家手鑑帳』(1715年)には清水山(セイズイ)の名が見える。市間山は布原、馬越、上田吹あたりの呼称であるようだ」(「西中国山地」桑原良敏)。
10:35立岩山
11:25日の平山
立岩山 |
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イワカガミ |
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林で市間山から展望はない。少し休憩して立岩山へ進んだ。雪道では展望のある尾根道だったが、茂った木々で展望はない。1071標高を少し過ぎたところで、大きなブナを計測してみた。周囲2.9m。登山道にブナの大木が倒れていた。1時間余りで立岩山。イワカガミはもう終わっていた。山頂はベニドウダンが満開。ほかにヤマツツジ、ヤマウルシ。今日は霞がほとんどなく展望が良い。三ツ倉から十方山頂へ延びている尾根がクッキリ見える。その向こうに、十方山南西稜の山腹を縫う下山林道の白い線。市間山稜線と三段峡の向山、深入山。先週歩いた那須と押ヶ垰を結ぶ断層線とケルンバットなどなど。貯水池の島の南側が干上がっており、水量が大分減っている。
オカタツナミソウ |
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「松落葉集」(1768年)第三稿で削除された三合堂の詩がある。
動きなき立岩山の数寄屋炭
焼にし人は名のみ残りて
大意
立岩山で焼く数寄屋炭は、この焼いた人の名のみ残つて伝わつている。
(広島大学HPから)
立岩山周辺は、昔から炭焼きなど林業が盛んだったようだ。詩に添えられた墨絵には、鋭い岩峰が切立っている。
日の平山へ進んだ。立岩山から下った鞍部に、立岩貯水池へ下る道があったようだ。
「立岩山南西の主稜鞍部より立岩貯水池のタケノオク谷を降り、水没した二の原の集落へ通じていて、筒賀村と吉和村を結ぶ主要道で村人によく利用されていた」(「西中国山地」)。
ウリノキ |
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ヤマドリ |
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日の平山 |
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前方のササの中で、ガサガサと音がする。メスのヤマドリが、数メートル前の登山道を鳴きながら横切って、右往左往している。やがて林の中へ消えた。大阪営林局の「境界見出標」が落ちていた。日の平山へ近づくと枝で道が覆われ、踏み跡が心細くなる。このあたりは余り歩かれてないのだろうか。1時間ほどで日の平山。林で見通しはない。南側のスギ林の下山路には目印が続いている。西側のブッシュと林の尾根を進んだ。赤テープが残っている。しばらくブッシュと格闘すると、スギ林の踏み跡がはっきりしてくる。日の平山から30分ほどで、オオズエ谷へ降りる地点に到着。
12:00下山地点
14:00オオズエ谷入口
16:30立岩ダム
18:05那須分岐
スギ林の尾根から急坂をオオズエ谷へ下りた。しばらく下るとトラバース道が北へ続いていた。歩いてみたが茂っているので谷へ降りた。ゼンマイで覆われたスギ林が続く。この谷周辺も伐採し尽されたようだ。若い雑木が多い。サンショウの葉が香る。右岸にときどき踏み跡が現れる。谷にドラム缶が転がっていた。A重油と書いてある。600m付近にサワガニの殻が落ちていた。谷に錆びた鋼のロープが転がっている。オオズエ谷入口手前に周囲5mを超えるカツラの巨木があった。株立ちしているが、下部は相当傷んでいる。2時間ほどで谷を抜けた。
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ギンリョウソウ |
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オオズエ谷には金属製の橋が架かっていた。制限荷重400kgとある。下流の林の向こうに吉和川の河口が見える。対岸は瀬戸滝登山口で、瀬戸谷川と吉和川が合流している。小谷に木の橋や金属製の橋が架かっている。東側にスギ林が広がっている。しばらく進むと廃屋があった。周囲は竹林で、小屋の中に竹が突き出ていた。その先がコダニの谷。「中国電力所有土地」の看板がある。山へ踏み跡がある。おそらく高圧線鉄塔への道だろう。道の横に「送電線付近の伐採索道設置については先へご連絡下さい」と中電の標柱がある。古いバイクが転がっていた。進むと竹林があり、あちこち掘り返されている。イノシシの仕業だろう。
ミツバウツギの実 |
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次のフジキ谷から先は道が消えている。石垣が残っているので埋まってしまったのだろう。貯水池へ下り、湖岸沿いを渡って、イヨキリ谷の落ち口付近へ出た。フジキ谷とイヨキリ谷の間に、ところどころ石垣が見えたので道があったようだ。イヨキリ谷を上がって石垣の上に出た。2万5千地図にこの辺りから破線道があるが、幅広の車道だったようだ。しかし、ブッシュで覆われていた。立岩ダムが正面に見え、島があるあたりの道はスギの倒木で埋まっていた。タテイワ谷付近は水田跡や炭焼き釜の石垣が残っており、集落があったようだ。タテイワ谷は涸れている。次のタケノオク谷も涸れていた。上部はスギの植林帯で水持が悪いのかもしれない。境谷は水量は少ないが流れていた。境谷は貯水池から山へ深く入り込んでいる。
ウリノキに留まるサンインマイマイ? |
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やっとダムへ到着。貯水池東岸の道は誤算だった。オオズエ谷入口から2時間半かかった。県道から東岸を見ると、道が続いているように思え、1時間もあれば十分と思っていた。もう何十年も人々が通っていない道なのだろう。ダムから県道を歩き、1時間半で那須分岐へ帰着。
カシミールデータ
総沿面距離16.7km
標高差741m
ナガバモミジイチゴ |
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区間沿面距離
那須分岐
↓ 2.3km
市間山
↓ 2.1km
立岩山
↓ 1.5km
日の平山
↓ 2.4km
オオズエ谷入口
↓ 4.2km
立岩ダム
↓ 4.2km
那須分岐
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