6:10出発 晴れ 気温2度
7:45旧羅漢山登山口
9:20分岐
吉和の中津谷入口は通行止め。例年、積雪期の3月15日まで通行止めだが、昨日、一昨日の雪で再び通行止めになったようだ。十方林道入口から五里山の稜線を歩こうと思っていたのだが、立野から五里山へ抜けるにしても、アプローチが長すぎる。長者原林道ものぞいてみたが通行止め。結局、恐羅漢側から入ることにした。
スギの雄花 |
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恐羅漢公園線を下ると、照明でスキー場が浮かび上がっていた。スキー場の営業は明日まで。二軒小屋から十方林道を上がった。最後のスキーを楽しむ車が数台、追い抜いて行った。林道はまだ1mを越える雪が残っていて、ところどころ水が流れ、川のようになっている。途中にある最奥の古い民家は雪で埋まっていた。大きなツララが岩や橋の下に幾つも垂れ下がっていた。横川川の雪はまだ深い。ノウサギやキツネの足跡が点々と続いている。赤茶色のスギの雄花が、いまにも弾けそうに膨らんでいる。十方山登山口を通り、旧羅漢山登山口に到着。カーブミラーが頭を出していた。二軒小屋から1時間半もかかった。
十方山登山口 |
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旧羅漢山登山道は雪で埋まっており、道が分からない。適当な尾根を登った。スギの植林帯の端を進んだ。8時20分頃、目印があり、ミズナラの大きな木がある登山道と合流した。ミズナラの木にたくさんの穴があいていた。アカゲラの仕業だろうか。登山道の大分南よりを歩いていたようだ。相変わらずガスがあり見通しがない。なだらかな平原帯に入ると、ブナの大木が目立つ。スギの大きな木とブナの間に目印がまとまって巻いてある分岐に到着。ケンノジキビレへ降りる分岐だ。昔は少し上の1271峯付近に道があったのだが、無雪期はササが密集してとても歩けない。この辺りはササが少ない。
10:00ケンノジキビレ
10:40焼杉山
ガスで見通しがないスギ林を西よりに下った。広い平原帯なので自分の位置が見当つかない。焼杉山までの地図しかないので不安だ。40分ほどで緩やかな登りになる広いケンノジキビレへ到着。振り返るとガスが少し切れて、旧羅漢のスギ帯が現れた。ブナ林を登ると、枝のない細長いスギが天空に向かって立っていた。ガスの間からケンノジキビレ付近が見えた。少しずつ見通しが良くなっている。頂上手前でブナの大木が迎えてくれた。頂上に着くとガスが切れ、日が射して大展望が現れた。眼下に細見谷源流のケンノジ谷、正面に丸子頭、右へ中三ツ倉、奥三ツ倉の稜線。さらに右へ十方山から延びる長い南西の稜線、左に旧羅漢山とケンノジキビレ。気温は3度。
11:40ボーギのキビレ
12:00 1078峯
12:45 1168峯
13:15京ツカ山
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ボーギのキビレへ下った。正面に1168峯の広い稜線が現れた。右に半四郎から南西へ延びる稜線がクッキリと見える。左にバーのキビレが間近に見える。ところどころ赤いテープが残っている。尾根道の右はヒノキの植林帯。気温が上がって雪が解け、水がヒノキから雨のように降っている。ヒノキの左を降りた。焼杉山から1時間でボーギのキビレ。「ボーギノキビレ」の札が掛かっていた。最近のものだろう。島根県側は植林帯だが、吉和側はブナの大木がある。
オオアカ谷は踏跡が残っているが、下山橋へ降りるマゴクロウ谷には残っていない。この辺りの尾根道もブナが多い。小鳥が頭の上で歌っている。20分で1078峯。この辺りは林で展望がない。少し高度を上げて後ろを振り返ると焼杉山が大きく見え、その後ろに旧羅漢山が頭を出していた。雪の落とし穴にはまり、腰辺りまで埋まった。雪の下は空洞になっている。ササが頭を出しているところもある。1168峯手前に、二股になったスギの大木があった。ボーギのキビレから1時間で1168峯。北側の焼杉山から南の冠山にかけて、東側の展望がすばらしい。目の前のバーのキビレの向こうに立岩山が大きく見えた。
トリゴエキビレ |
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鳥の巣 |
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1168峯から100m先のピークに立つと、前方の稜線が見渡せる。十方山のように広い平原をもつ1158峯。その手前の少し低くくて、西よりにある京ツカ山は小さく見える。下山林道の峠から見た京ツカ山を判別しにくいのはこのためだろうか。右手に向半四郎、半四郎、広見山が手に取れる位置にある。トリゴエ谷から延びた鞍部の木の枝に、カップが二つ通してあった。頂上手前の木に鳥の巣が残っていた。焼杉山から2時間半で京ツカ山。気温5度。山頂付近に広島山稜会の「分水嶺」の札が掛かかっていた。昨年の4月にはなかったので、それ以降に掛けられたものだ。山頂付近は展望がないが、周辺を歩いて見ると、よく見えるところがある。下山林道の峠が目の前にあった。
京ツカ山 |
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13:50 1168峯
14:50十方林道
15:30下山橋
17:00水越峠
18:10二軒小屋
尾根道のカゲロウ |
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京ツカ山から1168峯へ引き返す途中で、変わったムシを見つけた。カゲロウのようだ。細見谷から翔んできたのだろうか。この時期に羽化するナミヒラタカゲロウに似ている。
広島大学の中越・井鷺研究室のホームページに「ナミヒラタカゲロウの遺伝多様性は水系の支流本流の上下流関係よりも,尾根をはさんだ支流同士の方が近いという研究結果も予想を裏切られ新鮮な印象を受けた」とあり、尾根に居た理由が分かったような気になった。
西風が吹いていたので、カゲロウは広見側のコアカ谷から翔んできて尾根に不時着したのだろう。この辺りは強風が絶えず吹いている。羽化の時期に左右されるのだろうが、コアカ谷とケヤキ原の谷のナミヒラタカゲロウは、広見川や細見谷本流のカゲロウよりも遺伝子が近いのかもしれない。
1168峯から長者原中ノ谷と下ノ谷の間の尾根を降りて十方林道へ出た。下山林道が峠へ延びているのがはっきり見える。尾根道はブナの大きな木が多い。昭和26年ごろから伐採し尽くされたところだから、その後成長したブナだろう。1000m付近から植林帯になる。尾根道から細見谷の様子が良く分かる。細見谷上流部は川幅は狭いのだが、谷に沿って広い川原が長く続いている。
桑原良敏「西中国山地」の細見谷から |
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「下の谷」と読める |
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1168峯から1時間で林道へ出た。気温は6度。十方林道も細見谷も1mを越える雪が残っている。この辺りは伐採される前、カラマツの森があったという。踏跡のない林道を水越峠へ向かった。長者原中ノ谷の落ち口に「下の谷」と読める古い道標が残っていた。「西中国山地」に間違いなければ「中ノ谷」のはずなのだが。マゴクロウ谷もまだ雪が深い。その先の下山橋も雪の下だった。ナメラ渕上ノ谷を過ぎて細見谷源流域のスギ林に差し掛かると急に足が重たくなった。まるで錘を着けたようだ。スギの下の雪は汚れて灰色の斑点模様になっている。昼間の暖かい時、水がスギから雨のように降っていたので、たっぷりと水を含み重たくなったのだろう。こんな道が水越峠を過ぎるまで続いた。細見谷源流のケンノジ谷を過ぎると峠は近い。
林道に出て2時間余りで水越峠。ここからは下りになる。旧羅漢山登山口で重たいカンジキを外した。軽くなった足で踏跡を下った。十方山へ踏跡がある。水越峠から1時間余りで二軒小屋着。恐羅漢公園線は「凍結の恐れ」と表示されていた。
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カシミールデータ
総沿面距離16.8km
標高差435m
区間沿面距離
二軒小屋
↓ 2.4km
旧羅漢山登山口
↓ 1.3km
焼杉山分岐
↓ 1.5km
焼杉山
↓ 2.6km
1168峯
↓ 0.8km
京ツカ山
↓ 0.8km
1168峯
↓ 1.1km
十方林道
↓ 3.5km
水越峠
↓ 2.8km
二軒小屋
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